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優菜&ゆきの会話集6

優菜「ねえ、ゆきちゃん」

ゆき「あ?」

優菜「なんで“ゆき”って名前なの?」

ゆき「雪の日に生まれたから」

優菜「へぇー」

ゆき「うん」

優菜「…」

ゆき「…」

優菜「…」

ゆき「…で?」

優菜「ゆきちゃん待ち」

ゆき「はぁ?」

優菜「どうして私が“ゆな”っていう名前か、知りたくなるまで待ち」

ゆき「知りたくないので以下略」

優菜「えっとね、私は“優しい菜っ葉”って書くんだけど」

ゆき「やっぱ待ちきれなくなったか。ってか優しいナッパって……くっ」

優菜「ん?まだ楽しいオチは言ってないよ?」

ゆき「あはは…。いや、ごめんごめん。兄弟に優しいベジータがいたりするのかなあ、なんて考えちゃって」

優菜「兄弟は…妹が一人いるよ」

ゆき「優しいベジータって書くの?」

優菜「ベジータ?ああ、冷蔵庫の機種のこと?」

ゆき「いや、ごめん。こっちの話…。でも優菜って妹がいたんだ。意外だね」

優菜「うん。めっちゃかわいいよ。しかもちょっとあわてんぼうさんで、おまけにメガネっ娘」

ゆき「あわてんぼう将軍か」

優菜「まあそんなとこ。名前は…」

ゆき「吉宗?」

優菜「駄目だよゆきちゃん、ボケ役にまわっちゃあ。ボケはわたし!ゆきちゃんはツッコミ!立ち位置も決まってるんだから!いい?」

ゆき「はいはい。で?」

優菜「妹は“ゆき”っていうの。“優しい樹”って書く…」

ゆき「え?あたしと同じ名前?」

優菜「そう。そうなんだよねー。まあ漢字は違うんだけど。ゆきちゃんは降る雪の“雪”って書くんでしょ?」

ゆき「あたしはひらがななんですけど」

優菜「え!!そうなの!?わたしずっと漢字で雪かと思ってた!ついでに聞くけど、本当は名前なんていうの?」

ゆき「はぁああ???意味不明なんだけど」

優菜「フルネーム言ってみて」

ゆき「たがなえ・ゆき」

優菜「え!そうなの?わたしずっと“たけん”って読んでた!」

ゆき「田県じゃないって。田鼎。田んぼに、かなえって読むの。まあ珍しいから無理もないだろうけど…」

優菜「たがなえ、かあ…これはびっくり。どういう意味なの?」

ゆき「うーん…田んぼに鼎だから…鼎っていうのは足が三つついた器のことで、神聖な儀式に使われる器を差すこともあるみたいなんだけど……。うーん、でも調べてもそんな名前出てこないんだよね」

優菜「地図から消された村!田鼎村惨殺事件!みたいな?」

ゆき「そういう怨念めいたもんじゃなくて、あまりに古くてマイナー過ぎる名前だから資料がないのかもね」

優菜「ゆきちゃんの家には何か残ってないの?」

ゆき「引っ越し多かったから、古いものはどんどん捨てちゃったらしくて。あたしの祖父母も引っ越し多かったらしいし、もうわかんないんじゃないかな」

優菜「うーん、気になるなあ。田んぼに鼎でゆきか…」

ゆき「いや、ゆきの部分はいらんだろ」

優菜「うーん…田んぼに鼎…のぞみ、かなえ、たまえ?」

ゆき「何でそんなの知ってんだよ。んで、そう言えば楽しいオチは?」

優菜「へ?何のオチ?」

ゆき「なんか楽しいオチがあるんでしょ?」

優菜「ないよ、そんなの」

ゆき「はあ?」

優菜「わたしの話に何かオチがあったなら、ベーカー街まで知らせてくれたまえ」

ゆき「ホームズに知らせなきゃならないぐらい、オチがあるってことは事件だ、と」

優菜「そういうこと」

ゆき「ただ単にオチ忘れただけじゃないの?」

優菜「いや、何を話そうとしてたのか忘れちゃった。ゆきちゃんがあまりに衝撃的な持ちネタを次々に繰り出してくるもんだから」

ゆき「あたしのせいか」

優菜「あ!思い出した!オチは“だからテロって無くならないのよね”だった!」

ゆき「どこをどうやったらそんな国際的なオチに行き着くんだよ!」

優菜「それを忘れちゃったの…」

ゆき「しかも楽しいオチじゃないし…」

優菜「いや、わたしの頭の中では楽しかったの」

ゆき「今さらだけど、とんでもねえ頭してんな」



優菜「ゆきちゃん!」

ゆき「あ?って…その格好……」

優菜「見てみて!夏の新モデル!もう売ってたから、つい買っちゃった!夏を先取り!!」

ゆき「まだ4月じゃん……寒くない?」

優菜「う…ちょっと、先取りしすぎたかも…さむっ」

ゆき「上着貸そうか?」

優菜「…ありがと」



優菜「手乗り文鳥ってさ」

ゆき「またいきなりだな、おい」

優菜「手に乗らないよね」

ゆき「乗るでしょうが」

優菜「いや、わたしの手には乗らないのよね」

ゆき「その手にゃ乗らねえよ、ってこと?」

優菜「上手い!」

ゆき「いや、嬉しくない」

優菜「ゆきちゃんは小鳥とか飼ってた?」

ゆき「あ~…怪我したスズメを保護したことはある」

優菜「飼ってたわけじゃないんだ?」

ゆき「うん。だってスズメって飼えないし」

優菜「え?違法とか?」

ゆき「まあそれもあるけど…。人間に絶対なつかないの。えさあげても一切食べなかったし」

優菜「え……そうなんだ。それで、どうしたの?」

ゆき「どっか行っちゃった」

優菜「ふ~ん。スズメってたくましいんだね」

ゆき「優菜は?手乗り文鳥飼ってたわけ?」

優菜「うん。わたしに絶対になつかないの。えさあげても一切食べなかったし」

ゆき「それ、さっきのあたしのセリフじゃねえか。それで、どうしたの?」

優菜「どっか行っちゃった」

ゆき「なんでだよ」

優菜「…居心地、悪かったのかな」

ゆき「戻ってこなかったんだ?」

優菜「うん。目の前で焼き鳥食べたからかな…?」

ゆき「そういうブラックジョークを目の前で見せられて、呆れて愛想尽かしたんだな、きっと。で、その文鳥、なんて名前だったの?」

優菜「鳥取」

ゆき「くっだらねえ名前つけてくっだらねえことやるから逃げられるんだよ!!」



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