天の使い
予感があった。
なにか、大きなことが起きる予感。
それは案外とすぐに訪れた。
「…兄様、なんだかお空が明るいね」
「日の光がこっちに差し込んでる…これは…」
…天の使いが、我が家に降り立った。
神々しい天女が現れて、コトハは目をキラキラさせる。
「…天女様?」
「いかにも。我は天の国からの使いです。ナギ様、貴方を神の一柱として天の国に迎える用意が出来ました」
「え…」
コトハが不安そうな顔で僕を見つめる。
「兄様、天の国に行っちゃうの…?」
「行かないから安心していいよ、コトハ」
「なに?」
コトハの頭を優しく撫でる。
コトハはホッとした表情になるが、天の使いは反対に僕を睨む。
「ただの祟り神であった貴方を、慈悲深くも天の国に迎えると言っているのですよ」
「慈悲深くも、なんて自分で言うもんじゃないよ」
「ただの獣であった貴方が、良い性質を得たからとこちらに迎える準備を整えたのです。十分慈悲深いでしょう」
「良い性質を得たから神の一柱として認めるっていうのは確かにありがたいけどね。認めてくれるだけでいいよ。そちらにはいかない」
「何故」
何故?
天の使いはそんなこともわからないの?
「僕が良い性質を得たのは、そちらの計らいではなくこの子の純粋な信仰の結果。僕はこの子の一生を見守ってからそちらに行くよ。それではだめ?」
「…なるほど、それは」
ちらっとコトハを見る天の使い。
コトハは少し不安そうだが、天の使いを見つめ返す。
「…ふむ。純粋で穢れなき良い娘です。見守りたいという気持ちもわかる」
「なら尊重してくれない?」
「…わかりました。貴方がその娘を存分に見守った後にもう一度貴方を迎えに来ましょう」
「わかっていただけて助かるよ」
コトハは僕を見つめる。
コトハの頭をもう一度撫でる。
「大丈夫、僕はコトハの一生をそばで見守るよ。まだまだ天の国には行かないから、安心して」
「うん…」
ぎゅっと僕にしがみつくコトハ。
「…まだまだ幼く、か弱い娘ですね」
「そう。だからこの子を置いていくわけにはいかない」
「それはもう承知しておりますよ」
「そう」
「しかし、幼子一人の信仰だけでここまで良いモノに変質したとは…驚きですね」
まあ、僕みたいな変化を遂げるものは珍しいだろう。
「それだけコトハが純粋で一途だったってことだね」
「素晴らしいことですね」
「でしょう?」
コトハは僕の自慢の子だからね。
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