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君が僕に心をくれるなら僕は君に全てをあげよう  作者: 下菊みこと


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ヒト

ヒトの形で解き放たれた僕は、人間社会に紛れ込むためのおまじないも完璧。


彼女の歳の離れた従兄となった。


彼女の実母が再婚した、彼女の義父の方の親戚。


この義父は最低な奴で、地元の地主の三男坊だからと偉ぶるような奴。


ちなみに俺は次男坊の息子ってことで紛れ込んだ。


「君のお義父さんはかなりの嫌われ者だね」


「うん…」


「でも、だからって義娘である君が村人たちに疎まれる謂れはないよね」


「そうかな…」


「そうだよ」


可哀想に、恨むことすら忘れるなんて。


なんて無垢な子供だろう。


「けれど、これからは僕が守るから」


「うん…!」


とりあえず村にかけた暗示で、僕は父から許可を得て今日からこの子の家に住みこの子を保護することにした…ということになっている。


「でも、お金とかご飯とかどうしよう」


「お金はまあ、心配いらないよ」


「え?」


「ふふ、僕の力を使えばお金を稼ぐのは難しくないからね。もちろん変なことはしないよ」


「どうやるの?」


僕は、力を使って金貨を作り出した。


「え、え、え」


「これを売ればお金になるだろう?」


「どうやったの!?」


「僕に君がくれた信仰心を、形を変えて具現化したとでも思って」


「すごーい!」


ヒトの世はお金が何かと掛かるのが難点だが、地主の次男坊の息子という肩書きのおかげでその辺もやりやすくて助かる。


こういう金品をお小遣いを使ってどこかで買ったと言っても、そこまで怪しまれないからね。


金貨のコレクターだった設定にしてあるし。


もし怪しまれても、相手に暗示をもっと強くかければ大丈夫。


「だから今日から、一緒に暮らそう。僕がご飯も作ってあげる」


「ありがとう、兄様!」


ぱっと笑うこの子の頭を撫でる。


一瞬、叩かれると思ったのかびくっとしたものの優しく撫でれば受け入れてくれた。


「さあ、村についたね。さてさて、金貨を売りに行こうか」


「う、うん!」


この子を連れて質屋に行く。


結果、怪しまれることはなくかなりの額の現金を手にした。


その足で商店街で買い物をする。


買い物もたくさんの食材を買えたから、しばらくは困らない。


水道やガスや電気はまだ止められてはいないので、滞っていた分の金額を銀行に急いで振り込んだ。


さらにその他振込が必要なこの子にかかるお金も全部払った。


「よし、これでとりあえずは大丈夫。問題なく一緒に暮らせるからね」


「うん!」


難しいことはわからないこの子の代わりに生活基盤を整え直しつつ、家に帰る。


初めて来る彼女の家は、やはりというか彼女一人で管理できるわけもなくゴミ屋敷と化していた。

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