表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/208

わんにゃかぱっぱーゆんぱっぱー、めいがで、あ・そ・ぼ!

「美術館なんて行っても、場違いな気がする。」

「そんなことないよ、ほら見て、これとか知ってるし、落葉拾い。」

「落穂だよ、穂。」


 狙ったように「ば」違いだし・・・。


 なんだか一緒に行きたがっているのだが、こうしてネット検索で十分っポイな。


 どこかしらから見つけてきた、美術館主催のデザインコンテストは、オリジナルのマスコットキャラクターを募集していた。名画をもじってマスコットにするつもりらしく、”モデルにする絵”を探すためにと息巻いているのだ。


「美術館といえば・・・」


 彼女が再び口を開く。


「一度、あれを言ってみたいな。」

「あれって?」

「ここからここまで全部下さい。」

「台無し感半端ないな。」


 わからなくもないけど、と思っていたら。


「いくらくらいだろうね、ピカソとか。」

「何千万とかじゃきかないんだろうなあ、きっと億だよ、億。」

「逆さまでも通りそうな絵なのに・・・」

「何億な。」

「むぅー、いやむしろ、私もいける!」

「あーまぁ、とりあえずマスコットのデザイン頑張れ。」

「うん、次は、”私の時代”が来るよ。」

「ピカソだけにか。」


 ピカソは、作風の違いによって、青の時代など、○○の時代と呼ばれているのを、もじったらしい。


 けれど、検索した名画を、にまにまと嬉しそうにしながら、こちらに見せてくる様子は、マスコットのモデルを探している様には見えない。


「見て、ヴィーナスの誕生。」

「あ、うん。」

「見て、民衆を導く自由の女神。」

「だからなんだよ。」

「いやー、変な空気をもたらそうと。」

「そういうのやめろ。」


 ほんとやめれ。


「ねえ見て、これ駐車場の航空写真なんだけど。」

「うわっモナリザだ!」


 すごいなー、と喜んたのが失敗だったか、いそいそと次を検索して、目をキラキラさせてのたまった。


「この中に裏切り者がいる!」

「ここには二人きり、つまりお前か。」

「いや、えっ待って、これ最後の晩餐、だからね、ほら。」

「せいぜい味わっておくんだな。」

「いやあああ。」


 まあまあ、楽しい。


「ねー帰りに公園でぶらんこしよー。」

 フラゴナールのぶらんこを見せて、せがんできた。

「そんな魂胆の見え透いた誘いには乗りません。」

 実は、フラゴナールのぶらんこは、ひるがえるスカートの中を覗こうとしてる人がいるという、おちゃめさんな絵だったりする。

「私もスカートだよ。」

「そのアピールいらないから。」


 裾をつまんでカーテシーとか、そんなのどこで覚えた。


「ああーっ!」

「どうした、叫びだして、ムンクか?」

「違うよ、ピカソだよ、さっき逆さま・・・・・・でも通りそう・・・・・・って言った後の返しで、『何億な(なんおくな)』っていってたの、あれはもしかして?」

「ああ、それ今になって、意味がわかったのか。」


 ピカソ画『泣く女(なくおんな)』ね。





 ちなみに後日譚。


「オリジナルのマスコットキャラを考えたよ。」

「どれ見せてごらん。」

「ジャーン!その名も”踊るひまわりさん”、特技は交通整理のナイスガイ。会議室でも事件を起こすよ。」

「いや、このサングラスの奴、思い切り見覚えあるから。」

リクエストされれば、下調べも何のその、なんだって書くのです。


フラワーロック、ご存知ですか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『みどりの竜』
 一話完結、ショートショートコメディです。


『月の音色』
 声優、大原さやかさんのネットラジオに投稿した400文字以下の物語


『いくとちゃんとおじいちゃん』
 子供に読み聞かせるとき、大人も一緒に楽しめる童話を目指しました。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ