提案とひとり立ち
唯依が日本に残ることになってから、彼女は、ますます、マンガにのめり込んでいった。
また、唯依の幻聴のリハビリの甲斐あって、二学期からからも普通通りに学校に登校出来ているのは喜ばしい。
午前中のつまらない授業が終わり、昼休みになり、涼風とと柚木と立花さんを交えてで机を合わせて昼食を摂ることにした。
唯依に弁当を渡し、俺たちは食べ始める。唯依の弁当も、俺が作っている為、当然同じおかずとなっている。ちなみに、俺の弁当の方が胃袋を満たすため唯依のより一回り大きい作りだ。
立花さんが俺の弁当と唯依の弁当を見比べて、「なんで柚木さんの弁当と藤也の弁当が一緒なんですか?」と不思議そうに訊いてくる。
「なんでって、それは俺が唯依の分まで弁当を作っているからな」
料理が出来ない唯依に頼まれて学食より俺の作る弁当の方がいいと言われて弁当を作っている。
「偉いね、柚木さんの分の弁当まで作ってさ、流石、付き合っているだけあるね!」
「まあ、一応は付き合っているな。なんたって惚れてるからな。恥ずかしいからこれ以上言わすな!」
「もう!藤也くんたら!」と唯依はポカポカ叩いてくる。
「いてて」
いや、本当は、痛くないんだけど。むしろ、くすぐったいな。
「そ、そうだよ。あまりからかわないで涼風くん」
唯依も耳まで真っ赤になり、恥ずかしさに悶える。
もう、心臓がもたない。やめてくれ。
「そ、そうだったんですか。お二人は付き合ってる?いや、突き合ってる?」
「おい、俺たちはどこを突くというんだ?立花が、可笑しくなったぞ」
「うふふ、二人は、お付き合いしているんだ...あはは...」
駄目だ。立花がポンコツになってしまった!
***
放課後。唯依は、「放課後はわたしと付き合ってくれない?話があるんだ」
「おう、いいぞ」
話ってなんだろう?まあいいか行けば分かるか。
「学校にも登校したから放課後デートしようよ」とデートをねだってくる
「なんだ、放課後デートの誘いだったか」と俺は了承して街中のカフェに向けて歩いて行く。途中、唯依の方をチラリと見て、俺の彼女なんだよな。と恋人になった実感を秘かに抱くのだった。
唯依デートは何処に行きたい?」俺は彼女にそう訊ねる。
「藤也くんが連れて行ってくれるところなら、何処へでも。だよ」そんな可愛いことを唯依は言う。
「じゃあ、あそこにするか初めて放課後デートした至福のパンケーキなんてどうだ?」
「うん、いいね。行こう!」
と唯依は元気よく俺の腕に腕を絡める。その時俺の腕に、柔らかな胸が当たって極上の感触に頭が蕩けそうになる。
「あの、唯依さん。当たってるんですけど...」
心臓が跳ねて動悸が激しくなる。これ以上は......
「どうしたの?藤也くん?妙に顔が赤いけど。風邪でも引いた?それとも当たったの気になちゃった?」
コイツ、わざとか!俺は、顔を背けて、「べ、別に。何か当たったけ?」と声が上ずるも必死にとぼけて、誤魔化した。
パンケーキカフェに着いた後、俺たちは席へと座り、セルフサービスのレモン水で一息付く
「あっわたし、このパンケーキがいい!」唯依がコレと示したのは、国産いちごたっぷりのいちごショートパンケーキだった。
「うわっ、また甘ったるそうだな」
「いいじゃん別にー!さあ、頼もう」
店員さんにオーダーを言い、暫くしてパンケーキが運ばれてくる。
早速、フォークとナイフで切り分けようとする。
俺が頼んだ、紅茶ミルクパンケーキも運ばれてきた。
「おい、唯依!写真。撮らなくていいのか?」
「あ!!そうだった危ない危ない」とスマホでカシャリと一枚撮る。
そして、待ちに待った実食タイム。唯依は、パンケーキを一口頬張ると、「美味しいー」
と幸せそうに口を緩ませる。見ているこっちまで幸せな気持になってくる。
「ねえ、藤也くんのも一口ちょうだい」と唯依は、ねだってくる。
「出たよ、必殺『一口ちょうだい』まあ、いいけど」
そう言い、唯依の小さな口にフォークに乗っけて運んでやる。
「んー、美味しいー♡」唯依は頬を緩めて満面の笑みで喜ぶ。
なんだか、小動物に餌付けしているもいたいで楽しい!
「じゃあ、わたしからも!藤也くん。あーん」
とフォークにパンケーキを乗っけて俺の口へと運ぼうとする。
「いや、俺はいいよ!恥ずかしいし」
もう羞恥で逃げ出したい。店員さんも、微笑ましい笑顔で見守っている。
「わたしからの一口が食べられないって言うの!」
「ち、違う!そうじゃなくて。ー」
俺は、「あ、あーん」と観念して口を開ける
くっ来い、唯依!この時ばかりは、羞恥も何もかも捨てた。
カコっと口の中にフォークに乗せられたパンケーキが入り、フォークが取り除かれ俺はそのまま咀嚼する。
「あ、甘いな」
なんでだろう?美少女から食べさせて貰ったからかなんだかスゴく甘く感じられた。
なにこれ?糖度100%ってぐらい甘い!
「でしょー。美味しいよね」
「あー美味しかった!話したいことがあるんだけど、いいかな?」
「ああ、いいぞ。なんだ?」
「次回の同人マンガ一人でストーリーも考えてみる。それで、マンガを書くのにシナリオハンティングにわたしと一緒に住んで欲しいの!」
「どうしても、次回作の為に、必要なことなんだよね。いいかな?」
「ど、同棲生活!?」本当にそんなこと考えていたのか......
唯依がマンガ家として、ひとり立ちするのはいいことだけど、同棲生活かー。
「少し考えさせてくれ」と今は、答えを保留にして貰った。
***
家に帰って寛いでいて唯依から提案された同棲生生活について考えてみた。
夕食の時もその考えは巡って...
「なあ、俺が、唯依と同棲生活したいって言ったらどうする?」と愛那に訊いてみた。
「兄さんが唯依さんと同棲!?うん、いいんじゃないかな?」
「いいのか?ホントに??」
「うん、良いと思う。だって唯依さんは、今や、兄さんが居ないと生きられない人だと思うし、むしろ、唯依さんの為にも、同棲生活したら?」
「そうか、そこまで、俺の存在は、唯依に撮って大きいのか。わヵったよ!ありがとう、愛那」
「優奈の世話ならわたしに任せておいてよ兄さんは安心して唯依さんのところに行ってあげて」
迷った挙げ句こうして、俺は、妹に背中を押され、唯依と同棲生活をすることを決めたのだった。
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