転校
転校初日。
僕はコトハを学校に送り届けた。
家に帰り、コトハの様子を念力で見守る。
『じゃあ、先生と一緒にクラスメイトにご挨拶しましょうか』
『は、はい!』
緊張している様子のコトハ。
そんなところも可愛らしい。
そして朝礼が始まる。
『今日から皆さんのクラスメイトになる、巫 言葉さんです。みんな仲良くしてあげてくださいね。言葉さん、自己紹介をお願いします』
『は、はい!…巫 言葉です!よろしくお願いします!』
コトハはハキハキと挨拶をする。
とっても偉い!
上手だよ!
『では、席は一番後ろのあの空いてる席で』
『はい、先生!』
そして朝礼が終わりそのまま授業に移行する。
授業が終わると、小休憩の時間になる。
転校生であるコトハは、珍しがるクラスメイトに囲まれた。
『コトハちゃん、これからよろしくね!』
『う、うん!よろしくね!』
『コトハちゃん、好きな食べ物は?』
『甘いもの!アイスクリームとか、チョコとか!』
『アイス美味しいよねー!』
コトハは順調に馴染めている様子。
『嫌いな食べ物は?』
『いくらとか明太子とかかな』
『あー、海のものって食べ慣れてないと苦手な子もいるよね』
『コトハちゃんは兄弟は?』
『一人っ子だよ』
質問の雲行きが怪しくなってきた。
『お父さんとお母さんはなんのお仕事してるの?』
『色々あって、お父さんとお母さんとは離れてるんだ。保護者?っていうのは、従兄のお兄さんがやってくれてるよ』
『え、そうなんだ』
『お兄さん何歳?イケメン?』
『二十一歳だよ。若くて大人でイケメンだよ』
コトハの言葉に女子が沸き立つ。
『えー!いいなー!』
『すごーい!』
『私もイケメンなお兄ちゃん欲しい!』
どうやら話の流れが変わったようだ。
『コトハちゃんはお兄さんが好きなの?』
『変な意味での好きではないけど、家族として大事だよ』
『コトハちゃんしっかりしてるー!』
きゃっきゃと同級生とはしゃぎ合うコトハにホッとする。
家事をこなしつつ、その後も見守り続けた。
やがて小休憩が終わりまた授業になる。
コトハは授業についていけている様子だ。
帰ってきたら予習復習にも付き合おう。