執拗なナンパに爽やかな救済を
俺は、唯依を探すのに、プールサイドフードコートを出て、女子トイレの前へと行く。
だけど、そこには唯依の姿はなく、他の場所をくまなく探して回ると、温浴プールの前で、見覚えのある栗色のロングヘアーを発見した。
もしやとお思い、近づいてみると、やはり唯依だった。トイレを済ませた後で冷えた身体を温浴プールで温めようとしていたのかと声を掛けようとして気付いた。彼女がチャラい二人組の男たちに絡まれていることに。
言わんこっちゃない。本当に男たちからナンパされているじゃないか!早く、助けに入らないとっ!そう、気持ちを走らせて彼女の元へと近づく。
間隔を詰めていくととこんな会話が聞こえてきた。「ねえ、いいでしょ。どうせ君、一人なんでしょ。俺たちと一緒に遊ぼうよー」など拒んでいる唯依に男たちは執拗に繰り返し誘ってくる。
「ち、ちが...今、友達と一緒に来ていて戻るところだったんです。結構ですから...」
唯依は、男たちから離れようとするが、男の一人が、唯依の手首を掴む。「キャっ痛い!」
「そんなに騒がないの。俺たちが友達のところまで送って行ってあげるよ、危ない輩がいるかもしれないし」
いや、危ない輩はお前たちだろ!見ず知らずの女の子に声をかけてしつこく言い寄るなんていい迷惑だ。
「いいですから、やめて...離してー!」今にも泣きそうな唯依をこれ以上見ていられなくて俺は
「や、やめろよ!嫌がっているだろ?!」とナンパ男たちの前に割って入る。だけど、相手の顔は怖くて見れない。
「おい、てめえ、どこ見て言っているんだ!」
「あ!藤也くん」唯依は俺に気が付くとぱぁっと明るくなり、駆け寄ってくる。
「大丈夫だったか?怪我はないか可笑しなことされてないだろうな」俺は、唯依の身体を隅々まで見て正常を確認する。
良かった怪我はないみたいだ。俺は、唯依を連れてこの場を後にしようとするが、男たいは、そうさせてはくれなかった。
「え?なにお前、この子彼氏?」「見えねー。ないだろ!」
「だ、だったらなんだよ?悪いか?」
本当は彼氏ではないけど、これで、こいつらに引いてもらえたらいいなと思い、敢えて彼氏を名乗る。
唯依は顔を真っ赤にして俯いてしまっているし、咄嗟に彼氏だと嘘ついたけど彼氏面は嫌だったかな?と不安になる。
「お前なんかが彼氏だと。ハッタリくせーな陰キャは引っ込んでろ!」
「唯依逃げよう!」俺は咄嗟に、彼女の手を引いてその場から走り出す。
男たちは、「待てコラー!と叫びながら追ってくる。
「藤也くん追いついちゃうよー!もっと早く走ってー」「待ってくれ、唯依!息が上がってしまって」
「ごめん。わたしも、もう限界ー!もう走れない...」
俺は小説家でインドア派と唯依は、元、引きこもりで体力に至ってはからっきしで、俺よりない。
二人とも、体力が限界になってしまったことと目の前が行き止まりとなり、ここまでかと諦めかけたその時。「藤也先輩発見ー」と恵が現れる。
「この人たちは?藤也先輩の友達ですか?」と首を傾げる。「そう見えるなら、眼科を受診してくれ唯依を執拗に追う、ナンパ師たちだ」と応える。
「窮地ですね。助太刀します」と形勢逆転を狙うのだった。
***
俺たちに合流した恵から少し遅れて、秋雫先輩も追いついてくる。「で、この人たちは誰?」
「そ、それは...悪漢!」
それは、少し違うな唯依さん。そうするとこいつ等が変質者になってしまうぞ?
「わかったわ。唯依さんの美貌に誘惑されて『ヒャッハー上玉だぜー!』と発情してきた雄どもね」
その例えは凌辱系のエロゲーのやり過ぎでは??ただ、唯依と遊びたかった男から性犯罪者に変換されてなくない?
「わー女の子が増えたー!」と歓喜の声を上げる輩に一瞥をくれると、「どうやら柚木さんの友達というわけではなさそうね、この腐れナンパ野郎達は...藤也くん、柚木さんは大丈夫?」
秋雫先輩は唯依を心配して声を掛けてくれる。「はい、唯依は大丈夫です。ただ、精神的に参っているみたいで...」
いきなり見知らぬ男たちから迫れたんだ、人見知りな唯依には、さぞ、怖かったことだろう。
それにしても、図々しい男もいたものだ。一人で彷徨っている女の子をナンパするなんて、
ナンパを今までにしたことのない俺には、考えられないことだった。
「お前、こんなに美少女を引き連れて、この女たらしめ...」ナンパ男の一人が不満を口する。
「失礼だな。皆、友達だよ。」と俺は、さも当然といった感じで言う。それにしても失礼な奴らだ。
まるで俺が、女遊びしているような言い方して。特別な人ならもう決まってるっていうんだ。
「お前みたいな陰キャと遊ぶより、俺らと一緒に遊んだほうが楽しいだろ!」
「そうだ!なんでお前みたいのが、こんな美少女達を引き連れられるんだよー」
「こんなとは失礼ね。私たちは、彼の物静かな雰囲気に惚れこんで好きで一緒に居るだけよ」
「そうだよ。陽キャとか陰キャとか関係なくて、藤也先輩だから一緒に居たいんだよ!」
前者は、秋雫先輩が言い後者は、恵が言う。
「ごめんなさいね、私達が柚木さんの出番を取っちゃって。
と秋雫先輩が、小悪魔的に悪戯っぽく言う。
「そんなこと、ないよ。わたしなんていいから、それよりも、秋雫先輩と恵ちゃんがカッコよかったよ!」
「ふふ、ありがとう柚木さん。」と恵は照れながら」はにかむのだった。
「そんな、俺たちの方が女の子を楽しませることができるのに....」
「フン、男の嫉妬ほど惨めなものはないわね」秋雫先輩は、男達に向けて嫌悪感を露わにし、敵意の眼差しを向ける。
「せっかくの休暇なのに、邪魔しないでくれる?大人しく家に帰って、ママのおっぱいでもしゃぶってなさい」と言う。
「せ、先輩、口悪い...」
だけど、男達はひるむ様子はなく、「そんあこと言わないで皆一緒に遊ぼうぜ!」と言ってくる始末。
馬鹿か!こんな騒動の後で、楽しく遊べるわけがないだろ!もっとよく考えてから喋れよ!と心の中で悪態をつく」。男達から唯依を守るように警戒する。男たちは引く様子もなく俺たちに詰め寄る。
供駄目かと思ったその時、そこで「そこまでだよ!やめなよ、嫌がっているだろ!」と俺たちの前に、颯爽と一人の好青年が登場して助けに入ってくれる。その好青年とは.......
「誰だお前は?邪魔するなよ!「失礼だね。君たちのほうこそ誰だい?僕は、彼女たちの友達なんでね」
「涼風先輩!この人たちが無理やり言い寄ってきて困っていたんです」恵は涼風に助けを求める。
するとナンパ男たちは、涼風の見るからに爽やかな」陽キャのリア充オーラに当てられる。
「ヤバっ!コイツのリア充感、半端ないっすよ兄貴相手が悪いっすよ!!」
「クソっイケメンだからっていい気になるなよ、このヤリチン野郎!」と捨てセリフを吐いて逃げていった。
騒動が去り、俺たちはプールサイドフードコートでドリンクを飲み、落ち着いていた。
「藤也くん、さっきはありがとうね。少女漫画のワンシーンみたいでドキドキだったよ!」
「涼風先輩も、カッコイイイ爽やかなケメンキャラみたいでしたよ!」と唯依と恵は胸をときめかせて大絶賛する。ナンパ騒動は一件落着して、改めて、涼風をメンバーに加えて、この後、皆でたくさん遊んだ。
プール編は、これで終わりです。
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