生まれ変わった鋼の身体
前回までのあらすじ!
ちんことれたあああああああああああああああああ!!!
そう、そして俺のチンコをネジ切ったのが、俺を無邪気に見上げ、覗きこんでいるメガネロリ少女。その手には、ねじ切られたばかりの俺のチンコが抱えられている。
……チンコのことは置いておこう。
いや、そりゃあ俺だって、世界にたった1人の息子と生き別れになった事態の説明に時間も割きたいところだが、さすが異世界転生モノ、そうとばかりも言ってられない異常事態が今、他にもあるのだ。
少女が俺の顔を「見上げて」「覗きこんでいる」。椅子に座った俺を、だ。
そして俺は、そんな彼女を「見下ろしている」。
……小さいのだ、彼女が。
あるいは、デカイのだ。俺が。でかいなんてもんじゃない。超、デカイ。
いかに眼下の少女が小柄だろうが未成熟だろうがロリだろうが、あのオパーイで身長130cmを下ることはさすがにないだろう。
その少女が俺を見上げて……つまりは直立している状態で、座ってうなだれた俺の顔を覗き込んでいるのだ。
今の頭の位置で、多分166cmの「元の」俺の身長くらいじゃないだろうか。だとしたら、この身体は……3mは超える。
おいおい、これじゃ進撃のアレ、って感じじゃないか。俺はどっちかってなら、鋼の錬……ああ、鋼……そうか……。
刹那、俺の脳裏によぎったのは、例のメールの文面だった。
『特殊能力は「鋼鉄の身体」!! 今なら人間離れした圧倒的な力もセットでつけちゃいます!!』
(なるほど、「鋼の身体」に「圧倒的な力」ね……。
そのまんまじゃねえかあああああああああああああああ!!!)
もし俺が元の身体だったなら、話しが違うと号泣してるところだろう。
だが俺は涙を流さない!! ロボットだから!! マシーンだから!!
ダダッダうあぁあぁあぁあぁーーーーーー!!(号泣)
「あれー? おーい? 起きてますかー?」
俺の心の叫びは目の前の少女にすら届かないようで、ロリメガネっ娘は小さなハシゴ台? 的なものを持ってきて、俺の足元に置き、その上に乗って俺の顔を覗きこんだ。
小さな台だが意味はあるようで、少女の顔が急接近する。
あ、可愛い子だ。うん。
眼鏡越しにこちらを覗きこむ、グリーンのおおきな瞳。ざっくりと左右に大きな三つ編みに結わえた栗色の髪。日焼けとは無縁なカンジの白い肌は、作業ツナギっぽいその格好では首筋と胸元くらいしか見えないのだが、はだけ気味のツナギから覗く胸元、そのたわわな果実が、そこ以外のすべての部分が主張している彼女の「幼さ」を全面否定していて、その素晴らしきギャップにノックアウトオオオオオオオオオ!!
「あ、やっぱり起きてるね。ゴメンね、動けないでしょ?」
俺の目の動きを追っているのだろう。こちらに意識があることを少女は理解したようだ。
胸の谷間にいってた視線がバレてるんじゃないかと、慌てて目をそらす。
「ちょっと待っててね? あたしじゃ専門外だから」
ニコっと明るい笑顔を見せてから、少女は台から降りて、小走りで俺の視界から姿を消した。
(まって……とも言えないんだよな、今の俺……)
しかし、体どころか首も動かせないこの体勢でも(ガタイがでかいってのもあるが)意外と周囲は見えるもので、とりあえずあらためて、ぐるーっとあたりを見回してみる。
あっちこっちに魔法陣。あと、自分の状況がある程度把握できた今だから理解できる、壁に並んでいるたくさんの……ロボ。
ロボっていうと、1/144スケールのリアルロボット的なアレとか、飛行機に変形するアイドルが歌うやつとか、そういうカッチョイイのをイメージすると思うのだけれど、残念ながらこの部屋の端っこの方にあるのそういうシャープで洗練されたものではなくて、くろがねの城的なものとか、3つの心がひとつになるのとか、あとは色とりどりの5人組が乗り込みそうなのとか、そういうダサカッコワルイものばかりだ。
(げぇ……!! ってことは俺も!? 俺もあんな感じなの!?)
慌てて「自分」に視線を戻す。
見えている、胴体、腕、脚、あとさっきチンコが外された股関節……あ、なんだいま改めて見ると、引っこ抜かれた筒状のアレは電池?っぽい感じのもののようだ。
「だいぶ汚れてる」ってことは、電池でもないのだろうけれど。アニメのロボは嗜んでも、ロボット工学とかそういう理系なものはさっぱりな俺にはそれが何なのかもよくわからないが、すくなくともあれはチンコではない。
あああ……よかった……。
いやだが実際、チンコ以前に身体が大変だ。
俺は読んで字のごとく、特殊能力「鋼の身体」を手に入れてしまったんだから。
そんでもってデザインも……ああ、でも思ったよりデザイン悪くないかも。鎧っぽいぞ鎧。西洋騎士みたいな感じだ。たぶん。
色が白ってのもいいよな。ピロシキ物語、とかそんな名前の大きな西洋騎士ロボっぽいのがが活躍するゲームがあった気がするんだけど、そんなカンジじゃないかな。
端っこの方の奴に比べれば、全然スマートだ。あくまで比較してのハナシだが。
(でもチンコどころか、これじゃなんのオタノシミもないだろうなあ……)
思えば色々と符合する。たしかにコレじゃ飯も食えないし、腹も減らないだろう。
けど思うか? まさか転生してウハウハ生活だと思ったらロボットになってるなんて。
もっと疑っとくべきだったよなあ……でも、そもそも異世界に来れるなんてこと自体、信じてなかったわけで、ネタのつもりだったんだよマジで。
……まあ、なんていうか、ソレはもうしょうがない。今更誰に何を言っても、設定を変更してもらえたりはしないだろうし、聞いてくれる人だっていないんだ。
そもそも話せないし。そうだ、話せないのは問題だ。幸い、言葉は通じるっぽいんだ。まずは、話せるようにならないとな。
あ、でも身体が先か。さっき、動けないことを謝られて、人を呼びに行ったんだから、つまり、動けるようになるってことだろう。
「だーからぁ、言ったわよね? 成功したってさぁ……」
ぐーるぐる思考を巡らせてる俺の頭上で、気だるげな声が聞こえてきた。それから、甲高いヒールの足音。ついで、俺の視界に見事な脚線美の生足が飛び込んできた。
(おほっ! いい脚!! いいふくらはぎ!!)
いや、状況考えろとか冷静にツッこまないで欲しい。俺だってそう思う。
だけれど、高いヒールで強調された、絶品のふくらはぎのラインってぇやつは、どんな状況でも、目がいってしまうものなんだ。
あえて言おう。イイものはイイと!!
あとあれだ、先に行っておこう。俺はロリコンじゃない。もっと俺の愛は広い。俺は……そう、全方位型変態紳士だと!!(ばばーん)
「あー……確かに反応してるわね。もう目覚めてるわ、コイツ」
俺の視界に姿を見せたのは、白衣とハイヒールに、パーマがかった金髪をなびかせた長身の美女だ。アンダーリムの赤縁メガネがよく似あってる。
ファンタジーおいてけぼりのその外見は、周囲に浮かぶ魔法陣がなければ現代のそれと何ら変わらない感じで……あ、でも手に持ってるのも魔導書っぽいな。
「え。じゃあもう名前とかもわかるんです? コルセアさんっ」
「んー、そうね。チョイまって」
コルセアと呼ばれた美女は、手ぶらなほうの手を中空にかざす。すると彼女の周りを小さな魔法陣が回り始めた。魔法陣に、いろんな文字が浮かんでは消える。
それは、もう一方の手に持っている閉じたままの本の内容のようだ。残念ながら、浮かぶ文字は見たこともないものなので、ということは、言葉は通じても文字はダメなんだろうな。
それらをスマホの要領でくるくるまわし、美女はお目当てのデータを見つけたらしい。
改めて、俺を見上げ、めんどくさそうにこう言った。
「ええっとね、そのゴーレムの名前は『ティンコ・ティンティン』よ」
(なぁんですとおおおおおおおおおおおおおおおおお!?)
第三話:「生まれ変わった鋼の身体」完
もう、思いついたらいてもたってもいられなくて……(笑)。
すいません、こんなのでw。