ここは不思議な道具屋【挿絵あり】
【1】
ここは不思議な道具屋。
この店で扱う道具は、全てに強力な魔法がかかっているが、それゆえに何かしらの欠点を抱えているという。
「店主さん、この盾はどういったものですか?」
「あーはいはい、こちらはですね、どんな攻撃をも避けられる盾です。」
「どんな攻撃もですか?」
「はい、紛れもなくどんな攻撃も、盾が勝手に動いて避けます。」
「勝手に動くんですか?」
「ええ、こうして盾をかざして攻撃を受け止めようとしたりすれば、盾はサッと動いて当たらないようによけるんです。」
「ちょっ、それって盾がよけちゃったら攻撃を防げませんよね、そのまま直撃ですよね。」
「それが、この盾の欠点です。」
「・・・この盾はやめておきます。」
「それがよろしいかもしれませんね。」
今日も道具屋はこともなし。
【2】
ここは不思議な道具屋。
この店で扱う道具は、全てに強力な魔法がかかっているが、それゆえに何かしらの欠点を抱えているという。
「それじゃあ、何か武器を見せてもらえますか?」
「はい、どういったものがよろしいですか?」
「そうだなあ、どうせならすごく強力な伝説の武器みたいなのはありませんか?」
「それでしたら、こちらの刀などぴったりかと。」
「ほう。」
「この刀をさやから引き抜くことができた者は、最強の力を得ることができると言われているんですよ。」
「見せてもらっても?」
「ええ、もちろん。」
「ほほお、これは・・・、木刀ですね。」
「ですね。」
「模造刀ですよね、そもそも抜けないですよね。」
「抜けないかもしれません、木刀ですから。」
「落語か、『道具屋』なのか!」
「道具屋ですよ?」
今日も道具屋はこともなし。
【3】
ここは不思議な道具屋。
この店で扱う道具は、全てに強力な魔法がかかっているが、それゆえに何かしらの欠点を抱えているという。
「店主さん、こないだの木刀がなくなっていますね。」
「はい、あれから売れたんですよ。」
「どんな人が買っていったのですか?」
「凶悪なドラゴンを退治しに行かれるとか仰っていました。」
「えっ、どうするつもりなんでしょうね。」
「ひとまわり大きな特別製のさやをつくらせて、そのさやに木刀をおさめておられましたよ。」
「あーっ!」
「今頃は、ドラゴンを倒しているかもしれませんね。」
今日も道具屋はこともなし。
一見、使えないアイテムを、工夫次第で最強に!
なろうファンなら、一度は挑戦しないと、ですよね。