波は涙に
泣きそうになった。
少し、泣いていた。
悔しい、哀しい、寂しい、
押し寄せてくる波。
たくさん泣いていた。
これぼどの気持ちは、
初めてかもしれない。
波は涙になる。
毎晩、ラジオを聴き、
流れる音楽で眠った。
他愛ない話、奥深い話、
自分も夢を見ようとした。
埃っぽいグランドで
ボールを追いかけながら。
息を切らして側を走る
あの娘を意識しながら。
夜通しの居酒屋で
くだらない話をしながら。
まだ見ぬ素敵な未来に、
下手な詩を手向けながら。
できることはしたい。
好きなことはしたい。
二度と帰らざる日々の
灯台の明かりが消えた。
また、波が押し寄せる。
また、涙になろうとする。
何の関係も無い者には
さほどではないはずが。
ご冥福をお祈りする。
多くの言葉に感謝する。
さらば青春の時、
さらば青春の人。