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君が僕に心をくれるなら僕は君に全てをあげよう  作者: 下菊みこと


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9/88

目には目を、歯には歯を

ぐっすり眠るコトハの横で考える。


さて、いじめっ子どもをどうしてくれよう。


「…内ゲバでもさせようか」


標的は村の小学校に通う子供たち全員。


コトハをいじめた奴らは一人たりとて逃さない。


ちょちょいと呪いをかける。


「さてさて、結果が楽しみだ」


クスクスと笑う僕は、多分今コトハには見せられない顔をしている。


コトハが寝ている間に済ませて正解だな。



















私が勤める学校では、ある日唐突に学級崩壊が起こった。


学年問わず全生徒がそれぞれお互いを罵り暴れて、殴る蹴るの大騒動になったのだ。


何が理由かは明白だ。


あの娘が登校しなくなったから。


今までは全生徒のストレスの捌け口になっていたあの子が逃げ出したから。


「自分だけ安全地帯にいるなんて…なんて子なの!」


性格の悪いクソ娘!


どうせあの男の子供なのだからロクでもないのだろうと思っていたが、やはり蓋を開けてみればこれだ!


地主様の親族だからって調子に乗って!


従兄である凪様があんな娘にまで情をかけたからと、今までと違って偉ぶって!


お前にはサンドバッグがお似合いなのに。


『へえ、一番のいじめっ子はお前かぁ』


「…誰かいるの!?」


『コトハの担任の先生のくせに、僕にだけ媚を売って…コトハのことはそんな風に思ってたんだね』


「…な、凪様?」


『ならそうだな。君にサンドバッグの役を演じてもらおうかな』


パチンと音が聞こえた。


意識が暗転した。














「君は本当に使えないな!」


「え、で、ですが」


「学級崩壊の責任をどう取るのだ!」


「他の学年でも学級崩壊が起きていて…」


「うるさい!口答えをするな!」


みんな仲のいい、和気藹々とした雰囲気の職場だった。


あの子の悪口さえ言っていれば、それでみんな笑顔になっていた。


なのに、あの子が学校に登校していない今。


私があの子の代わりになった。


あの子を登校させようとしても、凪様が首を横に振る。


「地主様の孫である凪様に嫌われては、この村では生きていけない…」


けれどこのままでは私が耐えられない。


どうすればいいの?


子供達の争いも止まず、みんなすごい怪我を負って…今は学級閉鎖している始末。


教育委員会からもどういうことかとお叱りを受けている。


そして、その全ての責任をなぜか私が負わされそうになっている。


「どうしてこんなことに…」


私は何を間違えたのだろう。


今まで全てが上手くいっていたのに、足元から崩壊していくようだ。


私が悪いのだろうか。


凪様はどうしてあんな娘に情をかけるのか。


私を助けて欲しいくらいなのに。


『それは一生ないから安心しなよ』


また幻聴が聞こえる。


最近本当に精神的に参ってしまっているらしい。


あのお優しい凪様が、そんなことを言うはずがないのに。


『お前らに優しくする価値などないよ』


首を振る。


凪様がこんなことを言うはずがないんだから。


耳を押さえて、目をぎゅっと閉じる。


もう、許して欲しい。


『許しなど与えるものか』


…ああ、もう許して。

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