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ガレスの村

皆様、お久しぶりです。島北です。

なんとか9月下旬には投稿できました。お待たせして、申し訳ございませんでした。

さて、11話「ガレスの村」、どうぞ最後までお楽しみください。

「やあ、おはよう」

「おはようございます」

朝。僕は、着替えを済ませて宿屋を出ると、すでに女の子たちと勇者級の一人、レニングさんが朝日を浴びながら立っていた。

「遅いぞー、何やってたんだ?」

「セルディたちが速いだけだよ」

僕はレニングさんを待たせるのも癪だったので普段より早く行動していたつもりなのだが、どうやらそれでも遅かったみたいだ。

「まあ、僕は気にしないよ、美少女達と語り合える場は欲しいしね」

こんな変態的なことを語っているのに、レニングさんの麗しさによってかき消されている。イケメンはずるいよ。

「全く、ホントに気持ち悪い方ですねー……」

「美少女に罵られるのも悪くない」

ネーニャは軽蔑の眼を送る。しかし、その目線をものともせず長い髪を靡かせる。

「さ、さて、レニングさんも来ていることだし、早くガレスの村に行こうか」

「ああ、そうだな」

セルディはレニングさんの脇腹を肘鉄で殴ると、何故か澄まし顔になって僕たちについてきた。


「うーん……なんか足がちくちくするなあ……」

僕は半ズボンを穿いていたので、生い茂る草がいちいち僕の足に刺さり、くすぐったい。

「昔は街道がガレスの村にも伸びていたんだが……」

「今は、ガレスの村は魔物たちによって蹂躙されているからね……戦闘が出来るわけでもない業者の人が下手にガレスの村に近づけばすぐに殺されてしまうだろう……」

レニングさんは困り顔で目を瞑る。

「それに今、ガレスの村にはほとんど人は近付かないから……費用をかけて道を切り開くのはどうだって議論になり、道の開拓が見送られているんだ」

レニングさんは一呼吸置くと、憚られているかのように口をあける。

「……リディーだったら……強引にでもガレスの村を助けるために道を切り開くだったろうね……」

言葉として出てきたリディーの名。その名を聞いた瞬間、ネーニャがその小さな手で豪華な装飾がなされたレニングさんの服の腹部を掴み、怒りに満ちた顔を見せた。

「その団長……リディーさんを追い詰めたのはあなたたちだってこと、分かって言ってるんでしょうね?」

「……やめてくれたまえ……そうやって言われたら、何も言い返せない」

「……」

ネーニャの鋭い眼はレニングさんから離れ、サラマンダーの持ち手に置かれていた手を重力に任せる。

「!……まずいわ……」

アイルさんの歩みが止まる。すると、奥の岩陰に隠れていた魔物が姿を現し、手に持った槍を構えて突撃してきた!!

「はあっ!!」

すると突然、レニングさんは自身の背丈をはるかに超える銀色に輝く槍を背中から取り出し、力強くジャベリンの如く敵に投げつけた!!すると、まるで敵に吸い込まれるように槍は飛翔し、ついに魔物の胴体を貫いた!!

「グガアアアアアアアアアァァァアァァッッ!!」

魔物が消滅すると、槍は自然とこちらに向かって飛んできて、ついにレニングさんの手に帰って来た。

「勇者魔法槍グングニルか」

「ああ、総帥陛下に戴いた槍さ。君も勇者剣を戴いていただろう、確か……」

「総帥陛下って何年前の呼び方だ」

「……失礼。どうしてもこの呼称が癖になってね」

レニングさんは鼻息を一つつくと、グングニルを背に構え直す。

「さて、これで大丈夫だろう、魔法使いの君?」

「は、はい……」

圧倒的なまでの力を前に驚きを隠せずにいたアイルさんも、レニングさんの言葉でようやく我に返った。

「それじゃあ行こうか。また魔物が出てきそうだったら僕が力を貸そう」

レニングさんは僕の硬直していた背中をポンと叩き、前進を促す。僕は「はい」と返答し、再び整備されていない草むらを歩き始めた。

その後、僕たちはアトランデュスの配下の魔物たちと何度も戦闘になったが、レニングさんのグングニルの攻撃によって全ての敵を倒した。僕たちは改めて勇者級の称号を持つ者の力をいうものを直に見せつけられた。ましてや、セルディとは違い、魔力を宿す勇者級専用の武器を戦闘で使うことで、更なる力を示している。セルディもデュランダルを使えば、ここらの群れで行動する魔物ならば倒せるはずなのに……やはり疑問は僕につきまとった。


草むらを歩き続けて数時間、魔物の攻撃を切り抜け、ついに魔物たちに蹂躙されている村、ガレスに到着した。

「ようやく着いたね。僕も久しぶりだ、この村に来るのは……」

ガレスの村は村の周りが簡易な木組みでバリケードのようにされていた。僕たちは一か所だけ存在する入口を通過して村の中に入った。

「ああ、あの方は!?」

「レニング様!!」

レニングさんの姿を見た農業に勤しんでいた村民たちが一斉に僕たちの方に向かって走り寄って来た。

「も、もしかして、魔物たちを……!?」

「これから、旅の物たちと共に、ガレス一帯に巣食う魔王残党軍の頭領、アトランデュスの撃破に向かいます」

「な、なんと!?まさかレニング様が直々に討伐にくるとは!!」

「……ですが、今まで多くの騎士を魔物たちによって失っていると聞きます。……その、申し訳にくいのですが……レニング様とそこの旅人5人で本当にアトランデュスを倒せるのでしょうか?」

気弱そうに杖をつく老人が冷静な口調でレニングさんに問う。

「心配しないでください。この者たちはシュヴェッラ国に封印されていたバルザムの撃破に成功した実力ある旅人達です。心配は無用です」

「見たところ、べっぴんさんばかりですが……」

「確かにそうですが……この女性は、僕と同じく勇者級の称号を持つセルディ・コーレリンです。勇者級が2人いれば、問題は無いでしょう」

すると、村民たちは驚きの顔を見せる。

「なんと……こんな小さな女の子が勇者級の1人なんて……!」

「たまげたわい……」

「……そういうわけなので……今回こそは、この村を魔物の手から放すことが出来るでしょう」

レニングさんの宣言は、村民に安堵の息を吐かせる。

「それはそうと、この村の宿屋はどこにありましたかな?」

「宿屋なら左手に見える小さな建物です」

農作業をしていたのか、茶色く汚れた軍手を装着していた男性が汚い軍手で指し示す。

「ありがとうございます……それじゃあアルタ君、今日は少し休もうか」

「はい、そうしましょう」

僕は澄ました顔を見せるレニングさんに頷くと、宿屋に向かって歩き出す。他の町や村と比べて質素で田舎的な雰囲気を感じさせる宿屋。僕たちは音が軋むドアを開け、中に入る。

「……誰もいない?」

僕はあたりを見回したが、小さな建物の中に人を見つけられない。

「どちら様ですか~?」

すると、カウンターのすぐそばにある管理人室と書かれた部屋から、1人の少女が出てきた。

「えっ、あれ!?……も、もしかして宿泊者さんですか!?」

少女はひどく驚いた表情を見せ、ふさがらない口元を手で隠す。

「ええ、そうですよ」

レニングさんは足をかがませ、少女に顔を近づけ澄ました笑顔を見せる。

「これはこれはまた可愛い方が出てきたものだ」

「ええっ!……ふぇぇ……」

レニングさんは少女の頭を黄金の刺繍がなされた純白の手袋をはずして撫でる。少女も突然のレニングさんの行動に恥ずかしがっている。

「まーた始まったよ、レニングの口説きが」

「見境ないわね……」

「全く、筋金入りの変態ですねー」

「初対面の女性にも口説くのですねえ……」

フランさんはビックリした表情をしているが、それ以外の女の子たちは軽蔑的な視線をレニングさんに送る。

「っていうか、ありゃあなんだありゃあ」

セルディは僕の服の袖をひっぱり、顔を耳元に近付ける。必然的に僕も顔を近づける体勢になるため、可愛らしいセルディの顔が近くに見えて、動揺してしまう。

「あの胸はどういうこった」

「え?」

「だからあの胸だよ!身長は私とあまり変わらないってのになんなんだよあの大きさは!?」

僕はレニングさんが少女の前にいることから彼女の身体つきを十分に見ることが出来なかったが、丁度、レニングさんが立ちあがったので少女の姿を注意深く見ることが出来た。

「……成長の差だよ、セルディ」

……僕の目の先に見えたのは、セルディと同じくらいの身長なのにもかかわらず、胸部だけ自己主張が激しくなっている少女の姿だった。恐らく宿屋の制服なのだろう緑色のドレス服は、薄地なのだろうが、それを考慮してもかなり信じがたいサイズをしていた。

「くそっ!分かってたよ、くそっ!」

セルディは小声で悔しがって僕の脇腹を殴打し、僕の服を上に突きあげた。僕は少しダメージを喰らった脇腹を抑えながら、ほぼ直立の状態に戻る。

「今日、僕たちが泊まれる部屋はあるかい?」

レニングさんは優しく少女に質問する。

「は、はい!お客様は男性2名様と女性4名様でよろしいですか?」

「で、大丈夫だよね、アルタ君?」

「はい、大丈夫です」

「で、ではただ今、お部屋のカギを用意いたしますので少々お待ち下さい!」

少女は管理人室に戻り、すぐに2個のカギを持ってきてセルディとレニングさんに渡す。

「女性の方々は廊下つきあたりを左の部屋、男性の御二方は、廊下付きあたり右の部屋になります」

少女は右腕を伸ばして説明する。

「ありがとう。……では、今日は明日の為に休養を取ることにしようか」

レニングさんは女の子たちに笑顔を見せて問いかけた。

「私は構いません」

「ま、いいんじゃねーか。功を焦っても失敗するだけだしな」

「あなたに言われるのは癪ですがー……ま、いいですがー」

「そうですねえ」

女の子たちはそれぞれ反応を見せると、指に鍵の輪っかをくるくる回したセルディを先頭に、先程教えてもらった部屋に向かって歩いて行った。

「僕たちも一度、部屋で寛ごうか」

「はい、そうしましょう」

レニングさんは、カギを親指でピンっと跳ねかせ空中を舞った後、再び右手に収め、廊下の奥へ向かう。僕もそれに着いて行く。部屋の中に入ると、僕は荷物を置く。レニングさんはグングニルを床に置くと、颯爽と風呂に入ってしまった。僕は普段、移動用に着ていた服が傷んできてしまったので、防具屋に行くことにした。


僕は、魔物の討伐でいくらかのゴールドが手に入っていたので、新しい服と、薄い金属板の胸あてを購入してきた。村民の方たちから情報収集を終えた時にはすでに空は暗くなっていた。僕は急いで宿屋に戻ってきた。すると、その時はまだ日が暮れて間もない時間だったのにレニングさんはすでに少しガタが来ている木製のベッドに寝ていた。僕も長い時間の移動に疲弊していたので、買って来たものを僕が寝る側のもう一つのベッドの近くに置いて、すぐにお風呂に入った。あまり音をたてないようにして風呂に入った僕は、手入れが施されていた布団にダイブする。そして、僕はぐるりとベッド上で周り、布団を自分の上にかける。……僕は、自然と目が閉じていく……。


===================


「……」

深夜、外から聞こえてくるすすり泣く声に目が覚めたレニングは、アルタに気付かれないようにゆっくりとベッドから身を起こし、部屋のドアを開けた。


「こんなところで、何を泣いているんだい?」

レニングは、宿屋の入り口近くで体育座りで座り、目を手の甲で抑えながら地に涙を垂らす少女のところへ歩み寄る。

「ぐすっ……あ、あなたは……」

「こんなところで泣いていたら、風邪をひいてしまうよ?」

レニングは自身の手で少女の涙を拭う。

「あ、ありがとうございます……ぐすっ……」

少女は嗚咽を漏らしながらレニングに礼を言う。少しして少女は泣きやむと、小さくか弱い声で語り始めた。

「……私の両親……魔物に食べられて死んじゃったんです」

「……」

「私は両親が死んでから、生きることに必死でした。戦争が終わってから、宿屋の経営の利益のお金も底を尽き始め、お城からの食糧の配給が止まってからは毎日が地獄のようでした。……村の機能が安定化してからは、村の中で作物を育てて自給自足がかろうじて出来るようになりましたが……お金が無い私には、数粒のお米が高級品でした」

「……」

「……どうして……戦争が終わった後も……こんなに辛い思いをしなくちゃならないのでしょう……」

少女の目には、再び涙が溜まっていた。

「……私の知り合いに、君のような戦争孤児を助けようとしていた男がいてね……彼は……志半ばで倒れてしまったのだけど……僕は、彼と共に道を開けなかった罪を晴らすためにここに来た」

少女は涙を拭うと、きょとんとした顔でレニングを見つめる。

「だから……私は、君の両親の敵を討つ」

レニングは星が光る夜空に目を向ける。その空に、何か、見えているかのように……。

「…………」

「おや?」

レニングは、自分に横から、軽い重さを感じたので視線を少女の方に戻すと、そこには、レニングの腹部に顔をうずめている少女がいた。

「ううっ……うぅ……」

泣きじゃくる少女の頭に、レニングは優しく手を添える。泣きやむまでずっと、優しく頭を撫でた。

「ぐすっ……甘えちゃってすみません……」

少女はようやく泣きやんでレニングから顔を離す。

「大丈夫だよ。可愛い女の子に頼られて、嬉しくないわけがないからね」

「ふぇぇ!?……そ、そんな私は可愛くなんか……!!」

「フッ……」

レニングは軽く笑う。

「君は泣いているよりも、戸惑っている姿の方が良い」

「そ、そんな……フフフッ……」

「そして、戸惑っている姿も良いが……笑顔が一番だ……やっと笑ったね」

「フフフッ……あなたは優しいですね」

「そういえば、まだ名前を聞いていなかったね。君の名前は何というんんだい?」

「……ソレン……ソレン・ソルディゴです」

「ソレンか……私はレニング、レニング・メイデンだ」

「ええっ!?あなたがレニング様!?」

ソレンは驚きの声を上げる。

「ああっ、すみません……夜も遅いのに大きな声を……」

「いや、大丈夫だよ。……それはそうと、私の事を知っているのかい?」

「それはもう!!村の方々が魔王をやっつけた勇者だと言っていたので!!……私はお城に一度もお伺いしたことが無いので、レニング様の姿を見たことが無かったものでしたから……」

「なるほど、そういうことか」

レニングは得意の澄ました笑顔をソレンに向け、優しく語りかける。

「私は確かに魔王を倒した一人ではあるけど、そんな畏まられても困るよ。様なんてつけないで、呼び捨てで構わないよ」

「そ、そんな!?……それじゃあ、レニングさん……で良いですか?」

「最初のうちは、それでいいよ、ソレン」

「はい……!」

ソレンも、今までにないあどけない笑顔をレニングに送る。

「……ふぁぁあ……」

不意にソレンが欠伸をかく。

「夜遅いし、もう寝ようか?」

「はい……今日は慰めてくれて、ありがとうございました……」

「構わないよ。それじゃあ、おやすみ」

レニングはすっと立ち上がり、部屋に戻ろうと振り向く。

「あ、あの!」

すると、ソレンは小さながらも訴えるような声でレニングを止める。

「なにかな?」

レニングはすっと振り向く。

「また明日……私の名前……呼んでくださいね……!」

「……ああ、わかったよ。おやすみ……」

「はい……おやすみなさい」

レニングは、視線を部屋が連なる廊下の先へと戻し、ゆっくりと歩き始める。そして、もといた部屋に戻ると、ゆっくりとドアを閉め、暗闇に慣れた目でベッドに辿り着く。そして、ゆっくりと、目を閉じた……。


===================


「うぅっ……」

僕は、窓から入る鋭角の太陽の光を受けて目を覚ます。いつもより早く起きた朝だったが、僕が目を擦って視界を部屋に向けると、そこには凛と佇むレニングさんがいた。

「おはよう、アルタ君」

「おはようございます……」

軋む音を鳴らすベッドから降りて僕はすぐに着替えを済ます。今日は、魔物の活動が比較的穏やかになる朝方にアトランデュスの拠点となっているガレスの洞窟に向かうことが決まっていた。着替えた僕は、颯爽と荷物をまとめ、レニングさんと共に部屋を後にした。


「はい、確かに頂戴いたしました」

宿屋の入り口で女の子たちと合流した僕たちは、カウンターに立つ少女に宿泊代を支払う。

「それじゃあ行こうか……アトランデュスを倒して、ガレスの村を救おう……!」

レニングさんは強い意思に溢れた眼を前に向け、僕たちを奮起した。

僕たちは、ガレスの村を出発し、魔王残党軍の魔物、アトランデュスを撃破するために、ガレスの洞窟へと向かって歩き始めた。

第11話「ガレスの村」、最後まで読んでいただき、ありがとうございました!

今回はサブタイトルの通り、ガレスの村が舞台となりました。村の宿屋の少女ソレン、初登場です。ロリ巨乳です。たまんねえっす。ホレンツィエ国の女性は発育が良いのですね。僕もホレンツィエ国に引っ越した……(殴

さて、ここからは次回予告をさせていただきます。次回、第12話のサブタイトルは、ずばり、「アトランデュス」です。……第10話のあとがきで第11話が「ガレスの村でアトランデュス率いる魔王残党軍との戦いをメインに~」と書いてありましたが……申し訳ありません!!次回、ガレスの村ではなく、ガレスの洞窟で魔王残党軍との戦いが繰り広げられます!!是非、ご期待下さい!!次回の投稿は10月上旬の予定です。今度は投稿遅らせないように頑張るぞ……。

では、次回の投稿を是非お楽しみにしてください!!また次回、お会いしましょう!!

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