優菜&ゆきの会話集 CROSSOVER ELEVEN
優菜「もうすぐ、時計の針は、十二時をまわろうとしています…」
ゆき「おお~津嘉山正種」
優菜「わたしらのくっだらない会話もこれで第11回ってことで、クロスオーバーイレブンみたいなお話をちょっとやってみようかと」
ゆき「くっだらないのは優菜だけなんだけどな。まあちょっとお洒落な感じでやってみるのもいいかもね」
優菜「じゃあちょっと今回は真面目に」
ゆき「いってみますか」
※クロスオーバーイレブンとは…
NHK-FMで放送されていた、良質の音楽番組。詳しいことはググって勝手に調べてね。
優菜「その時、私は十代の子どもだった…」
ゆき「今でも十分子どもだけどな」
優菜「あの頃、野原をかけまわり、やってきた転校生と楽しく過ごしていた…」
ゆき「あんたの行ってた小学校って住宅街のど真ん中なんでしょ。野原なんてねえし。いきなりウソか」
優菜「ちょっと!!ちょいちょい邪魔してこないでよ!!」
ゆき「やっぱり合わないよ、あたしらには」
優菜「もうちょい!もうちょい頑張ってみようよ、ね?」
ゆき「…ネタ切れするまでやってみますか」
優菜「あの頃、私はゲームボーイに夢中で」
ゆき「な~んか違うなあ」
優菜「じゃあ、ポケモン」
ゆき「じゃあってなんだよ。記憶を捏造しちゃいかんでしょうが。ってかポケモンとか出てくるクロスオーバーイレブンなんてイヤだ」
優菜「スクリプト、法木優菜。語り手はわたくし…」
ゆき「おい!もうエンディングかよ!!」
優菜「…………」
ゆき「…………」
優菜「…………」
ゆき「…………」
優菜「…………」
ゆき「…………」
優菜「…………」
ゆき「…………」
優菜「…………」
ゆき「…………え、もうネタ切れしたの?」
優菜「うん」
ゆき「早えな、おい。何にも始まってねえし。何か始まる気配すらねえし。ってか終ってるし」
優菜「やっぱ無理!」
ゆき「じゃ、どうしようか」
優菜「ラーメン食べにいこうよ」
ゆき「そうだね」
優菜「というわけでいつも通りに戻りまして」
ゆき「はいはい」
優菜「ねえゆきちゃん」
ゆき「ん?」
優菜「普通のラーメンとつけ麺と、どっちが好き?」
ゆき「そうだな~…………」
優菜「うん」
ゆき「え~~っと………そうだねえ~………」
優菜「うんうん」
ゆき「あ~~~……………」
優菜「って、そんなに迷うの!?」
ゆき「いや、そもそもラーメンがあんまり好きじゃないから、どっちを選んでも好きとは言えないんだわ」
優菜「ちょっと待って!!これじゃ攻守交替じゃないの!!」
ゆき「え?何が?」
優菜「そういうアホみたいな答えは私の役目なの!この前も言ったでしょ!立ち位置も決まってるんだから!!」
ゆき「アホみたいって……普通に答えただけなのに……」
優菜「私はやっぱりおそばが好きだな~」
ゆき「ラーメンじゃねえのかよ!!」
優菜「そうそう!コレ!コレこそが私たちの正しき姿!!」
ゆき「はあ…。私もアホの仲間入りなんだよね、結局は……」
優菜「ねえゆきちゃん」
ゆき「あんだよ」
優菜「ゆきちゃんにとっての究極の幸せって何?」
ゆき「え?幸せ?いや、そんなん考えたこともないけど」
優菜「例えば、でっかい家に住んで、お金の心配しなくていい生活、とか」
ゆき「あんたじゃん」
優菜「すいませんねえ、えへへ」
ゆき「ムカつくなあ、おい!!てめえ、スネ夫並みだな!!」
優菜「ぼんぱかぱっぱ、ぼんぱかぱかぱか」
ゆき「なに、そのBGMは」
優菜「スネ夫が自慢する時に流れるBGM」
ゆき「ああそうかい」
優菜「で?究極の幸せって?」
ゆき「ああ~……そうだなあ、あたしのことが大好きなイケメンと結婚してかわいい子ども…娘がいいなあ…それでお金の心配しなくてよくって、あたしは好きな絵を一日描いて暮らして、それが世界的に認められちゃって…なんて、望みすぎだよなあ」
優菜「え。そんなもんでいいの?」
ゆき「え!そ、そんなもん!?」
優菜「だって、実際そういう人いるじゃん」
ゆき「…そ、そりゃあ、いるんだろうけどさ……」
優菜「そんなの、全然究極じゃないよ。小さい小さい!もっとスケールをデカくしないと!!」
ゆき「じゃあ、優菜はどんなのよ?」
優菜「宇宙をこの手に!!」
ゆき「それ、幸せなの?」
優菜「全宇宙の掌握こそが、わが幸せ!!」
ゆき「で、全宇宙を手に入れてどうするつもり?」
優菜「宇宙を思い通りに動かすの」
ゆき「で?」
優菜「それで、私のことを大好きなイケメンと出会ってかわいい子どもがいて、お金の心配しないで好きなことしてそれが世界的に認められて…」
ゆき「結果的には、あたしと言ってること同じじゃねえか」
優菜「…あれ?」
優菜「こういう難しいことは、あゆにゃんに聞いてみよう!!」
ゆき「河上さんなら、きっと答えてくれるだろうね」
優菜「あ、いたいた!ねえ、あゆにゃん!あゆにゃんの究極の幸せって何?」
あゆみ「現状維持」
優菜「おお~、四文字熟語、かっこいい~」
ゆき「さすがだね」
あゆみ「高望みはしないわ…。不幸なことが起きなければそれでいいのよ……」
ゆき「で、本当は?」
あゆみ「未咲と……………」
優菜「うん?」
ゆき「…どうしたの、河上さん?顔、真っ赤だよ」
あゆみ「…自主規制」
優菜「おお~、またも四文字熟語」
ゆき「一応突っ込んでおくけど、さっきのも四文字熟語じゃないからね」
優菜「じゃあ、ちょっと質問を変えて…。ゆきちゃんが幸せを感じる時って、どういう時?」
ゆき「あ~、そうだなあ。お金拾った時かな」
優菜「いくらぐらい?」
ゆき「5千円かな」
優菜「なんかしみったれた幸せね」
ゆき「うるせえな!金持ちのドグサレお嬢様にはわかんねんだよ!この切ねえ気持ちがよ!!」
優菜「もっと他にあるでしょ?例えば、おうちでゆっくりとくつろいでコーヒー飲む時、とか」
ゆき「そんなまともな答えでいいの?」
優菜「うん」
ゆき「あ、そ、そうなの…。んじゃあ、ちょっと真面目に…。やっぱり絵を描いてる時かなあ」
優菜「それは、幸せ、っていうのとはちょっと違くない?」
ゆき「え?そう?」
優菜「それっていうのは、充実してるっていうのを感じてる、ってことだと思う。充実=幸せ、っていうのはちょっと違うと思うんだ。充実してないけど、でも幸せって感じるものじゃない?」
ゆき「…なんか、優菜がすげえ優等生に見える」
優菜「私だってね、真面目なトコはあるんだから。そこにグッときちゃうわけなんだけど」
ゆき「誰が?」
優菜「世界中の生物」
ゆき「スケールデカいんだかバカらしいんだか……」
優菜「ということでもう一回挑戦!幸せを感じる時って?」
ゆき「う~ん……。深く考えると、無い、かも……」
優菜「じゃあゆきちゃん、不幸を感じてる?」
ゆき「それは、無いなあ」
優菜「じゃあ幸せなんじゃない?」
ゆき「そうなのかなあ」
優菜「と、このように、幸せというものはなかなか感じないぐらい、ささやかなものなのです」
ゆき「おお~。なんかキレイにまとまった感じ。で、優菜はどうなの?」
優菜「おいしいケーキに出会った時がいちばん幸せ!!」
ゆき「単純って素晴らしいなあ……。世の中って、単純でバカなのが一番幸せなのかも…」