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第5話「魔法使いたち」

~魔法使いside~



「相変わらずきれいな戦い方をする子だな」


涼が魔族に突入して、魔物の軍勢との戦闘が始まったころ、涼によって髭ダンディーと言われた男は仲間の魔法使いたちと共に魔物の群れに向かっていた。


「それにしても、やはり心象魔法を使う人というのは規格外だな・・・・」


目の前では白に太陽の光を反射させる銀の刺繍を持つ羽衣を纏った少女にしか見えない()を中心に、物語の中でしか見ることができないような醜悪な姿をした魔物たちが群がっている。


・・・・だけど。


「あれは被害者と加害者が逆だよな・・・・外見だけ見ると」


強風が正面から叩きつけられながら近寄りつつある視界に見えるのは、海上の魔物は壊滅、空中に居る魔物の群れの中で、『天女』と言われた彼の舞いが始まったところだった。


彼を中心とした台風というか、ミキサーに近い。


近寄る端から細切れにされていく魔物、逃げても追われてあの舞いの制空権に入った瞬間に即死である。


絶対に敵にはまわしたくない存在だ。


「っと、近いな。全員気を抜くなよ!」


「「「了解!」」」


一応、空戦部隊のリーダーやらされてるんだ・・・、無様な真似だけはしないようにしなくては・・・・。


そう呟いて自分たちは、もはや掃討戦の呈をようし始めた戦場に加わったのだった。




思ったよりは余裕があるがそれでもきつかったな・・・・。


如月さんと自分たちとで挟撃することで魔物を撃ち果たす作戦(といえな言うようなもの)だったが実際は残党狩りに近かった。


彼が敵の数をほとんど減らしてくれた上に、魔族も早くに倒したから、残った魔物が死に物狂いで逃げ出したのだ。


必死な生物は普段よりも強い。


数は少なかったのだが、戦いづらかったのは事実だ。


けど、文句を言うようなことでもないんだろうが・・・・・。


「あ、如月さんが来ましたよ」


自分の脇に控えていた青年が左後方を見ながら声をかけてきた。


「本当だ、ありがとう」


そう言って如月さんに近寄っていく。魔力をかなり使ってしまったためか飛行が覚束ないが、帰るまでは持ちそうだ・・・。


「お疲れ様です、如月さん」


そう言うと、如月さんはさっき見せたようなまぶしい笑顔をこちらに向けてきた。


「みなさんもお疲れ様です。けがはなかったですか?」


あまり、直視できない・・・、自分はノーマルだがこの子は別な気がする・・・・。


・・・・と、それより。


「はい、全員無事です。如月さんも無事・・・そうですね」


けがどころか、返り血一つ、汚れ一つ付いていない。


「ええ、問題なしです。残党もいなさそうですし戻りますか」


「了解です」


前を先導しながら進んでいく如月さんに付いていくべく、自分を含めた4人はふらふらと付いて行った。


・・・・・・・・


ん? 如月さんがこっちに振りかえったが何か用でもある・・・!?


「な!?」


如月さんの胸? ・・から、なにかが・・・・。


「がああああぁぁぁぁぁ!」


突然後ろに攻撃した如月さんは、胸に突然生えてきた紫色の物体から、自分たちの目が眩むほどの光と雷鳴をとどろかせて落下していった・・・・。


・・・途中で、空中からにじみ出てきた長身の男に抱きかかえられた。


トサッと軽い音を立てて男の腕の中に収まった如月さん。


「・・・っ! この!」


考えるのが遅すぎる! これは敵襲だ!


自分のふがいなさを悔やんでいる暇もない! 現状を何とかしようと行動に起こす。


自分が手に魔力を込め始めたのを見て、後ろの3人もようやく事態を理解したのだろう。


各々が魔法を使うための準備に入る。


地球人ではまず見ることのできない青い髪をした男からは、これまでに感じたことのないほどの圧力(プレッシャー)を感じる。


明らかに魔族だ・・・。


敵わないかもしれない・・・・。


いや・・・敵わないだろう。


4人の魔法使いたちはそう思うのではなく、肌で感じた(・・・)


しかし、彼らは目の前のこの男を見逃すことはできなかった。


この魔族の力は計り知れない、心象魔法の使い手である如月涼を一撃で下した奴だ、勝てるはずがないのは重々承知の上で、戦いを挑む。


たとえ負けても・・・・。


「鬱陶しい・・・」


魔族が高圧的に、絶対的な強者の目線からの本音を叩きつける。


と、同時に髭の魔法使いの視点が回る。


「(く、何をされた!? 投げられたのか!? だが、まだやれる、反撃を・・・)」


そこまで思考して気付いた。


いや・・・・目に入ってしまったと言ったほうが正しい。


身体の自由が効かないほどの勢いで回る中、必死に敵の位置だけでも捕捉しようと視線を動かし、見てしまった。


自分の体を。


正確には首を失った自分の体と、同じく首を失った仲間たちの体を見つけた。


「(ああ・・・・なるほど・・・・)」


そこで意識が途切れた。永遠に・・・。


空中で回る4つの首と、頭部を失った身体が重力に引かれて海に落ちていく。


その光景を何の感慨もなく、さも当たり前のような視線で見やった魔族の男は、致命傷ながらもまだ息のある涼を抱えて飛び去って行った。


海上の魔法使いと、戦勝モードの自衛官たちがこの異変に気付いたのは1時間後だった・・・。




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