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君が僕に心をくれるなら僕は君に全てをあげよう  作者: 下菊みこと


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欲しかったもの

私は幼い頃から容姿が綺麗だと言われて育った。


だから男の子たちからの人気もあった。


当然それを面白く思わない女の子たちもいた。


私は長く、そんな女の子たちから陰で意地悪をされてきた。


悲しかった、苦しかった。


「そんな時に、ナギさんを知った」


占い師、祈祷師のナギさん。


占いはよく当たり、祈祷はよく効くらしい。


顔出しもしていて、すごくイケメンで有名。


私はナギさんの顔を見て一目惚れしてしまった。


容姿の良さから嫌がらせを受けて、容姿だけで人を見るなんてと思っていた私が…一目惚れなんてとは思う。


けれど、どうしようもなく惹かれてしまった。


ナギさんが好きだった。


それで…ナギさんに祈祷の依頼をした。


依頼内容は『好きな人の近くに行きたい』というもの。


何度も祈祷をお願いしていたら、お父さんとお母さんが私が学校で嫌がらせを受けていることに気づいた。


そしてお父さんは、転勤を願い出てお父さんの実家近くに引っ越した。


まさか、と思った。


まさかだった。


ナギさんのお家の近くにお父さんの実家はあったのだ。


狂喜乱舞した。


嬉しかった。


けれど。


「転入した学校に、ナギさんにすごく大切にされているナギさんの従妹がいた」


同い年の女の子。


私と同じくらい、可愛らしいと言える見た目の女の子。


ナギさんに溺愛されていると噂の女の子。


羨ましい。


憎らしい。


私が欲しかったもの。


ナギさん。


ナギさんと過ごす時間。


それを持っているなんて。


しかもナギさんと二人暮らしなんて。


「なんて、妬ましい…」


こっそり、ナギさんの家の近くまで行ってみる。


おじいちゃんとおばあちゃんに会うという口実で。


そこでナギさんを見かけた。


あの子の頭を優しく撫でていた。


嫉妬をもう、抑えられなかった。


私はその次の日から、あの子に嫌がらせをし始めた。


あの子の机に落書きをした。


あの子の机に花瓶と仏花を飾った。


でもあの子には効かなかったようだ。


お友達と落書きを消して、花瓶と仏花は処分して、いつも通り楽しく過ごしていた。


次の日も嫌がらせをした。


画鋲を上履きに刺した。


けれど、それもノーダメージだったらしい。


彼女はお友達に守られていた。


羨ましい、妬ましい。


何故あの子だけ、お友達もナギさんとの時間も何もかもを持っているのか。


どうして、私にはそれがないのか。


私は何がいけなかったのか。


私には、わからないことだらけだ。

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