表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

乙女ゲーム転生しました!まさか、私が王道パターンの悪役なんてっ!!3

作者: 水





 はい、皆様。ごきげんよう。

 さあ、話の続きですわ!






 話の続きと言っても、彼が毎日のように来て、話をして帰るだけなんですが…これがまた、大変なのですよ!

 こっちを睨む。ひたすら睨む。

 俺様発言、人の話を聞かない。

 なんなんですかね?あの人?

 この間も、私の好きな本の話になって話していた時の事です。



 昼下がり、私が部屋で絵本を読んでいた時に、彼はやってきました。

「おい。それは、どんな話なんだ?」

 “おい”って…。流石、俺様ですわね…。偉そうですわ…。

 というか、挨拶が始めに出てこないのは何故?

「彰様、ごきげんよう。これは、妖精が出てきて悪者と戦う話ですわ。読んでみます?」

 この絵本は、挿絵も綺麗で、話も深い内容になっているのです。短編以上中編未満な感じの分厚さ。

 前世の絵本は、可愛らしい物しか読んでなかったので、こんな絵本があるなんて知りませんでした。

「いや、いい。絵本は、読まないからな」

 じゃあ、何故、聞いたのですか?

「そうですか…。彰様は、何を読まれるのですか?」

 よしっ!会話の出だしとしては良い感じなのではないでしょうか!?

「経済学と経営学」

 ……それは、読書の定義に入りますの?

 後継者だから、今から勉強してるだけなの?

「そうなのですか?私は、そちらの方はよくわかりませんの…」

 だから、話が合わないから帰ってくれません?…って、言えませんけどね!

「気にするな。お前は、社交の勉強さえしてれば、問題はないだろ?会社の経営は、俺の仕事だからな」

 いやいやいや!誰も、将来の話なんてしてませんからね!?今話してるのは、本の話でしたよね!?

「そ、そうですけど…。彰様は、物語とかは読まれないのですか?」

「“物語”?興味ないな。作り物だろ?」

 …前世の私からしてみたら、今の私達も“作り物”なんですけどね。言えないけど…。

「そうですか…」

 話が続かない!いや、あまり続かせて長引かせたくないけど!

 だからと言って、邪険に扱うわけにはいかないし…どうしよう?

「でも、薔子が勧めるなら読んでみよう」

 おっ?どういう状況の変化ですか?

「そうですか?では、こちらをお貸ししますね?」

 私は、手に持ってた絵本を差し出した。

 …差し出したんだけど、受け取らない。なんで?

 読む気になったのではないの?

「彰様?」

 首を傾げて呼べば、ハッとしたように本を受け取った。

 なんなんでしょう?

 社交辞令を鵜呑みにしたらダメでした?

 いやでも、今、受け取ったし……。はて?

「これは、お前の気に入ったやつなのでは?」

 ああ、気を使ってくれたのですね。

「はい。お気に入りです!実は、寝る前にも読んでいますの」

 寝る前に読むのは、前世からの習慣みたいなものなんですけどね。

「……借りて良いのか?」

「はい。他にも本はありますから!」

 戸惑いながら聞くわりには、素早く本を仕舞うのは何故ですかね?

 本当は、興味があったとか?

「そうか。なら、借りていく。……そうだ。今度、我が家でパーティーがあるんだ。薔子も来るだろ?」

 さあ?私の一存で出欠席は決められませんし。

 “来るだろ?”と言いつつも、来るのが当たり前みたいな顔付きは、腑に落ちませんが…。

 婚約者ですから、行くのでしょうね…。

「父に聞いてみないと…」

「いや、来るのは決まっているから聞く必要はない」

 なら、聞いてこないで!

「本当は、このパーティーで発表するつもりだったんだが、父上に止められた」

「発表ですか?」

 肩を落として、残念そうな顔付き…。余程、発表したかったのですね…。

「ああ。薔子との婚約をだな…」

「まだ早いと思います」

 おじ様、グッジョブですわ!

 何を考えているんですか貴方は!?

 原作でも、中等部に入ってからの婚約だったのに!

 展開が早過ぎです!

「何故だ?遅かれ早かれ、俺と薔子は婚約するんだから良いだろ?」

 良くないです!

 どちらかと言うと、破棄してほしいのですよ!?

 良いわけないです!

「早いと思いますわ。それに、まだ、私達は若いのですから…ゆっくりいきませんか?」

 そして、婚約を諦めてください。

 悪役なんてしたくないんですよ!

「そうか…そうだな。ゆっくりでも良いか…。俺さえしっかりしていれば…」

 何を?何を“しっかり”するのですか?

 目の前で、ブツブツと呟かないでください!恐いですよ!

「……わかった。婚約者だと告げるのは、今回は諦めよう」

 気になるキーワードが出てきましたけど?

 “今回は”って、なんなんですかっ!?

 次もないですよ!

 婚約の話だって、双方の親達が『子供達、お互いが大人になってから』と言う話なのですけどね?

 覚えてますか?覚えてますよね!?


「学園に入学してからにしよう」

「双方の親は、私達が“大人になったら”と話していましたよね!?」

 貴方の“大人”の定義はなんなのですか!?

「話してはいたが、別に構わないだろ?何か、問題でもあるのか?」

 構いまくりに、ありまくりですよ!!

「問題があるから、双方の親達は“大人”になってからだと言ったのだと思いますが?」

 本当は“双方の親達”ではなく、私の父親の一言でこうなったのですけどね。

 簡単に言えば、ただの親馬鹿発言ですが。

『娘は、そう簡単には嫁にだしませんから』

 どちらかと言うと、おっとりタイプの父親が、背景にどす黒い物を背負って、相手の親と彼に伝えていました。

 彼は、渋々受け入れていましたけど…。

 そう、“渋々”です。

 納得してないのはわかりますが、こちらにも言い分があるのを理解していただきたいですわ!

 こちらの言い分は“婚約したくない”ですけどね!聞いてくれないですから、言いませんけど!!

「なら、いつが良い?」

 おや。珍しく聞いてきましたね。

「……そうですわね…。私達が高等部に進学してからとか…?」

「それは遅過ぎるだろ?せめて、中等部に進学する前には…」

 遅くないから!

「遅くないですわ。それが嫌でしたら、婚約の話を無しにして「わかった。高等部だな」」

 最後まで話を聞いてくださいな!

「じゃあ、そろそろ失礼する」

「はい。わかりました」

 本当に、唐突ですわね!

 いえ、帰ってくれるのは嬉しいのですけどね?

「また来る」

 そう言って、いつも帰っていきますが、呼んでいませんので来なくても構いませんよ?

「わかりましたわ」

 もちろん、言えませんけどね!




 ……嵐のようでした。

 毎回、こんな感じで会話して帰っていくのです。

 好意を持たれてるような気もするのですが、どうも“恋愛”の好意とは違う気がするんですよね。

 “玩具”扱いではないみたいですし……。

 なんなのでしょう?



 ただ、はっきり言える事は、相手が早く婚約をしたがってると言う事。

 何が、彼を追い立てているのでしょうか?

 謎です。






評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] 一作目の話ですが、薔子視点なので描写されてないですが、彰尚視点だと恐らく、 愛称で呼ばせたがる=なにこの子可愛い一目惚れだわ‼自室に通されて眉間にシワを寄せる=自室に招かれたのは嬉しいが…
[一言] 読ませてもらいました。 ぜひ続きお願いします。 彰くんめっちゃ気に入ってるよね。 独占欲つよそう。これで溺愛だと良いかも。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ