優菜&ゆきの会話集3
優菜&ゆきの会話集
優菜「ねえゆきちゃん、雪だるま作ろうよ」
ゆき「雪無ぇだろ!」
優菜「目の前にあるじゃん。ゆ・き・ちゃん!」
ゆき「うるせえバカ!」
優菜「…ゆきちゃんをダルマにしてしまえば、それで完成よ♪」
ゆき「うわっ…なんか凄い猟奇的な発言…」
優菜「…覚悟してね」
ゆき「…優菜、もしかして、ちょっと怒ってる…?」
優菜「いきなり“うるせえバカ”は、無いと思うの♪」
ゆき「…目が笑ってないって」
優菜「♪」
ゆき「わ…わかった。ごめん。冗談とはいえ、ちょっと言い過ぎた」
優菜「…ふふふ、ゆきちゃんったらちっちゃくなっちゃって“小雪”になっちゃった♪」
ゆき「うるせえバカ!」
優菜「あー、また言ったあ。そんなこと言うと“粉雪”にしちゃうよ?」
ゆき「そして、あたしと優菜の壮絶な戦いが…」
優菜「いや、無いから。…多分」
ゆき「優菜ってさ、仕送りもらってるの?」
優菜「うん。月200万」
ゆき「ほう。んじゃ通帳見せてもらおうか」
優菜「いいよ。はい」
ゆき「……え!!何これ!」
優菜「月200万はウソだけど」
ゆき「いや、それでもこんな…え!?じゃあなに、優菜って超お嬢様だったわけ?」
優菜「…まあ、それほどでも」
ゆき「…結婚して」
優菜「うわあ…お金目当て丸出しじゃん。ゆきちゃん最低〜」
ゆき「…ん?じゃあなんでしょっちゅうあたしがメシ代おごってあげなきゃいけないわけ?」
優菜「あ…えっとこれには深いわけが…」
ゆき「深く無い深く無い。じゃあ今日は優菜のおごりで焼肉ね♪」
優菜「……ダメなの」
ゆき「どうして?超お嬢様じゃん」
優菜「……服が」
ゆき「なに?」
優菜「服買えなくなっちゃうから、ダメーー!」
ゆき「我慢しろ」
優菜「うう……言わなきゃよかった…」
優菜「ねえゆきちゃん」
ゆき「何ですかお嬢様」
優菜「…なんかすっごいヒニクな感じ」
ゆき「しょせんあたしは庶民ですから」
優菜「…やっぱり言わなきゃよかった。お金あるとかないとか関係無しに、ゆきちゃんと付き合いたいのに…」
ゆき「あのね、それはどうでもいいし、あたしは気にしてないの。あたしはね、お金持ってるくせにあたしにメシ代おごらせるあんたの神経がわかんないわけ。わかる?」
優菜「え…?ゆきちゃん、怒ってるの?」
ゆき「そりゃそうよ。服買えないだなんて、そんなのあんたのわがままじゃん。こっちもそんな余裕無いし、あんたのわがままには付き合ってらんないわけ。だから、もうおごらないから、そのつもりで。いい?」
優菜「う……わかった。今までごめんなさい、ゆきちゃん。私の…わがままで…ひぐっ」
ゆき「…優菜?」
優菜「ごめんなさあ〜い…ひぐっ…えぐっ」
ゆき「ああもう泣かないの…あたしもちょっと冷たく言い過ぎたね。ごめん。ほら、ヨシヨシ…」
優菜「…エヘヘ。ゆきちゃんってばやっぱり優しいなあ…大好き」
ゆき「…ま、泣かせるのはあたしの趣味じゃないから」
優菜「…でね、ゆきちゃん」
ゆき「なあに?」
優菜「…今月ピンチなの」
ゆき「知るかバカ!雑草食って寝てろ!」
優菜「ゆきちゃーん、今日だけだから〜」
ゆき「知らん!」
優菜「さ、入って入って」
ゆき「ここが優菜のうちかあ…ってかこんなデカい家に何で一人で住んでるわけ?」
優菜「んー…まあ元々は貸家にしてたんだけど誰も住む人いなくなっちゃったから」
ゆき「ふーん。家賃高そうだなあ」
優菜「いや、めっちゃ安いよ。30円」
ゆき「そりゃあんただからでしょ!ってか自分の娘が住むのに家賃とるんだ?」
優菜「そう。そこは厳しいんだよね、うちは。毎月30円きっちり引かれてるからね」
ゆき「…きっちり、ねえ。厳しいんだか厳しくないんだか…」
優菜「ちなみにそれ以外に光熱費が5円」
ゆき「なんか昭和の貨幣感覚になりそうだな」
優菜「え?昭和って光熱費5円だったの?」
ゆき「そんなとこ突っ込まなくていいから。ところで一人ってことは自炊?」
優菜「うん。ミキサーあれば何でも出来るよ」
ゆき「ミキサー大帝か」
優菜「ん?何それ?」
ゆき「いや、別に…。ってかミキサーでそんな何でも料理出来ると思うなよ」
優菜「いやいや、それが出来ちゃうんだよね〜!料理のリミックスっていうか、カッティング&スクラッチでシャカシャカ?」
ゆき「…敢えて危険に身をさらすけど、何のリミックスしてんの?」
優菜「和洋折衷」
ゆき「四字熟語使ったからって偉そうにしてんなよ?つまりアレか、ごはんとパンをリミックス?」
優菜「そんな気持ち悪いことしないよ〜。ゆきちゃんってば面白すぎ!あははっ!」
ゆき「いや、真面目に答えたんだけど。優菜ならやりそうだから」
優菜「あははっ!やらないってば!あんパンと赤飯はやったけどさ〜!」
ゆき「似たようなもんじゃねえか」
優菜「おはぎっぽい味になってなかなかおいしいよ」
ゆき「普通におはぎ食え」
優菜「他には卵とお酢をリミックスとか」
ゆき「マヨネーズだな、それは」
優菜「それをご飯にかけてー」
ゆき「ただのマヨネーズご飯だな」
優菜「再び卵をかけてー」
ゆき「卵かけマヨネーズご飯だな」
優菜「もう一回リミックス!超おいしい!」
ゆき「しょうゆぐらいかけろ!」
優菜「あー…私しょうゆはあんまり好きじゃないんだよねー」
ゆき「日本人やめろ!ってかいい加減に何でもミキサーかけるなよ!ラリアットかますぞ!」
優菜「だって噛むのがめんどくさいんだもん」
ゆき「人間やめろ!大体お嬢様がそんなん食べてちゃダメでしょうが」
優菜「じゃあお嬢様っぽい食べ物って何よ」
ゆき「うーん…キャビア?」
優菜「あーだめだめ。魚の卵は嫌いなの」
ゆき「…フランス料理とか」
優菜「好きじゃないなあ。それだったら牛丼食べるし」
ゆき「庶民的だねえ優菜って」
優菜「ね?だから全然お嬢様じゃないんだってば。お金に困らないだけだもん」
ゆき「それをお嬢様って言うんだよドアホ」
ゆき「しょうがない。あたしが作るか」
優菜「わーい♪ゆきちゃんの手料理♪楽しみ楽しみ♪」
ゆき「…あ、もしもし、エビチリと唐揚げ二人前ずつ」
優菜「え…出前?」
ゆき「そう」
優菜「あたしが作るって言ったじゃんかー!」
ゆき「作るのはご飯だけよ。さて、お米はある?」
優菜「うわー、なんかサギくさいなー」
ゆき「優菜、ご飯炊ける?」
優菜「うっ…いや、レンジで作ったことなら」
ゆき「それはあっためただけでしょうが。なら文句言わないの」
優菜「…ん?じゃあもしかしてゆきちゃんも自炊はしてない…?」
ゆき「…まあ、そういうこと。作るのめんどくさいから、焼くか煮るかしかしたことないし」
優菜「それでも十分じゃない!凄ーい!私なんて出前すら頼んだことないよ!買い出しにも行かないし」
ゆき「…あんた、一体何食って生きてるの?」
優菜「さ、ご飯も食べたし、お風呂お風呂♪」
ゆき「こんだけデカい家ならお風呂も相当広いんだろうな…」
優菜「んー…50人くらいは入れるかな」
ゆき「うそっ!温泉なみじゃん!」
優菜「うそに決まってるじゃん。バカねえゆきちゃんは」
ゆき「すげえムカつくんだけど」
優菜「まあまあ。50人は言い過ぎだけど、30人くらいはいけるよ」
ゆき「それでも相当凄いよ!中途半端なうそつくなよ」
優菜「いや、でも20人の差は大きいよね」
ゆき「確かに大きいけど…あーめんどくせえ!いいから案内して!見るのがいちばん早いんだから!」
優菜「じゃ、我が家のお風呂にどうぞー♪」
ゆき「…え!何これ!超大浴場じゃん!100人は入れるじゃない!お前どういう計算してんだよ!」
優菜「いや、普通に…」
ゆき「普通じゃないわよ!いや!どうしましょ!?こんなに広いと落ち着かないわよ!」
優菜「ゆきちゃん、混乱してオカマみたいな口調になってる」
ゆき「女に戻ってるんだよ!」
優菜「へ?ゆきちゃん、女の子だよね…?」
ゆき「あーあーあー、わけわかんなくなってきた…」
優菜「ままま、落ち着いて。どうせここ使わないから」
ゆき「…え?」
優菜「たまに業者さんが来て色々点検してたんだけど、私一人で使っててもしょうがないし無駄だから、そろそろ取り壊す予定なの」
ゆき「なんだ、そうなの…がっかり」
優菜「そういうこと。隣にもお風呂あるから、いつもはそこ使ってるの」
ゆき「…ねえ、あんたいま使“わ”ないって言ったよね?使“え”ないわけじゃないの?」
優菜「うん。まだ使えるよ」
ゆき「ねえ、じゃあ取り壊す前の最後ってことで、使ってみようよ」
優菜「え?うーん…そうだねー。私も使うの初めてだけど」
ゆき「やった!ありがとう優菜!夢だったんだよね、こういうおっきなお風呂って」
優菜「…まだ、取り壊さない方がいいのかも…」
ゆき「ん?なに?なんか言った?」
優菜「え?いや、別に…。じゃ、準備してくるね」
ゆき「一人で大丈夫なの?機械操作とかするんでしょ?難しいんじゃない?」
優菜「ううん。ボタン押すだけだから。じゃ、先に全裸になっててよ」
ゆき「いやに直接的な表現…」
優菜「だって、先にヌードになってて、って言うのもなんかイヤらしいでしょ?」
ゆき「入る準備してて、でいいじゃん」
優菜「……ああ」
ゆき「エロなことしか考えてないから、言葉が出てこなくなるんでしょうが」
優菜「でも、不便に思ったことないよ」
ゆき「……ああ」
ゆき「はあ〜…まるで温泉みたい…」
優菜「温泉水じゃないけどね」
ゆき「しかし、これが自宅のお風呂かあ…確かに落ち着かないかも」
優菜「あと98人入れば落ち着く?」
ゆき「それも落ち着かないなあ…」
優菜「じゃあ何人くらいならいいの?」
ゆき「…二人、かな」
優菜「わっ!それってまさか…!」
ゆき「真面目な話、あんたといる時がいちばん落ち着くんだよね。気使わなくていいしさ、それに優菜ってば何言うかわからないから面白いし、まるでバカみたいだよ!!」
優菜「…ゆきちゃん、照れてる?」
ゆき「…ん、のぼせたかな〜…」
優菜「私も…ゆきちゃんと一緒の時がさ…あの…」
ゆき「…ん?」
優菜「…楽しい…かな、って…」
ゆき「え?なに?」
優菜「…ううん、何でもない。そんなこと…言わなくたってさ……わかってるよね……うん……」
ゆき「優菜?どうしたの?急に暗くなっちゃって」
優菜「私ってね、ホントはすっごい暗い人間なの。無理して笑顔を作って…」
ゆき「んなアホな」
優菜「…ホントだよ」
ゆき「…いつになくマジだね」
優菜「お湯に浸かってるからかな…。つい気がゆるんで、本音が出ちゃうなあ…」
ゆき「いつもゆるみっぱなしでしょ?優菜は」
優菜「それはゆきちゃんと一緒だからだよ」
ゆき「…な、なによ、そんな見つめて…」
優菜「ゆきちゃん…」
ゆき「いや、だからあたしにはそういう趣味は…」
優菜「ねえ…」
ゆき「やめんかバカモノ!」
ゴツッ!
優菜「いったあああい!漫画じゃないんだからさあ、脳天ゲンコツやめてよ脳天ゲンコツは!」
ゆき「全く見下げ果てたヤツだな、優菜は!」
優菜「波平さんか、あんたは」
ゆき「あーいいお湯だったわ♪」
優菜「わたしゃ脳天が痛い…脳天直撃セガサ」
ゆき「やめなさい」
優菜「突っ込んでくれてオブリガード」
ゆき「さ、じゃあ一杯やろうか」
優菜「そだね。何がいい?」
ゆき「何がって…まさか何でもあるの?」
優菜「地下にいっぱいあるよ」
ゆき「地下?すごいなあ…そこって不思議のダンジョンになってたりする?」
優菜「へ?何の話?」
ゆき「…ごめん、はしゃぎすぎた。ってか何があるの?」
優菜「わかんない。行ったことないの」
ゆき「じゃ何がいい?って聞くなよ」
優菜「聞きたかったの」
ゆき「ああ…そう…」
優菜「……」
ゆき「……」
優菜「……」
ゆき「思考停止するから、さっさと行こ」
優菜「では」
ゆき「うわあ〜…真っ暗」
優菜「あれ?電気つかない…」
ゆき「うそっ!懐中電灯はないの?」
優菜「無い…」
ゆき「じゃあ諦めるか…」
優菜「携帯の明かりで行くしかないっ!」
ゆき「うわっ!何でいきなりそんなやる気に…」
優菜「暗いとこ探検するの大好き!」
ゆき「はあ…そうですか」
優菜「いっくよー!」
ゆき「うーん…めちゃ頼りない明かり…」
優菜「なんか冷蔵庫がいっぱいある」
ゆき「さびてない?これ、使えるの?」
優菜「開けてみようよ。じゃかじゃん♪」
ゆき「…なんだ、普通に使えるじゃん。じゃあ、ここにある冷蔵庫、全部こんな感じでお酒が入ってるの?」
優菜「……コーラって書いてあるよ」
ゆき「お酒以外もあるんだね。へえ~……って、なにこれ!!昭和時代のやつじゃん!!」
優菜「こっちの冷蔵庫は?じゃかじゃん♪」
ゆき「何この液体…。ラベルもなんにもない…」
優菜「透明だから、ミネラルウォーターじゃないの?ほら、水割りに使う…」
ゆき「怪しいなあ……こっちは?」
ゆき・優菜「うわあああああああっっ!!!」
優菜「超びっくり…いわゆるゲジゲジ酒?」
ゆき「デカすぎるよ!!ってかゲジゲジ酒ってなんだよ!!昆虫漬けるなよ!!!イヤ!もうイヤ!!お酒なんていらないから、出ようよ優菜!!」
優菜「もう、昆虫嫌いなんだからあ、ゆきちゃんは。せっかくここまで来たんだから、なんか一本持っていこうよ」
ゆき「ゲジ酒に手を伸ばすな!!!他のにしましょうよ!!ね!?」
優菜「じゃあ隣は何かな?じゃかじゃん」
ゆき・優菜「ウッキャーーーーーー!!!」
ゆき「あ、いや、何だマムシ酒か…。ゲジよりはマシだわ…」
バタン
ゆき「ん?あれ!優菜!ちょっと大丈夫?…うわあ気ぃ失っちゃったよ…。ゲジは大丈夫なのにマムシは駄目なのか…。まったく…ほら、優菜!起きて」
優菜「う……ううん……」
ゆき「優菜、大丈夫?」
優菜「うわ!!」
ゆき「ああ!!っと、いきなり起きるなって!」
優菜「あ~、びっくりした。じゃ、次行ってみよう。じゃかじゃん♪」
ゆき「立ち直り早いなあ」
ドカドカドカドカ
ゆき「あ~あ~あ~…こっちは氷が山のように入ってたのか……優菜?大丈夫~?」
優菜「冷たい!窒息した!!」
ゆき「あ~あ、もう……大丈夫?びしょびしょじゃない」
優菜「う~…めちゃ寒い。冷たい。湯冷めしちゃうじゃん…うう……」
ゆき「飲み物はあきらめて、さっさと出ようよ。体あっためないと…」
優菜「うう~……それじゃあお言葉に甘えて、ゆきちゃんにあったかいことしてもらおうっと」
ゆき「そんなことしません!!どさくさまぎれにゲジ酒に手を伸ばすな!!ああもう、何から突っ込んで言いのやら……」
優菜「ってか”そんなこと”って、なあに?」
ゆき「うるせえバカ!ゆなだるまにするぞ!!」
優菜「…おお、冒頭に戻ってしまった」