お前はいい子
深夜二時。
眠るコトハの部屋にそっと入る。
穏やかな寝顔を見て、安心した。
「コトハ…お前は本当に優しいいい子だね」
今日僕がコトハに意地悪をした人たちに仕返ししたと言っても、戸惑うだけで僕を嫌わないでくれる優しいいい子。
ずっと一緒という約束もしてくれた。
「コトハ…」
ずっと一緒と言っても、それは人間にとっての話。
僕はいずれ、コトハにおいて逝かれる。
コトハは人として生きて、恋をして、きっと結婚して子供も生まれるだろう。
それを看取る僕は、その後は独りぼっちになる。
それでも、コトハの一生を見守りたい。
後に寂しくなるだけだとしても。
「お前は自分を冷たいのかなと不安がったけど、お前は本当に優しい子だよ」
あんな村の奴らを心配してやっていた時点でもう優しい。
関係ない、なんて思っても冷たいなんてことはない。
むしろ健全なくらいだ。
「コトハ、大好きだよ」
もう、あんな悲しい思いはさせない。
コトハのこれからは、僕が守る。
コトハをどんな悲しみからも守ってみせるよ。
だから。
「どうかいつまでも、長生きしてね」
少しでも長い時間、一緒にいさせて欲しい。
「…寝てるところをごめんね、おやすみコトハ」
部屋をそっと出た。
自室に戻り、ふと窓を見る。
今日は、晴れたいい夜だ。
満月が部屋を明るく照らしてくれる。
…コトハを明日は甘やかしてあげよう。
今日は、変な話をしてしまったからお詫びを兼ねて。
「明日は休みだし、美味しいものを食べに連れていってあげようかな」
それとも手作り料理を少し凝って作ってみるか。
「…それいいかも」
コトハと一緒に凝った料理を作るのもたまにはいいよね?
いつも料理を手伝ってくれるコトハに、ちょっと凝ったものを教えてあげるのも楽しそうだ。
ちょっといいワインを買って、コトハには葡萄ジュースを買って…ビーフシチューで乾杯なんかも良さそう。
「そうと決まれば、明日の朝買い出しだな」
明日はマミもおじいちゃんおばあちゃんとの用事があって遊びに来ないし、ちょうどいい暇つぶしにもなるだろう。
「コトハ、喜んでくれたらいいな」
ワクワクしながら眠る。
明日はいい日になりそうだ。
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