余計なことを
コトハが不安そうにしていたので、今日は部屋でコトハを寝かしつけてあげた。
コトハはずっと手を握って布団の上からお腹をポンポンしてあげたら、しばらくしてようやく眠った。
多分、よっぽど不安だったんだろう。
「不安にさせてごめんね、コトハ」
変な奴に、コトハとの日々を邪魔されそうになった。
何故かコトハとマミの前に現れた、半端に力を持った人間。
僕とコトハの繋がりを断とうとして、僕がコトハを助けに行こうとするのも阻まれた。
ぶっちゃけアイツごときの「邪魔立て」なんて、僕が本気を出せばすぐに壊せたんだけど…せっかく最近、段々と守り神としての側面が強くなって来たのにまた祟り神に逆戻りは…ねぇ?
でも、出来る限り抵抗してコトハのところに駆けつけた頃にはマミがアイツを追い払っていて。
「しかも無駄にしつこかったんだよなぁ」
眠るコトハの穏やかな寝顔を見て心を落ち着ける。
思い出す度ムカつくアイツ。
なんでも高名な祓い屋らしいが、正義感を振りかざして最近は悪いことなどほぼほぼしていない僕を祓おうとするからこうなる。
マミに追い払われてもまた来て、またコトハに余計なことを吹き込んで。
だから僕は、コトハにえんがちょさせてアイツを呪わざるを得なくなった。
「やるなら徹底的にね」
呪いの重ねがけをしてやったので、高名な祓い屋とはいえ身がもたなかったのだろう。
色々と不運に見舞われたアイツは、僕を悪いモノだと断じたが…そもそもアイツが手を出して来なければこちらは何もしていないのに。
「本当に、迷惑だよね」
「んぅ…」
「おっと、独り言が過ぎたかな」
眠りが浅いのか、身動ぎするコトハの額に触れる。
優しい夢を、与えてあげる。
「今はただ良い夢を。おやすみ、可愛いコトハ」
「ん…」
すうすうと寝息を立てて、今度こそ深い眠りにつくコトハ。
アイツのせいで最近、不安にさせちゃったからね。
夢の中では素敵な時間を過ごしてほしい。
素敵な夢の中に、僕の居場所もあるといいな。
「…兄様」
「うん?どうしたのコトハ」
「…」
「寝言か…」
呼ばれた気がしたが、寝言だったらしい。
どうやらコトハの幸せな夢の中には、僕の居場所もあるみたい。
「ふふ、ありがとうコトハ」
そっとコトハの頭を撫でて、コトハの部屋を出る。
さて、僕もそろそろ寝ようかな。
部屋に戻って横になる。
こういう人間のような営みも、コトハとならとても幸せだ。
「…君は僕が守るからね」
この誓いは絶対だ。
だからもうあんな半端者に怯えることはないからね、コトハ。




