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ゴブリンサバイバー〜転生したけどゴブリンだったからちゃんと生き直して人間になりたい!〜  作者: 坂東太郎
『第三章 漁村 ペシェール』

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第九話 今日から俺の冒険者ライフがスタート! 俺、ゴブリンなのに!


 アニキの捜索依頼を出した俺は、依頼が貼ってある掲示板の前に来ていた。

 あ、ちゃんと討伐じゃなくて捜索で依頼出してます! デッドオアアライブじゃなくてオンリーアライブね! アニキの耳とか持ってこられてもしょうがないから!


 シニョンちゃんは俺の服をつまんで、ピッタリ後ろについてる。

 冒険者ギルドの中にいる他の冒険者たちの目が気になるらしい。

 オクデラはシニョンちゃんのさらに後ろだ。

 たまたまだけど、ちょうどシニョンちゃんを冒険者たちの視線から隠す感じゴブな! たまたまだよね? オクデラひょっとしてジェントルオーク?


 掲示板に貼ってある依頼書は少ない。

 漁村にある冒険者ギルドだから、新規の依頼が貼られるのは夜明け前が多くて、いまはピークが過ぎたからってのもあるらしいけど。


 でも、依頼書が少ない理由はそれだけじゃない。

 コワモテのおっさんが言うには、ゴブリンとかオークの討伐みたいな常設依頼の他は、だいたい「○○買い取ります」って掲示ぐらいしか貼られないらしい。

 仕事の依頼は、受付のおっさんと娘の美人さんが冒険者を斡旋するんだって。


 そりゃそうだ、依頼貼りっぱなしじゃいつ誰が受けてくれるのかもわからないからね! 例えば俺たちストレンジャーズが「海底のサンゴ採取」とか「店番」とか受けたら依頼主が困るだけゴブ! あ、商人の護衛も怪しいもんですわ! 俺ゴブリンだから! 普通護衛する方じゃなくて襲撃する方だから!


 ……あれ? ひょっとして俺たち、受けられそうな依頼なくね? シニョンちゃんはともかく、俺はゴブリンでオクデラはオークだよ? 信頼性皆無だよ?

 くっ、冒険者ギルドが実はハローワークとか人材派遣会社みたいな構造で世知辛い件! もっとこう、ファンタジーな感じで夢が見たいゴブ!


 掲示板を前にため息を吐く俺。

 せっかく剣と魔法のファンタジー世界で、しかもスキルがあって、俺は生き直しってチートもあるのに。

 ちなみにモンスターの討伐依頼も基本は斡旋されるものらしい。

 貼りっぱなしじゃいつ受けられるかわからねえし、早く解決しねえと困るだろ?って。

 ゴブリンやらオークやらは、すぐ増えるから常設依頼になってるけど。


 それにしても……。

 掲示板の「○○買い取ります」って掲示は、やたら海に関するものが多いゴブなあ。

 薬草採取みたいな気軽さで、サンゴとか貝とか海藻の採取が貼ってある。

 このあたりの掲示や夜明け前に出る「漁船の護衛」「漁師の手伝い」は、この漁村特有の依頼らしい。


 だからリザードマンとかサハギンとか人魚とかが冒険者やってるゴブな! モンスター扱いの種族を村に入れるようにしたってのも納得ゴブ! 漁師の手伝いはともかく、泳ぎながら護衛するのも海に潜ってサンゴとか貝を採るのもニンゲンじゃ大変ゴブ! まあゴブリンでも大変なんだけど!


 水棲種族と共存することを決めた漁村・ペシェールは、おかげで高い漁獲量を誇り、海産素材の取引で儲けているらしい。

 だから200人ぐらいの人口でやっていけてるし、人口のわりに冒険者も多いんだとか。

 ぜんぶコワモテの受付おっさんの受け売りだけど。

 せめて美人受付嬢ちゃんから聞きたかったけど。


 そうそう、この冒険者ギルドにはもう一つ特徴がある。

 コワモテでヒゲ面のギルド職員自慢の、海に面した冒険者ギルドならではの施設。

 ここには、ウッドデッキでできたテラスがあった。

 海にせり出した感じのテラス。

 一部は木材が切り抜かれて、そのまますぐ下の海に足をつけられる感じになってる。


 いまテラスには、依頼を受けずに休んでいる冒険者たちがいた。

 腕に赤い布を巻いて、村に入ってもいいって証を付けた冒険者たち。

 ぬめった皮膚を光らせるサハギン、日向ぼっこするリザードマン、デッキに腰かけて足を海につける人魚。


 人魚。

 下半身は魚で、上半身は人型の人魚。

 赤い布と、胸にビキニっぽいのを付けただけの、上半身は女性な人魚。


 ……ヒャッハー、楽園はここにあったゴブ! これもうちょっと海が青くてキレイで、砂浜もくすんだ色じゃなくて白かったら海外のビーチリゾートみたいゴブなあ! しかも夢の人魚さん付き! はやくお金貯めてシニョンちゃんに水着を買わないと! くっそ夢が広がるゴブゥ!


 この漁村のことを教えてくれた若い行商人がなんでここを知ってたかわかった気がする。

 あいつシニョンちゃんのことエロい目で見てたもんなあ。

 きっとこの村でも冒険者ギルドに依頼するとか言って出入りしてたゴブな! 人魚さんたちをエロい目で見てたに違いないゴブ! そんでいまの俺みたいに虫でも見る目で見つめられて……やめて、そんな目で見ないでください! ゴブリオゴブリンだけどわるいゴブリンじゃないよ! ジェントルゴブゴブ!


『ゴブリオさん?』


 上半身ビキニな人魚さんたちを見てたら、ちょっとムッとした顔のシニョンちゃんに視線を遮られた。

 これゴブリオ嫉妬されてるゴブか? くっ、モテる男はツラいゴブ! モテるゴブリンはツラいゴブなあ! ゲギャギャッ!


 おっと、いつまでもここにいてもしょうがない。

 俺はいろいろ教えてくれたおっさんに挨拶して、冒険者ギルドを出ることにした。


『行くのか? 朝方にみんなにお前らのことを言っといたがよ、その赤い布を外さねえように気をつけろよ』


『ありがとう。俺たち、村、外、行く』


『おう。なんか狩りでも行くか? ああ、遠出して故郷の森ってとこに行って、ホーンラビットやらソードディアやら狩ってきてくれんならまた角を買い取るぞ?』


『遠く、行かない。俺、ゴブリン、狩る』


『は? いまなんて言った?』


『悪いゴブリン、敵。俺、ゴブリン、狩る』


『……ゴブリンなのに?』


『ゴブリン、なのに!』


 目を丸くするおっさんに胸を張って答える俺。

 やり取りを聞いてた冒険者たちも驚いてるみたいだ。

 やっぱり。

 いくら村に入ることを認められたとはいえ、みんな俺のことを信じられないんだろう。

 そりゃそうだ、俺は「男は殺せ! 女は犯せ!」でおなじみのゴブリンだからね! もし俺がニンゲンでこんなゴブリンいたら信じるわけないゴブ!


 というわけで、俺はあえてゴブリンを狙おうと思ってる。

 ゴブリンを討伐してくれば、俺は違うんだってアピールできると思って。


 同族意識? そんなんないゴブ! ゴブリンなんて俺のライフポイントにしてくれる! あ、でもちゃんと悪いゴブリンなことは確認するよ? まあ人前に出てこないゴブリンだけがいいゴブリンなんだけど! おっと、それを言ったら俺は悪いゴブリンで、そこらで隠れて暮らすゴブリンがいいゴブリンになっちゃうゴブなあ!


 冒険者たちと受付のおっさんと美人ちゃんの視線を集めながら外に出る俺たち。

 うん、みんなの目が俺の耳に集まってたのは気付いてる。

 右耳がゴブリンの討伐証明部位だからね! 俺が自分の耳を切り取って自作自演なんてするわけないから! ぜったい痛いでしょそれ! しかも右耳なくなっちゃうし!

 ……あれ? ひょっとして、右耳を切り取っても生き直しの時に生えてくる? 俺の耳、無限増殖可能? いややらないからね! はした金のために痛い思いしたり、死にまくってライフポイント減らすのはイヤだから!


 さてっと。

 どうでもいいことを考えるのはここまでだ。

 なんたって、今日から俺の冒険者ライフがスタートだからね!

 俺、ゴブリンを狩って狩って狩りまくってやるゴブ!

 そのうち小鬼を殺す者(ゴブリンスレイヤー)とか呼ばれちゃったりして! 俺ゴブリンなのに! ゲギャギャッ!



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