砂時計
名残惜し 薄暮の海辺佇んで
さきの別れを 噛み締める
あまりに突然告げられて
頭と心 擦れ違う
理由を尋ねる時間もなく
去りゆく背中 見送った
今日という日のこれまでの
少ない言葉の意味合いに
今更ながら気がついて
戻らぬ時間が 憾まれる
遙か彼方の水平に 黄金に続く道標
ともに歩めるはずだった
ああ、これでまた自由気儘ね
強がってはみたけれど
侘しさだけが込み上げる
頬を伝う冷たさで 心の雫と気がついた
溜め息ひとつ ふたつつき
家路に向かうその頃は
昨夜と同じ星月夜
辿り着いたその部屋の
笑顔の写真 裏返し
二人で買った思い出の
上下を返し 思い出す
くびれた硝子の上から下へ
止まらず落ちる砂粒が
戻らぬ時間を物語る
『砂時計』挿し絵 【十条 楓さま】が描いて下さいました♪
ご本人の許可を得て掲載しております。
お読み下さりありがとうございました。
なるべくリズム良く、七五調になるようにまとめました。台詞のところだけ、リズムを崩して変化をつけました。