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風鈴ものがたり

作者: 葵生
掲載日:2025/12/31

間に合った!?

なろうラジオ用、二作目ですっ!

 ちりんちりん。


 暑さが襲ってくる、そんな風に錯覚してしまいそうな日本の夏。そこに涼しげに鳴る風鈴の音が心地よく耳に響いた。


「今年もやってきたわね・・・」

「おう、女将!」


 ぽつりと呟いた着物姿の女性に、親しげに近寄るのは洋服姿の男性。どちらも見目がよく、美男美女。


「あら、(さとる)

「久しぶりだな、洋子。元気そうで何よりだ」


 二人は高校時代の同級生。かなり久しぶりの再会だ。


 ちりんちりぃん。


 余韻を残しながら、また風が吹いて風鈴を揺らす。


 二人の間に、あの夏が戻ってくる。





「十三年後。俺たちが三十歳同士になっても、お互い恋人がいなかったら結婚しようぜ」


 如水悟(じょすいさとる)の真剣な口調を今でも、高橋洋子は覚えている。


 夏だった。


 お互いに若くて、高校の制服をきていた。洋子はパックジュースを飲みながら、もうすぐ引っ越していく悟の言葉を聞いていた。


「ごほっ・・・。ええ? 本気で?」


 洋子の頬に赤みが差す。もちろん、暑さだけではないのは二人とも分かっていた。


 悟は洋子を真剣に見つめていた。


「もちろん」

「嘘でしょ、だってあたし・・・」

「知ってる。料亭の女将にならなきゃダメなんだろ。それに相応しい夫が必要なんだろ」


 悟は知ってる、ともう一度繰り返していった。


「・・・本当に? 良いのね、後悔しない? その言葉」

「ああ。もちろん」


 悟の本気だという言葉がわかるその態度に、洋子はパックジュースを口から離し、頷いた。


「分かったわ」

「良かった。・・・じゃあ、まだ結婚していなかったら、洋子の料亭に風鈴吊るしといてくれないか。十三年後の今日、確認しにいく」

「・・・分かったわ」


 料亭ならば、どこでも風鈴はつるしているだろうとも思うかもしれないが、洋子の料亭はつけないのが何故か主義だった。







 回想から戻った洋子は、目の前にいる男に目を向けた。


「お帰り。十三年ぶりね」

「ああ・・・。風鈴、きれいな音だな」

「そうね・・・。聞いたのはいつぶりかしらね」


 洋子のその言葉を聞くと、悟はくしゃっとこわばっていた顔を歪めて、笑った。


 そして、洋子に近づくと、


「結婚しよう」

「もちろんよ」


 ちりんちりぃん。

やばい、、時間ギリギリィっ!

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