原田さんと家族
「買わないよ。普通のコンソメなら買うけど」
カゴにコンソメ味のポテチと電池を入れて、ついでに飴を入れて会計をする。
「家帰ったら、食べようか」
少し不満そうに頷き、また暑い道を通り、家に帰った。
「ただいま」
「おかえり」と母の声がして、ほのかに魚の匂いがした。「晩御飯何?」と聞くと「鯖の塩焼き」と嬉しそうに答えた。
「今日、何かあったの?」
「仕事先で28才って言われたの!」
鼻歌を歌い、嬉しそうな母を見て、「それはお世辞だよ」と言おうとしたのを口を紡いだ。
「あんたの母親っていくつなんだ?」と耳打ちをする妖精に「42」とこっそり話す。
私はリビングでリモコンの電池を取り替え、
ポテチを開け、食べ始める。
「食べ過ぎないでね。もうすぐごはんだから」
「はーい」とポテチを口に入れながら、話す。
懐かしむような目で私を見てきた妖精。
「どうした?」
「俺に家族がいたらこんな感じなのかって思ってさ」
「家族いないの?」
「婚約中の彼女もいてもうすぐ産まれる子供もいたよ」
「だけど」と続けて、自分の手を見て、頬に触れて、「俺死んじゃったもんな」と涙を溢す。
「恵、ごめんな。お前と子供を残してしまって」