甘やかす
「じゃあさっそくアイスクリーム屋さんに行こうね」
「うん!」
可愛いコトハと手を繋いで、アイスクリーム屋さんを目指す。
「あ、あった。あそこだよ」
「わぁ、美味しそうなアイスクリーム!」
「どの味がいい?」
「どうしよう、チョコチップ?チョコ?バニラ?」
「ミニカップで三段にしてもらう?」
小さいサイズでトリプルにも出来るらしいので提案する。
するとコトハは悩ましい表情からパッと笑顔になった。
「そうする!」
「なら僕もそれにしようかな」
店員さんに注文をして、そのまま近くに食べるスペースが用意されているのでそこに座る。
「食べようか」
「うん、いただきます!」
上からバニラ、チョコ、チョコチップのアイスカップ。
スプーンですくって食べれば、冷たくて甘い味が広がる。
「甘いね」
「美味しいね!」
笑顔のコトハにつられてこちらも笑顔になる。
コトハはアイスクリームに夢中になっていて、可愛い。
「コトハ、来て良かったかな?」
「うん!兄様大好き!」
急な嬉しい言葉にノックアウト。
とても嬉しくて胸をぐっと押さえる。
「コトハはいつも僕に色々なものを与えてくれるね」
「?」
「コトハと出会えて良かった」
醜い獣だった僕が、ヒトの形を得て。
祟るばかりの僕が、コトハの幸せを願って。
コトハが僕に心をくれたから、僕はこんなにも変われたんだ。
だから、僕はコトハにすべてを捧げるよ。
この命のすべてを。
「…ずっと、こうして僕がコトハを守るからね」
「うん、兄様大好き!」
その後もアイスクリームを楽しんでいたコトハだが、すぐにそれらはコトハのお腹に消えてしまった。
さて、アイスを食べ終わったところで。
「そろそろ不動産屋さんに行こうか」
「うん!」
コトハの手を取って、カップとスプーンをゴミ箱に捨てて歩き出したその時。
「お兄さん、ちょっといいですか?」
「なんですか?」
何故か警察に声をかけられた。