兄様の望み
兄様が何故か私を見つめる。
マミちゃんの恋話をしてから、兄様が変だ。
と思ったら、兄様が切ない表情を浮かべた。
そして、覚悟を決めた顔をした。
…なんだろう?
「兄様、どうしたの?」
「ねえ、コトハ」
「うん」
「僕はコトハとの未来を望んでる」
私との未来?
どういう意味だろうか。
兄様は緊張した面持ちで、ゆっくりと話す。
「僕はコトハと出会えて良かった」
「…」
「コトハと出会えて、守り神としての側面を得て。コトハと過ごしてきたこれまでの日々も幸せで。だけど、僕は…わがままだから、もっともっと幸せを求めてしまう」
「…兄様?」
どうしたの。
どういう意味なの。
胸が高鳴る。
勝手に都合のいい期待を向けてしまう。
その先の言葉に、希望を見出してしまう。
「僕は昔、ロリコンじゃない、紫の上計画じゃないと言ったけど…」
「う、うん」
「…結果的に、そうなってしまった。あの天の使いの言った通りになってしまった」
「そ、それって…」
「特別なきっかけがあったわけじゃない。コトハが大学生になった辺りで不意に横顔にグッときてしまって…それから意識してしまっている。コトハに悟られたら嫌われるかもしれないから、必死になって隠していたけど…もう、我慢できない」
胸が高鳴って苦しい。
こんな幸運、あっていいんだろうか。
好きな人と両想いになれるなんて。
こんな幸福があるなんて。
嬉しすぎて、涙がこぼれた。
「コトハ!?ご、ごめん、嫌だったよね、ごめんね!」
「いやじゃ、ないぃ…」
「え」
「兄様、続き、聞かせてっ…」
「う、うん…好きだよ、コトハ。君に恋してる。そして愛してる」
その言葉に、兄様の胸に飛び込んだ。
「コトハっ!?」
「私も好きぃっ!!!」
泣いてぐしゃぐしゃの可愛くない顔だけど、胸に飛び込んだから関係ないだろう。
想いをぶつけることにした。
「私も兄様が好き!兄様に恋してるし愛してる!」
「え、ほ、本当に!?気を遣わなくても…」
「本当に好き!」
「コトハっ」
ぎゅーっと抱きしめ返される。
「嬉しい、コトハにそう言ってもらえるなんて…嬉しいよ、コトハ」
「兄様…っ」
「コトハ…結婚を前提に、お付き合いしてくれる?」
「もちろん!」
「それでね、コトハ」
身体を離されて、真剣な表情で聞かれる。
「結婚したら、僕の眷属になってくれる?」
「眷属に?」
「僕と同じような存在になってくれる?」
「うん、もちろん!」
「本当にいいの?人間じゃなくなるんだよ」
兄様の問いに笑顔で答える。
「いいよ、兄様といられればそれで」
「じゃあ…結婚して眷属になったら、僕と天の国に登ってくれる?」
「もちろん!」
「もうマミと会えないよ」
それを言われてちょっと固まる。
でも。
「マミちゃんと会えなくなるのは悲しい。苦しい。でも、兄様といられればそれでいいの」
「コトハっ」
もう一度ぎゅーっと抱きしめられる。
「愛してる。ずっと一緒にいて」
「私も愛してる。ずっと一緒にいようね」
こうして兄様と私の心は通じ合った。




