七、とある馴れ合いの回
あ~久しぶりに投稿したわりに適当だぜ
見直しもしていないという……
ほぇ~~
たち混む湯気。身体中を包むほのかな熱。
いちいち状況を把握し、頭の中で処理するまでもなく、今俺の置かれている事態は目に見えて分かる。
一目瞭然というやつだ。
ここが風呂場であることは――俺と漆の止まっていた宿の部屋に一台ずつ設置されてある風呂場の中であることは、さすがの俺でも分からざるを得ない。何がさすがなのか自分でも分からないが。
しかし見て分かる通り――そして聞いて分かる通り、この浴室に居る人影はなにも俺一人というわけじゃなかった。
「ねぇ……扇?」
「…………」
「扇~?」
「………………」
園崎漆。式神である俺の唯一無二の主様――陰陽師。
生けとし生ける、人間に災いをもたらす妖怪をその手で退治していく専門家。
――でもあり。
一人の、少女だ。
お父さんとはおろか、男とも風呂に入らないような――ましてや俺のような同年代極まる容姿をした式神さんが一緒に入ってはいけないような――十六歳という思春期真っ盛りの女子だ。
しかし、なにがどういう経緯でこうなったのか――どういう経緯が何したのか分からないが――俺の考えていたその仮説は現実てなってしまっていた。
うら若き女子と男子(俺は人じゃないが)が、あろうことか浴室などというデリケートなエリアにてお互いのその身を置いている。
細かく言えば、浴室の床に二人で体育座りしながら横に並んでいた。俺の右隣には漆が居ることになる。
シュールだ、滑稽だ、なんてバカにもできる状況だが、それはあくまで第三者から見た画だ。
――これは心臓に悪い。
ドキドキするとでも言おうか。
「ねぇ扇なんか喋りなよ~」
「……う、うん」
うん――て言っちゃった。
俺みたいなクールキャラが使っちゃいけないような二文字だよなそれ。
「あっはは~扇かわい~顔赤くなってるよ~?」
「いや、それは風呂だから……な」
え~? と、漆は右から俺の頬をつついてくる。その際に漆の左腕が俺の右腕と密着し、ふにふにと感触を与えていた。
俺はそこで思う。
「――女の子の肌って柔らかいな」
「扇、無意識に思ってることが口に出ちゃってるよ」
しまった。と一瞬思ったが、どうせ俺の心は全部漆に筒抜けなわけだから、別段隠すつもりで胸のうちに本音を秘めていても全部こいつに分かってしまう。
そう考えるとあれだよな。今俺がこんな十六歳の女の子と一緒にお風呂入っているなんてことに若干なりとも緊張感を覚えているとしても、それが全部漆に伝達されてしまうわけだ。
一種のエスエムプレイでもしてる気分だ。漆は俺の高鳴る緊張感を理解した上で俺を遊んでくるんだからな。
――となると、だ。
このまま奴にペースを握られてはいけない。
俺は人間である前に、男だ。
人間ではないが男だ。
このままこいつの思うつぼ――俺は下で悶えるだけなんて状況はごめん被る。
あぁ、俺も巻き返すさ。反撃するさ。
もう一度言うが、俺は男だから――。
「えい」
それまるで、悪戯心をもて余した園児が発するような声。
全く緊張感の無い、あまりにも自然で、あまりにも不自然な言葉だった。
そんなふざけた言葉を掛け声として用いた俺は何をしたのかと言うと――。
揉んだのだ。
漆の上半身中部に二つぶら下がっていた桃のような形をしたそれ。
つまり、おっぱい。別名お乳さん。
そんな物体を俺は、左腕を漆の懐に忍び込ませながら、二つとも丁寧に揉んでやった。
もみもみ。
「お、扇……?」
「………………」
困惑する漆。
しかし俺は構わず揉む。とにかく揉む。
そんなとき、一つ俺の思考回路に反射的な考えが過った。
「漆、お前小さいな」
殴られた。
右アッパーで。