純粋な愛ではないかもしれない
だけど…ちょっと思うことがある。
コトハに話すべきか迷うが、話しておくべきだろう。
コトハの意思を尊重するべきことだから。
「でもね、コトハ」
「うん?なあに?」
「僕のコトハへの想いは純粋な愛ではないかもしれない、執着じみた愛かもしれない。時々そう思うんだ。それでもいい?」
コトハに恐る恐る聞く。
決してロリコンじゃないし、紫の上計画でもない。
けれど、コトハのことしか考えていない僕のこの愛情は、純粋な愛とは言えないかもしれない。
それでもコトハを見守っていたい。
コトハはどう思うだろうか。
「それでもいいよ」
「本当に?」
「うん」
「どうして?」
「だって多分、私も兄様に執着してるから」
予想外の言葉に少し固まる。
コトハがそんな風に思っていたなんて。
コトハから執着して貰えているならそれはむしろ嬉しいことだが、どうしてそう思うのだろう。
動揺を悟られないよう微笑んで聞く。
「そうなの?」
「うん、だって兄様が天の国に連れて行かれるかもってなったらすごく嫌だったの、悲しかったの」
そう言ったコトハは、本当に悲しそうな表情で。
嗚呼。
そんな風に思ってくれていたなんて。
嬉しいと思ってしまうのは、罪だろうか。
「そっか…大丈夫、置いて行ったりしないから」
「うん、絶対ね」
「うん、絶対」
ぎゅっと抱きしめる。
不安にさせちゃったみたいだから、不安を拭うようにぎゅーっとする。
ああ、可愛いコトハ。
君がそんな風に思ってくれるなら、僕は君を一人にはしないよ。
「ごめんね、不安にさせて」
「ううん、行かないでくれたから大丈夫」
「ぎゅーっ」
「ぎゅーっ」
しばらくお互いぎゅーっとした後、離した。
「じゃあ、遅くなったけど夕飯にしようか」
「うん!」
「手伝ってくれる?」
「やるーっ!」
そのあとはいつも通りに二人で過ごした。
だけど少しソワソワと落ち着かないコトハ。
もしかしたらまだ不安なのかもしれない。
夜、注意して見ていてあげよう。
もしコトハが夜になってもまだ不安そうなら、不安を拭ってあげなければ。
お夜食の用意、一応しておこうかな。
安心感を与えるのに一番いいのは、特別な体験。
普段は我慢のお夜食なんて、最高なんじゃなかろうか。
そうと決まれば炊飯器に活躍してもらわないとね。
洗ったばかりの炊飯器をセットし直す。
これで準備は万端かな。




