53/208
目が離せない
とんでもない危険物がやってくる!
それは、小さな男の子の姿をしていた。
その手に大切そうに捧げられ、運ばれているものこそ・・・
特売の玉子、ワンパック88円!
お、落とさないで!
レジから、固唾を飲んで見守る。
慎重に、慎重に、一歩、一歩。
けれど、あぁ、よたよたと危なかしいよう。
いっそ、レジから出て、迎えに行くべきだろうか。
でも、しかし・・・
その面差しは、真剣そのもの。
まぁ、思いに反して、プルプルする姿は、いたく愛らしいのだけれど。
頑張って、あと少し、ほらもうちょい。
よしっ、レジについた!
うーんと、懸命に両手をあげ、玉子をかかげる。
それをレジから身を乗り出し、受け取った。
ついに、やり遂げたね!
「すごく偉かったね、よく頑張りました。」
ああ、笑顔がまばゆい。
男の子は、とても嬉しそうに、声まで弾ませて。
「あのね、ぼくね、おひとりさまなの!」
次回は、『あの時は、助かったよ』です。




