風鈴ものがたり
間に合った!?
なろうラジオ用、二作目ですっ!
ちりんちりん。
暑さが襲ってくる、そんな風に錯覚してしまいそうな日本の夏。そこに涼しげに鳴る風鈴の音が心地よく耳に響いた。
「今年もやってきたわね・・・」
「おう、女将!」
ぽつりと呟いた着物姿の女性に、親しげに近寄るのは洋服姿の男性。どちらも見目がよく、美男美女。
「あら、悟」
「久しぶりだな、洋子。元気そうで何よりだ」
二人は高校時代の同級生。かなり久しぶりの再会だ。
ちりんちりぃん。
余韻を残しながら、また風が吹いて風鈴を揺らす。
二人の間に、あの夏が戻ってくる。
「十三年後。俺たちが三十歳同士になっても、お互い恋人がいなかったら結婚しようぜ」
如水悟の真剣な口調を今でも、高橋洋子は覚えている。
夏だった。
お互いに若くて、高校の制服をきていた。洋子はパックジュースを飲みながら、もうすぐ引っ越していく悟の言葉を聞いていた。
「ごほっ・・・。ええ? 本気で?」
洋子の頬に赤みが差す。もちろん、暑さだけではないのは二人とも分かっていた。
悟は洋子を真剣に見つめていた。
「もちろん」
「嘘でしょ、だってあたし・・・」
「知ってる。料亭の女将にならなきゃダメなんだろ。それに相応しい夫が必要なんだろ」
悟は知ってる、ともう一度繰り返していった。
「・・・本当に? 良いのね、後悔しない? その言葉」
「ああ。もちろん」
悟の本気だという言葉がわかるその態度に、洋子はパックジュースを口から離し、頷いた。
「分かったわ」
「良かった。・・・じゃあ、まだ結婚していなかったら、洋子の料亭に風鈴吊るしといてくれないか。十三年後の今日、確認しにいく」
「・・・分かったわ」
料亭ならば、どこでも風鈴はつるしているだろうとも思うかもしれないが、洋子の料亭はつけないのが何故か主義だった。
回想から戻った洋子は、目の前にいる男に目を向けた。
「お帰り。十三年ぶりね」
「ああ・・・。風鈴、きれいな音だな」
「そうね・・・。聞いたのはいつぶりかしらね」
洋子のその言葉を聞くと、悟はくしゃっとこわばっていた顔を歪めて、笑った。
そして、洋子に近づくと、
「結婚しよう」
「もちろんよ」
ちりんちりぃん。
やばい、、時間ギリギリィっ!




