純白天使・降臨
前回までのあらすじ!
俺の初キッスの相手は床!! でも床となら初じゃないよね!? ないよねえっ!?
…。
……。
………。
ああ、これだけ「……」が並んでるってことは、俺、よっぽど長い間気絶してたんだろうな。
目を開ける……は嘘だな、瞼ないっぽいし。意識が戻るとともに、周囲を認識する。
(知らない天井だ……)
俺の大きな身体をどうやってひっくり返したかは分からないが、俺は仰向けに寝かされていた。
「まー、多分平気だと思うわよ。後頭部ってないし、宝珠はノーダメみたいだしね」
「はうぁぁ~。よかったですぅ~><」
ポリカちゃんと、誰か、コルセアさん以外の知らない女の子が会話してるのが聞こえる。
視界に映ってるのは、体育館ほどの高さがある天井と、あとは視界の端に映り込む、三角形の白い布と、肌色の……脚!?
ってことはこれは、この白いのはパンツだ。間違いない……間違い、ないッッッ!!
(ぱんちゅうううううううううぅぅぅぅーーーーーーーー!!)
俺は、ガン見した。えんじ色のプリーツスカートの中の、純白のその天使ちゃんのお姿を!!
頭……ってか顔面を強打して、たぶんなにか吹っ切れちゃった俺は、誰にも聞こえないのをいいことに存分に絶叫した。
(ふおおおおおおおお!! ぱんちゅ!! おぱん、ちゅうううううううううううっ!!)
「……ッ!?」
俺の純白天使がサッとばかりに視界から消え、入れ替わりに少女の顔が視界に入り込んできた。
土色の四角いフチメガネに、緑の髪をツインテールに結わえた、深緑のパーカーの少女だ。
初めて見るその顔は、ものの見事に真っ赤に染まっている。
「み、みみみみみみみみたわねぇっ!?」
(見た!! しかも純白とはマジ素晴らしいっ!! パンツ世界ランキングで言うなら……そう! シマパンの次に素晴らしいっ!!)
どうせ会話が成立しないのをいいことに、俺、言いたい放題である。あー、コレはコレで楽しいかもなあ。普段からそんな人と会話してたわけじゃないしさ。へへ。へへ。
「へ、へ、へ、変態ぃぃーーーーーーーーーーーっっっ!!」
ガイン。とばかりに振動と同時に、鈍い音が響く。あ、ひどい。頭蹴られた。
「はわわわわぁ~! ど、どうしたんですかぁシキさぁぁぁぁん!? 頭はだめですぅ~!!」
「この変態野郎が、私のパンツを覗いたのっ!! ありえないわ! 絶対許さないっ!!
万死に値するっ!! 変態死すべしよっ! 末代まで呪い殺してやるんだからっ!!」
「えええええ~!? だ、だってゴーレムさんですよぉっ?」
「そんなの関係ないわよ! なんなのよパンツランキングってぇっ!?」
「なななんですかそれぇっ!?」
(教えてやろう! パンツランキング! それはパンツマニアの! パンツマニアによる!! パンツマニアのためのぉぉ……って)
「何よそれ分けわかんないっっ!! キモいっ!! 超キモいっっ! ありえないっ!! このっ! くのっ! くのっ!!」
ガンガンガンガンッ!!
容赦なく蹴られる俺の頭。まあ、幸い鉄製?の俺にはその程度の蹴りではダメージはないのだが。
そんなことより、だ!!
(なあ、聞こえてる……よな?)
俺の発言を受けて、パンツ少女の蹴りが止まる。工房に響き渡っていた大きな音が止み、静寂が訪れた。
(やっぱりだ! 聞こえてるんだよな? 俺の声っっ!!)
あ! コイツ、目、逸らしやがった!!
(おいコラ!! コッチ向けって!! 聞こえてるんだろ、パンツ女!!)
「誰がパンツ女よぉっ!!! あっ!!!」
(やっぱり聞こえてんじゃねえかーーーーーーーーー!!)
「え、なになに? ねえ、もしかしてお話してるのっ!?」
「ポリカは黙ってて!! 死霊語の難しい話よっっ!!」
「は、はあぃっ!」
「っていうか、ちょっと席外してもらえる? 思考の波長を調べる魔法を使うから」
「え、でもさっき平気って……」
「いいからっ! おかしな波長を感じたの!!」
「は、はぁぃっ!!」
トテトテトテっ……と歩幅が狭い感じのポリカちゃんの足音が遠のいていく。続いて、金属扉の開閉する音。パンツ女は扉が閉まるのを確認してから、くるりとコッチに向き直った。
「さて……どうしてやろうかしら」
どうもうこうも、それは俺のセリフだ。
第七話:「純白天使・降臨」完
日曜だし、明日も更新スルデスヨ!!ヒャッハー!