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星に願いを ー七夕エトセトラー
『ナベの願い』
言葉を話せるようにしてください。
ほんの一言で良いのです。
いつも料理をしているお母さんに、話しかけたいのです。
カタコト、でも。
『ハンガーの願い』
お願いします。
あの子のために。
どうか晴れの日に衣装が着れますように。
『眼鏡の願い』
雨の夜にも星が見える。
水滴に街の光がにじんでキラキラしている。
…ハンカチを貸してください。
『蛙の願い』
雨は素敵、でも、今夜はお星様にお願いします。
勇気をください。
海をめざして旅立ちます。
千年暮らした、この井戸から。
『子犬の願い』
どうか、文字を読めるようにしてください。
門のところの張り紙を見るとね、ボクが挨拶をした人、みんなが笑顔になるから。
きっと素敵なことが書いてあるに違いないんだ。
『パンダの願い』
「願い事は決まった?」
「まあ。」
「どうせ、色気より食い気でしょ?」
「みてみる?」
「うん。」
『ありのままで、飾らないほうが好きです』
「それを短冊に書いて”笹”にどうする気なの?」
次回は、『無重力ファミリー』です。




