新たな保護者となる
結果的に、コトハの両親はすぐに見つかった。
逃避行ごっこもこれでおしまい。
そしてコトハを放置した保護責任者遺棄罪でそのまま逮捕されることになった。
肝心のコトハの処遇だが、僕が監護権をもぎ取った。
仕事はないが金はあるので、弁護士に助けてもらってゴリ押しした。
「コトハ、大事なお話があるんだ」
「なに?兄様」
「コトハのお義父さんとお母さんが見つかったよ」
「本当!?」
「うん、でも二人ともとっても悪い子だから…警察のお世話になっててね、刑務所に行っちゃうんだ」
僕の言葉に泣きそうになるコトハを抱きしめる。
「でもね、コトハ。僕が代わりにコトハを育てていいことになったから…これからは僕がコトハを守るよ。絶対守るから」
「…兄様はどこにもいかない?」
「もちろん。君の一生が終わるまで、見守り続けるよ」
ぎゅっとコトハが僕を抱きしめ返してくる。
この小さな子を、これ以上悲しませないために。
彼らとは、今は悲しくてもきちんと縁を切ろうね。
娘を放置した罪で捕まった。
あの子が前の夫の子ではないとわかって、前の夫に捨てられた。
あの子の父親に心当たりが多過ぎて誰なのか特定できなくて。
そんな私でも受け入れてくれる人と再婚した。
元々この子のせいで悲惨な目にあったのだからと、ネグレクトを繰り返して、繰り返して…ある日、彼が闇金に手を出して借金の督促状が届いたことで、あの子を置いて逃げ出した。
「まさか、親戚に売られるなんて」
結果私たちは捕まって、バラバラに収監されて、幸せだった逃避行の日々は今は夢。
もうずっと、夫と会えていない。
子供を置いて逃げ出したことを追求され、そもそもあの子が疫病神だったのだと訴えたが聞いてもらえない。
あんな子、産まなければよかった。
『へえ、そんなこと言うんだ』
誰もいないはずなのに声が聞こえて振り返る。
やはり誰もいない。
『…なら、お前たち夫婦には悪夢をあげよう。あの子がどんな思いでお前たちを待っていたのか、身をもって知るがいい』
急に意識が途切れる。
そして、長い長い夢を見た。
ずっとずっと、帰ってこない親を求めてひもじい日々を送る夢。
あの子の夢だと気付いたが、死にそうになるまで飢え、また最初から夢を見る。
夢は終わらない。
「ん…」
「目が覚めた!?大変!先生、先生!」
いつのまにか医療刑務所で治療を受けていたらしいが、起きていられる時間は短くまた夢に落ちる。
これが私のしてきたことの罰なのか。
夫も今同じ目に遭っているのか。
本当にあの子は、私にとっては疫病神だ。




