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1, ネガティブ野郎と不思議な筐体


俺は、他人から必要とされてないんじゃないか。


俺…鈴本アルマは、気づけば、そう考えるようになっていった。

学校ではクラスメイトから疎まれ、家でも義理の父親からも……実の母親からも疎まれ。

コミュ障だとか根暗だとか和を乱すとか散々言われて、

自分のことは自分でやれ、と両親から放っておかれて。

俺の(豆腐な)メンタルはボロボロな訳で……

嗚呼。



「異世界転移、してぇなぁ…」


最近のラノベの主人公みたいに、

最強な能力使って、無双しまくって。

仲間達から尊敬されて、仲良くなって。

俺にも……訪れねぇかな、そういうチャンス。


「……来るはずねぇか」


本気で異世界転移したいと思っている自分が可笑しくて、嗤った。

そんなのは……『虚構』の話だ。そんなチャンス……来るはずがない。


こんな辛くてつまんねぇ日々は、今日も明日もずっと続いていく……



筈だった。



「……気晴らしに、ゲーセンにでも行くか」






行きつけのゲーセンに行けば、相変わらず人で溢れかえっていた。

……正直、人混みは苦手だ。

いや、そもそも人間が苦手だ。

人間は怖い。幽霊だのなんだのよりもっと怖い。

だが……月の小遣いでは、ゲームなどとても買えやしない。

俺にとってゲームとは、辛い毎日を忘れさせてくれるかけがえのないものだから……

仕方なく最寄りのゲーセンに通っている。


……だが、何年も通い続けているのに、未だに店員とまともに話せない。何故なんだ。






「……何するかな」

いつも通り来たは良いものの、何をするかで迷ってしまう。

所持金は五百円程。小遣いの都合で、毎回これくらいしか持って来れない。

……とりあえず、いつも通り音ゲー数回して帰るか……、……?

「……あ、これ……」

目に付いたのは、真っ黒な筐体。


“ハッピーエンド確定!?新感覚リアルRPG!”

……中学生の頃、かなりやり込んだRPGだ。思わず頰が緩んでしまう。

アーケード版になったのか……?

どのエンディングもほぼハッピーエンドのような物で、つまらないと話題だったような気がするが……。

……そんな事を考えながらも、『ハッピーエンド確定』という言葉に、

どこか惹かれてしまう自分がいたのか。

この下らない毎日から、ゲームの中でだけでもいいから……逃れたいと思っている自分がいたのか。

気づけば、その真っ黒な筐体に二百円を入れていた。



……………………



《……ヨウコソ、『主人公候補』9番サマ》


「は……?」

…………二百円を入れた瞬間。辺りが白に包まれた。


…『2,ネガティブ野郎と異世界転移』へ続く……

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