持ち込みをしよう!
『お隣のヒキニート』「」
熱い陽光が降り注ぐ、七月の終盤。
プールから帰ってきた翌日のこと。俺は秋雫先輩と恵と唯依宅訪れていた。
夏休み前に、唯依のマンガ家の夢を馬鹿にしてきた奴らを見返すために、秋雫先輩と凄いマンガ家に成るための特訓が始まった。
唯依は自分の部屋に俺と秋雫雨先輩と恵を招いてサークル活動の拠点としていた。
「柚木さん、まずは、マンガ家としての実績を積むために、漫画を作製てみない?」
「この時期は夏コミで大盛り上がりだけど、夏コミへの申し込み申請は、2月で締め切られているから
夏コミへの参加は、無理ね。マンガを描いて週刊誌にでも持ち込みをしてみれば?」
「も、持ち込み!?」少し戸惑った様子の唯依は、口をパクパクさせてる。
「持ち込みですか。直接連載に繋がらないにしても、漫画家としての実力を見て貰うのであればやってみる価値はありますね」俺は興奮して聞き返す。
もし、運よく、編集に気に入られて担当に付いて貰えたら凄いチャンスになると思う。唯依はどうするのか
「そうよ、マンガ家への第一歩になると思うのだけどどうかしら?」
「わたしが、持ち込みに?!そんなこと出来るかな...」
唯依は不安がり自信がなさそうな弱々しい声音で、「いいよ、わたし持ち込みるような漫画が描けるわけじゃないから」
「逃げるの?!宝くじも買わないと当たらないわよ」
そうだ、宝くじを当てる確率と連載を決める確率で言えば連載を狙う方が確率は高い。唯依はただ不安なだけなんだ。その不安を取り除ければ...
「でもね、そんな不安がることないわよ、誰もが最初は初心者よ。気楽にいきましょう」
「ゆっくり考えてみてちょうだい。きっと、柚木さんにとってプラスの経験となると思うわよ」
「そもそも、編集に見てもらって才能があるか見極めて貰ってから商業マンガ家を目指すべきよ」
「今の柚木さんに失うものなんて無いでしょう?」
「はい、そうですね。でも、考えは変わらないと思いますけど...」
「ええ、よく考えた後の答えならいいわ。良い返事を期待しているわよ」
そう言って、返事を返す唯依に秋雫先輩は微笑み、その日ののサークル活動はお開きとなった。
***
その翌日、水曜日。別冊ママレード発売日のこと、唯依の心境を変える衝撃的な出来事が起こった。
唯依は購入してきた別ママをリビングで読んでいるととあるページを食い入るように見つめてから
「藤也くん、これ見て」と俺を呼ぶ。
俺は、唯依に呼ばれて、唯依が指で示したそのページには、大賞受賞者新山《 にいやま》英梨香(17)とあって俺たちと同年代の高校生が大賞を受賞していた。
「この人、スゴイ!私達と一つしか違わないのに...」
「そうだな。これが天才というやつか」
正直、驚いた。これは、唯依にとって言い刺激となってくれるだろう。さてどう反応するか
「す、スゴイねこの人....編集さんが皆、高評価してる」
「ああ、スゴいな、唯依も負けていられないな」
「わたしに出来るかな?」
「わ、わたしも大賞とりたい!マンガ描きたい。」
「それじゃあ、尚更、持ち込みをしよう!」
「そ、それは待って...わたしの描くマンガはね、問題があってさ」
マンガは描きたいけど、唯依は、どうやらマンガ制作に問題があるようだ。
「唯依描いたマンガを見せてくれないか?」
「ダメ!ゼッタイ!」ものスゴイ剣幕で拒んで自室に閉じこもってしまった。そんな唯依を見て、俺は、
何かあるのかな?と疑問に思うのだった。
夕食が終わって唯依は、俺に「お願いがあるの...」と切り出す。「なんだ、唯依?」なんだか甘えている感じがする。
いったい何を企んでいる?と身構えると
「さっき、わたしが描いたマンガを読みたいっていったでしょ?い、いいよ。読んでも...」
「い、いいのか?!」
「う、うん。よ、読んで...」と印刷してきた紙束を差し出す。
「そ、それじゃあ部屋で待っているから!」とその場から去ろうとする唯依を「ここに居ないと意見が言えないだろう」引き止めておく。唯依は、「うぅ...」と唸って観念して大人しくその場に座る。
俺は、一枚一枚念入りに読んでいく
『お隣のJKに朝も夜もお世話してもらってダメ人間にされた話』
マンション暮らしの自堕落な生活を送る黒沢実は、学校よりもゲームを優先して学校をサボりがちなインドア派のゲーマー。
ある日、黒沢は、新発売のVRMMOのゲームをプレイする為に、学校を数日休む。
学級院長の真城綾香は、担任教師に、彼を学校に登校させて欲しいと頼まれる。
真城は黒沢の自宅を尋ねても、出てきてくれないことで肝心の当人に会えなくて困ってしまう。
黒沢が日頃から、VRMMOにINしていることから真城もゲーム内にINして黒沢に会いに行く。
二人はゲームを供にプレイしていく相棒として仲を深めていく。そして、真城は頃合いを見て
学校へ登校して!と告げるのだった。
でも、その頃には、真城も、ゲーマーへと変貌していて、学校へ通いながら黒沢と一緒に
ゲームをプレイする仲となるのだった。
「くっ、うぅ..
.ど、どうかな、わたしのマンガ?」
唯依は顔を朱色に染めて涙目でそう尋ねてくる。
えっなんで、そんなに反応がそんなにエロいの??まるで、裸を見られているような羞恥の表情を浮かべている。
そう言えば人に作り立ての小説を見てもらう時って自分の裸を見られているように恥ずかしいんだよな。唯依も、そうなんだろうか?マンガを読み終わった俺は、唯依にこう言う。
「なんて言うかお前の作るマンガって独特だな!絵は上手いのにストーリーは悪くないけど、肝心のゲーム内容が稚拙《 ちせつ》というか...」
「そうなのっ!ゲーム内の上手いストーリーが思い付かないの!わたしじゃ無理なの!」
唯依はもじもじして「だから、藤也くんに、わたしと組んでマンガを描いて欲しいの...」
とそう告げるのだった。
「ダメ?」と上目遣いになり頼んでくる。
こんな頼まれ方して断れる奴がいるだろうか?断れるわけないだろ!
俺は、唯依から瑠璃色のに見つめられたまま、その瞳をまっすぐ見て真摯にこう切り出す。
「そ、そうだな。俺からも言わせてくれ、今まで漫画作りで苦しんでいる唯依を見ていられなかった。俺で良かったら力を貸すよ。持ち込みしよう!」
と俺は今まで頑張ってきた唯依を見てきて考えていたことを口にする。
「い、いいの?!藤也くん」
「ああ、馬鹿にしてきた奴らを見返してスゴイマンガを描いてやろうぜ”!一緒に頑張ろう。よろしくな、唯依!」と彼女と二人三脚で漫画を描くことなった。
読んでくれてありがとうございました。
また、来週更新します。
それでは、また!




