引越し
次の日の朝、さっそくホテルを出た。
引越し先のマンションの一室で、家具家電が届くのを待つ。
昼になると家具と家電が届き、設置してもらった。
必要なものとコトハの思い出の品を収納して、これで二人で暮らしていく新たな空間が完成した。
「コトハ、どうかな?住みやすそう?」
「うん!」
「コトハのお部屋も気に入った?」
「すごく素敵!」
コトハのお部屋も可愛らしい感じに仕上がって、コトハはご満悦だ。
その日のうちに住民票もこの街に移して、転校の準備もした。
「それでね、コトハ」
「うん、なに?」
「新しい学校に必要な、お勉強道具とか制服とかを買いに行こうか」
「うん!」
コトハを連れて、必要なものを買いに行く。
勉強道具は割とすぐに揃って、あとは制服や体操服。
近所の制服の専門店に行く。
「すみません、この子の制服を買いたいんですが」
「はい、ではこちらを試着してみてください」
コトハが制服に着替える。
制服姿のコトハもとても可愛らしい。
「どう?似合う?」
「とても似合うよ、コトハ」
そしてサイズの合う制服や体操服を買って、店を出る。
「コトハ、来週から学校に通おうか」
「うん、でも今週はいいの?」
「学校の方にも色々事情を話してあるから、メンタルケア優先でいいって」
「メンタルケア?」
きょとんとするコトハの頭を撫でる。
「村全体の火事とか色々あったから、少しの間お休みしていいよってさ」
「そっか」
「その間は僕とお勉強会の続きをしよう?もう読み書きもそろばんも得意になったから、今度は理科と社会のお勉強かな」
「わーい」
覚えは悪いが一度理解すれば忘れない子だ。
きっと学校に通学する頃には同級生に追いつける。
「じゃあ、帰ってさっそく一緒に頑張ろうか」
「うん!」
引っ越して最初の日曜日。
明日からいよいよコトハの通学が始まる。
勉強の方はとてもよく頑張ったので、授業の内容にもどうにかついていけるはず。
しかし小学生の勉強もバカにできないよね。
覚えることがいっぱいだ。
「じゃあコトハ。さっそく明日から通学だけど、大丈夫かな?」
「うん、大丈夫!」
「最初のうちは僕が送り迎えをするからね。先生からも許可はもらってるから」
「ふふ、兄様ありがとう!」
「どういたしまして」
可愛らしいコトハが変な奴に目をつけられたら嫌だからね。
護衛は当然だよ。
「でも、馴染めるかな」
「コトハなら大丈夫だよ」
「…うん!」
それに、ダメなら転校でもなんでもさせる。
コトハは僕が守る。
「兄様、私頑張るね!」
「うん、応援してるね」
どうかコトハに良いお友達が出来ますように。