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雪の降らない冬の日(タイトル募集中)  作者: もこたすぃ
第一章 消えない傷跡
1/9

『冬の日』

最後まで読んで頂けると作者はピョンピョン喜びます!(☝ ՞ਊ ՞)☝

___誰だ?


雪の降る真冬の公園で、独り佇む少女の影を彼は見つけた。

見るからに薄着で寒そうな少女を見た彼は居ても立っても居られなくなり、自分の上着を脱ぎ影に近寄る。


___なぁ君……っ!!?


突如背中に感じた激痛に耐え切れず彼は地面に倒れ込んだ。

冷たい雪が頬に触れ溶けていく。

歪む視界に入ってきたのは赤い何か。


___俺の……血?


じわじわと白い雪を真っ赤に染めていく。

力を入れようにも体は一切動かず、息もし辛い。

ゆっくり、でも確実に意識は段々薄れていく。

彼はやっと自分が殺されたことに気がついた。

先ほど背中に感じた激痛は何者かに刺殺されたことが原因だろう。


___嫌だ、死にたくない!


力の限り叫ぼうとしても吐血するだけで化け物のような声しか出せない。


彼は絶望の涙を流し目を閉じた。


___向こうで会おうね。




そんな少女の声に彼は再び目を開けた。

声の主である少女どころか誰の姿もない。

何処も痛くないし、体も動く。

彼は自分が死んだことを自覚した。

倒れていたはずの体は浮遊感に包まれている。

開いていた傷口は塞がれ、血も出ていない。

そこはまるで四角い箱の中。


「ーーあ、あぁ」


彼は恐る恐る自分の喉を触り、声が出せるのか確認した。

震える声は死んだことを否定して来る。

喉が震える感覚、震えが伝わる手の感覚。

全て今までと変わらないのに、本当に死んだのか。


ーー自分が一番分かっているのに、それを認めないのは何故なのか。


「ユウキ……ごめんな」


彼は膝をついて静かに泣いた。

彼にとっての家族はたった独りの妹、ユウキだけ。

妹の存在が、今の彼にとっての未練であり、涙の理由だ。

自分を殺した相手が憎い、自分を殺した相手が生きていることが悔しい。

どうして殺されなきゃならない。

どうして自分なんだ。

怒りで回らない頭は考えること自体を放棄している。

考えたところでどうなる。

分かったところで何が出来る。


「何も出来ない!!」


暗闇に響く自分の叫ぶ声。

地面に勢いよくついた右手に痛みはない。

拳を強く握り爪が食い込んでいるのに血は出ない。

弱い自分が憎い。

死んでしまった自分には何も出来ない。

出来るのは、ユウキの無事を祈ることだけ。


ーー彼は泣いた。


今度は声を出し、赤ん坊のように泣き叫んだ。



「ーーっ」


不意に頬を撫でるような冷んやりとした風が吹いた。

目を開け、顔を上げたその瞬間ーー周りの景色は。


「な、んだ……これ」


彼、ハセ・アキラは自分が異世界に転生されたと、今やっと気がついた。

ありがとうございましたぁぁぁぁあ!次回もよろしくです!!

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