ある日の出来事
その日は少し気温も高く夏の訪れを感じさせていたが、昨晩の肌寒さを考えると油断が出来ない。「風邪をひかないように気を付けないとな〜」そう自分に言い聞かせてイラストを描いていたのだが。
大まかなラフを描き、イメージを固めて線画にしていく。
ラフの線が多いため出来上がる頃には、イメージとの違いに毎回唸ってしまう。
「まあ、いいか」と、開き直りながら着色を始める。
元々、落書き感覚で描いたラフだった事もあり。線画もそうだが、背景もしっかり考えてなかった。
ただ一つ「今までとは違った着色をする」と、テーマを持って描いていたんだが……
調べてみると色々と塗り方があり。その中から自分にあった方法を探すとなると、片っ端から描いてみるしかない。正直な話、「無茶振りにも程が有る!」そう自分自身に突っ込みを入れ、渋々と作業を始める。
そこからは黙々と、調べて塗って唸り。そして、着色データを消し線画だけにしてから、一から塗り直す事を繰り返す。町内時報に気が付けば着色作業は半日は続いており、首から肩に掛けて怠さも感じ始めている。
「あ〜疲れたなぁ」と、言葉をこぼすが未だに自分にあった方法は見つかっていない。休憩を取る事も考えたが気力が衰えるのが嫌だった為、作業を続けることにした。
今度はグレーで濃淡をつける方法をとり塗っていく。よく知られている手法だが、自分にとってはあまり馴染みがないがやってみよう。
うん……良いのか悪いのか、さっぱり分からん!
この上にレイヤーを重ねて色を付けていくらしい。あ〜でも無い、こ〜でも無いと唸りながら試行錯誤をしていたのだが……着色作業に丸一日を費やした頃、精神的に限界を迎えてしまう。
「もう、統合して描いていけば良いんじゃね!」
技法も手法も無視した、傍若無人な言動である。が、ここまで開き直ると作業は俄然早くなり、出来上がったのがこれだった。
「うん、もうこれでいい」若干キレ気味に言い放つと、背景とタイトルを入れ自分の小説イラストにする。
まあ、しょうがないか簡単な事じゃ無いしね〜。自分を諌めるように呟き、両腕を天井に向けて伸ばした瞬間。
「ゴキリ!」と、部屋に響く不穏な音。
長時間に渡り同じ体制でいたので身体が固まっていたのか、音が響いた後に伝わってくる焼けるような熱。肩ではなく、首と背骨の境界線の辺りに痛みが走った。
「やっちまった! こいつあああやべえええ! ぬかったわあああ!」心の中でそう叫び、布団に潜り込み痛みを堪える。
とりあえずは様子を見て、最悪の場合は医者行くか。そう考えながら楽な姿勢を探り眠りに落ちると、翌日には痛みは消えていた。
様に思えたのだが! イラストを描いたり、キーボードを使おうとすると痛みが走った。それ以外では無かった事から、良くなるまで暫くは休むかという結論に至る。
「教訓、どんな作業も適度に休憩は取りましょう。後、猫背も治そうな」
そう自分に言い聞かせ、全快した暁にはタブレットのスタンド作ろうと思った自分でした。