優菜&ゆきの会話集4
優菜「ねえ、ゆきちゃんて何歳だっけ?」
ゆき「あんたと同じだよ」
優菜「…私って、何歳だっけ」
ゆき「は…?」
優菜「時々何歳かわかんなくなっちゃうんだよね」
ゆき「年齢詐称しまくってるって証拠だな」
優菜「だってそうしないと採用してくれないんだもん」
ゆき「ちなみに今のバイト先にはいくつって言ってあるわけ?」
優菜「漠然と女子高生」
ゆき「ま、あんたなら通用するだろうね。童顔だもんね」
優菜「だからね、いつも制服コスプレしてバイト先行ってるわけなんだよね」
ゆき「何のバイトだっけ?」
優菜「制服コスプレ喫茶」
ゆき「…つまりコスプレして通勤して、またバイト先でコスプレするわけか。ってかいちいち着替える必要ないじゃん」
優菜「いや、コスプレはコスプレであって、やっぱ本物はマズいでしょ?」
ゆき「いいんじゃないの?マニヤな人は喜ぶでしょ」
優菜「んー…でもウチの高校の制服って人気ないし。全国制服図鑑でもランク低い」
ゆき「そんなんあるの?」
優菜「うん。お店でも人気ある子は、ランク高い高校の制服着るのを許されるわけ」
ゆき「へえー。クラスチェンジみたいなもの?パパラパパラパパー♪って……」
優菜「……クラス替えのこと?」
ゆき「あ、いや…知らないならいいよ…。んじゃあ優菜はバイト先でどこの高校の制服着てるわけ?」
優菜「ウチの制服」
ゆき「は?本物は着ないんじゃないの?」
優菜「うん。だから、レプリカ。ランク高いとこの制服もレプリカなんだよね」
ゆき「本物着て行って偽物に着替えるわけ?意味わかんねぇ…すっげえ無駄じゃん」
優菜「ううん。偽者って本物より薄手に出来てるから、涼しいよ」
ゆき「ふーん。ってそんだけかい」
優菜「ゆきちゃんはどう?制服コスプレ喫茶」
ゆき「ええ!?あたしはいいよ。おかえりなさいませー、みたいなことやらないといけないんでしょ?」
優菜「ううん。学校だから授業始めるの」
ゆき「何の授業だよ」
優菜「おいしいコーヒーの入れ方」
ゆき「…優菜が言うと、なんか妙にイヤらしく聞こえるんだけど」
優菜「へ?何で?」
ゆき「…いや、何でもない」
ゆき「ところで、ふと思ったんだけど」
優菜「ふんふん」
ゆき「ウルトラ金持ちのあんたが、なんでバイトしてるわけ?」
優菜「またまた~、そんな嫌味言って~」
ゆき「いや、だってバイトする必要ないじゃん」
優菜「あるよ」
ゆき「なんで」
優菜「彼氏ゲット」
ゆき「……オタ彼氏をゲット?」
優菜「いや、最近は普通の人が多いよ。そりゃ、オタな人もくるけど…」
ゆき「あ~……まあ今時コスプレなんて珍しくもないしね。一般的になってきたというか」
優菜「そうそう。海外の人も来るし」
ゆき「あ、やっぱり。日本語通じるの?」
優菜「まあまあね。通じない場合はボディランジェリーで」
ゆき「ランゲージな」
優菜「ボンテージ?」
ゆき「わざとだろ」
優菜「うん」
ゆき「ちっ」
優菜「うっわ~すっごい冷たい反応~」
ゆき「……んで、バイト代はどうしてるわけ?」
優菜「食べてる」
ゆき「カネゴンかお前は!もう少し説明文をつけろ!!」
優菜「もうめんどくさいなあ。だからあ、ラーメン屋さんで注文して、食べて、お店出るときにバイト代を使って払ってるわけ」
ゆき「簡単に食事代、って言えよ」
優菜「…そういう言い方も、いいよね!」
ゆき「めんどくせえやつ……んで?彼氏ゲット出来たわけ?」
優菜「よく考えたら、わたしって別に今のところ彼氏いらないんだよね」
ゆき「なんなんだよ」
優菜「だって…彼女がいるんだもん!」
ゆき「はあ?誰よ」
優菜「ゆきちゃん」
ゆき「てめえ、ぶっ殺すぞ」
優菜「反応はやっ!!……ってかダメ?」
ゆき「だから!そういう趣味は無いってあれほど…!」
優菜「あ、そうだ。じゃあゆきちゃんを男に改造すればいいわけだ。ね?」
ゆき「ね?じゃねえよ。宝塚かあたしは」
優菜「あ、宝塚似合いそう~。ゆきちゃん、宝塚コスプレ喫茶でバイトすれば?」
ゆき「あたしは今のバイトでいいんだよ」
優菜「ゆきちゃんの今のバイトって何だっけ?」
ゆき「…庭の草を火炎放射器で燃やすバイト」
優菜「ファイヤーウーマンじゃん!うわあかっこいいなあ…」
ゆき「あたしとしては、燃やせれば何でもいいわけよ」
優菜「燃える闘魂、ミスタープロレス!って感じ?」
ゆき「何でミスターだよ!!あたしは美少女だっての!!」
優菜「び、美少女……?」
ゆき「う……勢いで言っちゃったけど、恥ずかしいわ……」
優菜「こんちは、あゆちゃん」
あゆみ「ああ……法木さん。今日は早いのね」
優菜「うん、なんか早く目が覚めちゃってさ。授業始まるまでまだ一時間もあるね~」
あゆみ「……」
優菜「……」
あゆみ「……」
優菜「……」
あゆみ「……」
優菜「……」
あゆみ「……」
優菜「……」
あゆみ「……」
優菜「……」
あゆみ「……」
優菜「……」
ゆき「おはよ。って…二人で見つめ合っちゃって、どうしたの?」
あゆみ「……時を止めていたのよ。ね?」
優菜「え!そうだったの?わたしは金縛りにかけてたんだけど……」
ゆき「どっちも人間離れしてるな、おい」
未咲「え~っと……」
優菜「うわあ!制服だ~!!」
未咲「え?え?エ?あの、な、何ですか……!」
優菜「うわあ、かわいい~!ねえねえ触らせて!!」
未咲「ちょ、ちょっと……」
優菜「肌触りがいいなあ~」
ゆき「変態オヤジかお前は」
優菜「痛い!頭はやめなさい、頭は」
未咲「あ、あの……」
ゆき「ごめんね、こいつ制服コスプレ喫茶で働いててさ、すっかり制服マニヤになっちゃって」
優菜「マニヤじゃないもん!!仕事熱心っていいなさい」
未咲「は、はあ……」
ゆき「ところで、学校見学か何か?」
未咲「あ、いえ。あの、高校の先輩に会いに来たんですけど…」
優菜「え!?もしかして片思いの先輩にコクりに来たとか!?きゃあきゃあどうしましょ!ねえ、協力してあげようよ!!」
未咲「あ、いえ…女性の先輩なんですけど……」
優菜「おおっと…それはまた禁断の世界に…」
ゆき「おい!てめえは何でそういう発想しかねえんだよ!ぶち殺すぞコラ!!」
優菜「…な、なんか最近言葉使いがどんどん乱暴になってきてるような……」
ゆき「んで、なんて名前の先輩なの?もしかしたら知ってるかもしれないし」
未咲「あ、あの……河上先輩っていいます。河上あゆみさん…です」
優菜「あれ?なあんだ、あゆちゃんのかわいい後輩かぁ。あゆちゃんなら図書室にいるよ、多分」
ゆき「そっか、河上さんの……。じゃ、案内してあげるから、ついてきて」
未咲「助かります」
優菜「あれえ?いないなあ。ってか今日あゆちゃんって授業とってたかな?」
ゆき「1限目の文学の授業にはいたけどなあ……午後は授業とってないのかも」
未咲「え…あの、どういうことですか?」
ゆき「ん?ああ、大学って授業は自分で好きなものを選んで受けるの。だから人それぞれ出る授業が違うのよ」
未咲「ああ、そう言えばそうでしたね……仕方ない、出直すかなあ……」
優菜「あきらめるのはまだ早い!!」
ゆき「うるせえよ。音量絞れよ」
優菜「実は、わたしだけが知っているあゆちゃん出現スポットがあるのです」
ゆき「んだよそれ。河上さん心霊扱いかよ」
優菜「そこに行っていなかったらあきらめるしかない!それぐらい頻繁に出没するスポットなのです!あゆちゃん出没注意!」
ゆき「注意しなくてもいいだろうがよ。失礼なやつだな」
未咲「話が進まないんで、取りあえず行きませんか?」
ゆき「おっと、鋭い突っ込みが…」
優菜「最近の若い娘はドライじゃのう」
優菜「さて、ここなんですけど」
ゆき「ここって…空きテナントじゃん」
優菜「違う違う。二階二階!」
ゆき「二階って…あ~、駄菓子屋かあ」
未咲「うわ~、すっごいレトロなお店……こんなとこあったんだ……」
優菜「前にあゆちゃんと寄ったことあってさ。そしたらあゆちゃんが気に入っちゃって。一緒に紐付き飴ぺろぺろしちゃったりしてさ~」
未咲「え!!」
優菜「…あ、いや、じょ、冗談よ?もちろん…」
ゆき「妙な迫力あるな、この娘……」
優菜「…で、まあ図書館にいなかったら大体ここにいたりするんだけど」
未咲「……すっごい意外。あゆみさんって、こういう庶民的なお店って似合わないから……」
ゆき「まああの外見だしね。清楚なイメージだし。汚れちまった誰かと違って」
優菜「ああ!その視線が熱い!!」
ゆき「バカは放置して、行こうか」
未咲「はい」
優菜「放置プレイでゴー!」
優菜「こんちは~」
未咲「……誰もいない」
ゆき「おかしいなあ。あの~!誰かいませんか~!」
?「はい?」
未咲「あ!あゆみさん!!」
あゆみ「あら、未咲じゃない。それに二人とも…」
優菜「え?あゆちゃん、何で店の中にいるの?」
あゆみ「ああ……。留守番、頼まれたの」
ゆき「え?バイト?」
あゆみ「いえ。ここに立ち寄ったらお店の人が買い物に行きたいっていうから、今だけ…」
優菜「へえ~。ちょうどいい機会だから、あゆちゃんから何か買っていこうかな」
未咲「それ良いかも!!」
ゆき「目の輝きが尋常じゃないな、この娘…」
未咲「ねえ、あゆみさんのオススメって何?」
あゆみ「そうねえ……鈴カステラかしら」
未咲「うわあ、おいしそ~…ねえねえ、他には?」
あゆみ「やっぱりラムネかしら……」
未咲「なんか懐かしい感じ…。近所に駄菓子屋なんてなかったけど…」
あゆみ「ふふ……私もそうなんだ。でも何だか懐かしく思えて…居心地がいいのよね、ここって」
未咲「あゆみさん……」
あゆみ「………」
優菜「あ、二人の世界に亜空間突入しちゃった」
ゆき「こりゃダメだ。んじゃ、目的は果たしたしあたしたちは帰ろっか」
優菜「そだね」
優菜「ってか、あの二人、デキてるわね」
ゆき「はあ!?またあんたはそんなことを…」
優菜「いやいや。あのねゆきちゃん、今の時代、恋愛に性別なんて関係ないんだよ?」
ゆき「おおっ……なんか深い言葉のような……」
優菜「というわけで、わたしたちも!」
ゆき「ふざけんな!!あんまひっつくとムショぶち込むぞコラあ!!」
優菜「ってか、ゆきちゃん言葉使い乱暴すぎ!なんでそんなになっちゃったの?わたし悲しい…!」
ゆき「ああ、ちょっとヤクザ映画にハマっちゃっててね。それの影響かもコラ」
優菜「…女の子だったら恋愛映画みようよぉ……まあそこがゆきちゃんらしいとこか」