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売り言葉に、慣用句
「あのーすみません。」
「はい、どういったご用件でしょう。」
「このくすんだ色のコレ、なんですか?」
「目からとれた鱗です。色眼鏡のレンズになるんですよ。」
「ほえっ?」
「うちは少々特殊な商品を扱っておりまして。」
「じゃあ、このただの石に見える物も?」
「はい、張り紙をご覧ください。」
「えっと『ただいま留守にしています ダルマ』、って、ダメないしを売ってる!」
「こちらの”万全な杖”がヒット商品になりまして。」
「あぁダルマさん、転ばぬ先の杖の先にされちゃってたか・・・。」
「よろしければ、こちらの”お得なチケット”などいかがでしょう、大変お求めやすくなっております。」
「何のチケットですか?」
「早朝限定のお芝居です。」
「どんな三文芝居を見せる気だ!」
「チッ。」
「なにこの茶番。」
「大量に売れ残って困っていたもので。」
「ふふふ、そうは問屋が卸さないんですよ。」