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獣耳の楽園!?

こんにちは!、もしくはこんばんは!

島北です。我ながら執筆のスピードが上がってきている気がします。だからこそ、文章に粗が出ないように気をつけて作品を創っていきたいと思います。

では、第13話「獣耳の楽園!?」、どうぞ、最後までお楽しみください!!

ホレンツィエ国領のアヴェ港を出発して数時間、日が暮れ始めて夜の帳が下りてきた頃、僕たちは船に揺られながらようやくガルガンティ港街に停泊した。桟橋を渡り港街に降りると、僕たちにはあまり馴染みのない先進的な光景が広がっていた。

「この街……夜なのに、凄い明るい!!」

「見てよあの乗り物!ハンドルを握っていないのに勝手に進んでるわよ!!」

「な、なんだかいきなり都会人になった気分ですねー……」

「うわー、お兄ちゃんが言っていたのは本当だったんですねえ!」

僕たちは揃って街のハイテクぶりに驚いてしまう。

「なに立ちぼうけになってるんだ?早く行こうぜー」

セルディは親指を前方に向ける。

「そうだね」

僕は首肯する。

「今日はもう遅いし、この街の宿屋で一泊しようか」

「そうだな、私は賛成だ」

「私も賛成よ」

「賛成ですー」

「そうですねえ」

パーティのみんなの賛成を得たところで、僕たちは明るく光る街の道を歩くことにした。流石は世界一の機械産出国、街は明るい魔鉱石の街灯に照らされ、マシン製造工場から聞こえる機械音が鳴り響く。そして、街の至る所に配備されている人型ロボットが観光客の人に街の案内をしていたり、街の警備をしている。田舎育ちの僕には慣れない光景が続いた。

「お、ここが宿屋みたいだな」

セルディは小さな手を看板へと向けた。その看板がつるされている建物は、今まで見たどの宿屋よりも大きかった。

僕たちは自動で開くドアを抜けると、広いロビーのような場所に出た。受付には人型ロボットが配置されていた。どうやら、あの人型ロボットが受付嬢なのだろう。女性の風貌しているし。

「はい、本日はありがとうございます。宿泊者様の情報を、こちらで確認お願いします」

受付嬢ロボットが流暢な言葉でそう言うと、手から放たれたモニターが受付嬢と僕たちを隔てる台に反射した。モニターには、男性女性の人数の確認画面が映し出されており、その数に応じてモニター下に表示されている値段がちまちま変わっている。僕は、恐る恐るモニターの手を出して、男性の欄に「1」、女性の欄に「4」と打ち込んだ。

「入力、ありがとうございます」

手から放たれたモニターの光が瞬時に消え、受付嬢ロボットの目がピコピコ光っている。

「情報処理が完了しました。宿泊代をこちらに入れて下さい」

受付台の一部がパカッと開くと、今度は台に直接埋め込まれたモニターが「こちらにお金を入れて下さい」と表示されていた。僕は硬貨をゆっくりと穴に入れていく。すると、モニターは僕が入れたお金を正確に表示した。宿泊代をお釣り無しになるように入れると、穴はゆっくりと閉じられた。

「はい、ありがとうございます。お客様のお部屋は2部屋あります。鍵に表示されているお部屋番号がどこか分からない場合は、案内表示板をご参照ください。それでは、良い夜をお過ごしください」

受付嬢がお辞儀すると、受付嬢は瞬きすることなくそこに立ちつくした。

「それじゃ、今日はここで解散しようか」

「そーだな、んじゃ、明日はどこに集合するよ?」

「明日はここのロビーに7時集合で」

「ん、わかった、おやすみな、アルタ」

「うん、おやすみ」

そういうと、セルディは鍵を小さな右手に握り、他の女の子たちを連れて部屋に向かって歩き出した。

僕も、今日はアトランデュス撃破に疲れていたのですぐさま部屋に向かう。しかし、建物が広かったので少し迷ってしまったが、案内表示板を見てなんとか自分の部屋に辿り着く。そして、すぐさま風呂に入り、身体の疲れを取る。風呂から出ると、特別何かすること無く、すぐにベッドに横たわる。そして、今日の激戦で疲れた身体は、すぐに僕を眠りにつかせてしまった。


「うぅーん……」

僕は朝の日差しを浴びて目を覚ます。まだ時間は朝の6時。出発の時間まで1時間ある。僕は久しぶりにテレビを見ようと、リモコンに手を取る。テレビをつけると、ガルガンティ国内のニュースが放映されていた。もしかしたらリィラに繋がるような情報があったりするんじゃないかとニュースを見続けたが、そんなに話はうまくはない。最近のニュースはニュースだけでなくエンターテイメントな話題も取り上げる。ニュースが終わると、僕にとってはそこまで興味が無いロボット学の進展などと言うコーナーに進んでしまった。僕はテレビを消すと、旅用の服に着替え、部屋を後にした。今日は珍しく、僕の方が先に待ち合わせ場所に到着した。数分してから、女の子たちがやってきた。

「おす、お待たせ」

セルディは受付嬢に鍵を返してから僕のもとにやってくる。それに続いて他の女の子たちも一緒について来る。

「おはよう、アルタ。今日はどこに行くつもりなの?」

アイルさんは目を擦りながら僕に問いかける。

「ガルガンティ城まで行こうとは思うけど、ここらへんの地理は詳しくないからなんとも……」

「ガルガンティ城はこの国の大陸の丁度中央……ここから南東の位置にあるぞ。立派な道もあるし、迷うことは無いだろう」

「……らしいです」

「はあ……なんとも頼りにならないわね……」

「ま、そこがアルタさんらしいですよー」

「そ、そうなの?」

僕はため息を吐く。

「とりあえず、城に続く道もあるみたいだし、早く出発しよう」

僕たちは、宿屋を出発して、港街の関所で人型ロボットの検査を受けて無事に港街から出ることが出来た。タイルで舗装された道は、はるか遠くまで伸びていた。


時間に余裕があった僕たちは、ゆっくりと道なりに歩みを進めていた。

「……あれ?」

突然、セルディが不思議な表情を見せる。

「どうしたの、セルディ?」

「いや、あんなところに村なんかあったっけ?」

「それを僕に聞かれても……」

道なりに進んで数十分、集落のような村が僕たちの視界に入ってきた。村は家が数軒と小さな実験室のような建物で構築されていた。

「ちょっと気になるし、休憩がてらあの村に寄って行かないか?」

「別に僕は良いけど……セルディが興味を示すのってなんだか珍しいね」

「そうか?私は気になったものはとことん調べる性分だけど?」

「ホント?何かにハマってもすぐに飽きちゃうのに……」

「う、うるさいっ!」

ドスッ!!

「うっ!!」

セルディは僕に肘鉄を喰らわす!

「早く行こう!」

……こうして見ているとセルディが可愛らしい子供のように見えてしまう。

「……そうだね」

僕は急ぐセルディについて行く。


===================


「……全く、仲が良いこと」

「まるで兄妹みたいですねー」

「仲好きことは良いことですう」

アイルたちも、急ぐセルディとアルタに負けじと、急いで村に向かって走って行った。


===================


僕たちが村に入ると、そこには、俄かに信じがたい光景が映った。

「おや、旅人さんだワン!」

「どこから来たピョン?」

なんと、犬耳や兎耳が生えた女の子が、僕たちに話しかけてきたのだ。

「こ、こんな狙ったキャラが実在しているなんて!?」

アイルさんは驚愕の表情を浮かべている。

「ねえねえ旅人さん!どうしてこの村に来たワン!?」

「教えて教えてピョン!!」

「あ、あの……」

僕が狼狽していると、村の実験室のような建物から杖をついた1人の老人が姿を現し、こちらにやってきた。

「旅人さん達が困っているだろう。少し落ち着きなさい」

そう言うと、2人の獣耳が生えた女の子は、ショボーンとした顔つきになって、地面に手を置いて伏せた。

「いきなり犬や兎の耳が生えた女の子たちが話しかけてきてびっくりしただろう。私は研究家のクレートだ。一応、この村の村長だ。最近、動物の擬人化マシンの開発に成功してな、ここはその擬人化した動物たちの為の村なんだ」

「擬、擬人化!?じゃあ、あの耳は本物の獣耳なの!?」

「これはマニアの方にとっては夢のようなマシンですねー……」

「すごいですう!これで動物さんとお話しできますう!」

「36年間、毎日欠かすことなく研究してきて本当に良かった……」

村長さんは女の子たちの反応に嬉しがっているのか、顔を喜ばせてため息をついた。

「……あれ、そう言えばウェンディはどこに行ったんだ?」

「大変だコンー!!」

村長さんがきょろきょろ周りを見渡していると、突然、ものすごいスピードで狐耳を生やした女の子がこちらにやってきた。

「ん、どうしたんだ?」

「ウ、ウェンディが……魔王残党軍の魔物に連れて行かれちゃったコンーー!!」

「な、なんだって!?」

村長さんは酷く動揺した表情を見せて、冷や汗を垂らし始めた。

「そ、そんな、ウェンディが……愛しのウェンディが……!!」

「……ウェンディって、一体どなたなんですか?」

「ウェンディは私が初めて擬人化させた猫だ!!私の心の支えだった愛しのウェンディが、何故魔王残党軍に……!!」

「ごめんなさいコン……私がきちんと見てなかったから……」

「いや、お前は悪くない……ウェンディ……自由気ままな性格だったのが仇になったのか……」

村長さんは顔を手で抑えて至極悲しみの表情を見せる。

「……無理を承知でお願いしたい……魔王残党軍が活発化しているこの頃に旅をしているという事ならば、魔物との戦闘も経験しているのだろう……報酬はいくらでも渡す……どうか、ウェンディを魔物から取り返してはくれないか?……頼む!!」

僕の手を思いっきり握りしめた村長さんは悲しみのあまり涙を流して懇願した。

「分かりました。僕たちが行ってきます」

「おお、本当か!!実にありがたい!!」

村長さんは悲しみと喜びを兼ねた複雑な表情を見せる。

「ま、困ってる人は助けないとな」

「そうね」

「ですねー」

「人助けは良いことですう」

「……みなさん……本当にありがとう……」

「魔物たちは、南の森の方に帰って行ったコン!もしかしたらウェンディは森にいるかもコン!!」

「だったら、行き先は決まりだね」

「ああ、そうだな」

「……私は何も協力できないが……宜しく頼む……」

村長さんはお辞儀して僕たちに頼んだ。僕たちは、コクっと頷き、村長さんと獣耳の女の子たちに見送られ、南の森に向けて出発した。道から外れた茂みをかき分け、魔物がいる森を目指す。


「……なんだか深いところまで来たけれど……本当に森の中にいるのかしら?」

「まあまあアイルさん……狐の女の子の言う事を信じてみましょうよ」

「い、言われなくてもわかってるわよ!」

僕たちはすでに森に進入して数十分が経ったが、魔物には遭遇するものの、人影には一度も遭遇することは無い。

「……しっ!」

突然、ネーニャが歩みを止め、耳を澄ませて辺りを見渡し始めた。

「ん、ネーニャ、どうしたの?」

「……声がします」

目を閉じて耳に集中を寄せるネーニャは、静かな足音で今まで来た方角を変えて歩き始めた。

「みなさん、こっちですー」

僕たちも、ゆっくりとした足取りで、ネーニャのあとをつけていった。


「ほら、早くついて来るんだ!!」

「ちょっと!離してニャン!!」

ネーニャのあとをつけて歩いていると、遠くから魔物とニャンと語尾を付けた明らかに猫が擬人化した女の子と思われる人の声が聞こえてきた!

「あいつが連れ去った犯人か!!みなさん、奇襲をかけますよー!」

僕たちは急いで魔物の声がした方へ急行する。二足歩行している鳥のような魔物の姿を視認できるまで接近すると、ネーニャは森の木に炎が燃え移るのを恐れてか、素手で魔物を殴りにかかった!!

「グハアッッッッッッ!!」

見事にネーニャのパンチを食らった魔物は、猫耳が生えた黒髪の女の子の腕を離し、激しく飛ばされてしまった!

「え、え!?何が起きてるニャン!?」

「な、なんだお前たちはァ……!?」

「僕たちは、そこの女の子を助けに来ただけだ!」

「な、何ィ!?……か、勝手な事させるかあ!!」

鳥のような魔物は、腰に差していた大型の刀を取り出し、ぶんぶんと振り回してきた!!

「こいつ……!太刀打ちが読めないだけに、逆に戦いにくいぞ……!」

僕は鉄の剣を構えたものの、魔物の激しい剣撃にカウンターの隙が見当たらない……!

「これでも喰らえ!たあっ!!」

鳥のような魔物は、剣を激しく降り回し、真空の刃を放った!!

「うわっ!!」

なんとかギリギリ真空波をかわしたネーニャはすかさず魔物に対して足払いをかけた!!

「グへェッ!?」

鳥のような魔物はすってんころりんと足払いに引っ掛かり、その場に倒れこんでしまった!!

「……大した敵じゃなかったですねー……」

ネーニャは鳥のような魔物の足を掴み、逆さ吊りにした。

「グウェーーッ!?」

「さて、アルタさん、唐揚げにでもして食べちゃいましょうかー」

「グエーーーッ!!ま、待ってくれーー!!」

鳥のような魔物は激しく体を振り回して必死に逃げようと動きまわっている。

「やめるニャンーーっ!!」

なんと、猫耳の女の子が、突然ネーニャに体当たりを放ち、解放された鳥のような魔物を庇い始めた!!

「ちょっ!?な、なにするんですかー!?」

「コゥルェン君をいじめるのはダメだニャン!!これ以上コゥルェン君をいじめたら、ウェンディが許さないニャン!!」

「……どうやら、その魔物は魔王残党軍の魔物って訳じゃなさそうだな」

セルディが冷静に話す。だが、見た目は完全に鳥のような魔物なんだ。とても友好的な雰囲気には見えない。

「……アルタ、お前の考えていることも分からんでもないが、人間と共存しようとする魔物もいるんだ。偏った目で見るのはやめろ」

「……うん、わかってるよ」

「そ、そういうことなんだ!俺はウェンディの友達なんだ!!悪いことをしようとしてたわけじゃない!!」

「で、でも、さっき離してだとか言われてなかったっけ?」

「あれは、珍しい石を見つけて興奮してただけだ!!」

「いきなり引っ張られてびっくりしたけど、悪いことはされてないニャン!!」

「ま、まあ、悪い魔物じゃないってことは分かったよ……ウェンディ、村長さんが心配してたから、一回村に戻ろう」

僕は優しくウェンディに話しかける。

「う、うん……クレートさんが心配してるなら帰るニャン……」

「えっと……コゥルェンだっけ……さっきは攻撃しちゃって悪かったね……」

「ま、まあ大丈夫だ、人間の男よ」

「それじゃ、早いところ村に戻りましょうかー。村長さんも心配してるだろうしー」

「そうだね」

僕たちはコゥルェンに見送られ、ウェンディと共にもと来た道を戻り、森を抜けた。


森を抜けて、村までなんとか魔物との戦いを振り切り、無事、村長さんのところまでウェンディを連れて行った。

「おお!ウェンディ!!」

「ただいまニャ、クレートさん!」

村の中をウロウロ回ってウェンディの帰りを待っていた村長さんは、ウェンディの姿を見るや否や、こちらに駆け寄ってウェンディに抱きついた。

「まったく……勝手にどっかに行って……心配させないでくれ……」

「ごめんなさいニャ。だから、そんな泣かないでほしいにゃ」

ウェンディは涙を流すクレートさんの頭をなでる。

「……みなさん……ウェンディを探し出してくれて、ありがとう……。受け取ってくれ、ほんの気持ちだ……」

村長さんはポケットの中から1000Gを取り出し、僕の手の中に強引に仕舞いこんだ。

「どうか旅の資金に充ててくれ」

「……ありがとうございます」

僕は受け取った1000Gを財布の中にしまう。

「……さて、この村の事も知れたし、問題も解決したし、もう出発してもいいかい、セルディ?」

「私はいいぞ。獣耳がついた女を見れただけで満足だ」

「そっか」

僕はセルディの満足そうな顔を見て気分がほっこりする。

「もう行かれるのか?」

「はい……今日中にガルガンティ城に着きたいので……」

「そうか……よかったらまたこの村に来てくれ……ここにいる女の子たちも喜ぶだろう」

「待ってるニャン!」

「わかりました……また来るときは、宜しくお願いしますね」

「うむ……では、気をつけて」

「ありがとうございます」

僕は村長さんにお辞儀する。

「それじゃ、行こうか」

僕たちは村長さんや獣耳の女の子たちに見送られ村をあとにし、再びガルガンティ城に続く道に出る。ガルガンティ城に向けて、僕たちの足取りは進んでいった。

第13話「獣耳の楽園!?」、最後まで読んでいただきありがとうございました!!

今回はサブタイトルのように獣耳が生えた女の子たちが登場します!!自分、あまり獣耳に詳しくないので、がんばって特徴的な耳を持つ動物の擬人化キャラを登場させました(汗)。

さて、今回は魔王残党軍には属していない友好的な魔物、コゥルェンが登場しました。実は初期設定では普通に悪党の魔物だったのですが、このままでは友好的な魔物が全くストーリーに絡まなくなるのでは?となった結果、コゥルェンはウェンディの友達になりました。魔物も人類に嫌悪感を持つ奴だけじゃないということです。セルディが劇中ですぐにコゥルェンが魔王残党軍の魔物じゃないと言ったのは、戦時中にも戦争がしたくて戦っていたわけではない魔物と遭遇しているから。一部の好戦的な意見に翻弄されたために望まぬ戦争を強いられる魔物たち。実に悲しい話ですね。

さて、ここからは次回予告をさせていただきます。次回、第14話のタイトルは「戦友との再会」です。次回はセルディ、レニングに続いて3人目の勇者級が登場します。どのようなキャラなのか、乞うご期待です!!

次回の投稿日ですが、ガルガンティ国編に突入しても僕の執筆欲が続いているようなので、次回の投稿は9月中になると思います(僕は実に気分屋なので、もし10月になってしまったらごめんなさいm(_ _)m)。

では、次回の投稿を楽しみにしていただければ嬉しいです!また次回、お会いしましょう!!それでは~ノシ

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