原田さんとポテトチップス
学校から帰るとベッドに知らないおっさんがいた。
「不法侵入ですよ」
「えっ! 驚かないの? 妖精だよ!」
確かに体長13cm程で、小さいが妖精には見えない。
だって、おっさんだもの。
見えるとしたら、せいぜい、小人くらいだろう。
「何ですか? 何か用ですか?」
「冷静だな。ま、いいや。
羽根が折れちゃってさ、助けてくれない?」
この時の私は、自分でも驚くくらい冷静だった。
目の前に羽根が生えたおっさんがいて、当たり前のようにポテチを食べているのに。
「助けるんで、後でポテチ代と治療費下さい」
「妖精から、金取るのかよ! 罰が当たるぞ!」
自称妖精は指差すが、私は妖精の足を掴み、
逆さまにして窓に出す。
「別にここから落としてもいいんですよ?」
「ちゃんと、お代は出すから! 助けて!」
自称妖精を部屋に入れて、ベッドに座らすと
「全く、今の餓鬼は」と、ため息をつく。
「昔はもっと良かったんだけどな……」
私はリビングから薬箱から小さい絆創膏を取り出し、自称妖精の絆創膏を折れた羽根に貼った。
「ありがとよ」
自称妖精は私に粉を渡し、私は包まれた粉を見つめ、粉を指をさす。
「麻薬じゃないですよね?」
「麻薬は人間に渡すのは法律で禁止されてんの」
妖精にも法律あるんだ。
まあ、どうでもいいことだけど。
「今、妖精界で流行のお菓子。
食べる人によって味が変わるらしいんだが、
甘ったるくて俺には合わないよ」
恐る恐る、粉を口の中入れると口全体に粉がくっついて、完全に粉じゃないのか少し食感もある。
水分が奪われ、お世辞でも美味しいとも言えない。
「不味い! これ何ですか?
パサパサしてて美味しいくない!」
「それじゃあ。俺は仕事があるから」
妖精は私に笑顔を向けると、シャボン玉のように消えてしまった。
「変なやつ」