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第3話「作戦会議とは言うが・・・」

今は無事に指令室の中に居る。


前回、指令室に直接飛び込んだら後で美鈴さんにめちゃくちゃ怒られたから、今回はちゃんと案内してもらってきた。


なんか女性隊員の人の対応がウェルカード社の新人隊員の人たちと似ていたが、よく俺のこと知ってたな・・・。俺の情報はそんなに知らないはずだけど、あんな泣くほど会えてうれしいのか? なぞだ・・・・。


さて、今は作戦会議中だ。


俺以外の魔法使いは16人来ていて、内飛べるのが4人、心象魔法が使えるやつはいないかか・・・・。


まぁ飛びながら戦えるのは少ないし、心象魔法なんて世界でも100人くらいしかいないから、当然の結果かな。


そして、作戦には関係ないが、ここに来ていた魔法使いの1人から聞いたんだが、俺がなぜ美鈴さんからの連絡が遅かったのか、理由がわかった。


美鈴さんいわく「主役は遅れて登場するものよ!」らしい、なるほど、それで毎回俺が1番最後に到着していたわけか。


こんど締めるか。下剋上も悪くない。


なんて益体もないことを考えていると、さっきから隣でそわそわしていた、俺よりも4つくらい年上っぽい人が話しかけてきた。


「あの~」


「ん? 何です?」


「いや、会議中に話すもあれなんですけど、ウェルカードにいるときにあれだけ『天女』って呼ばれるの嫌がっていたのに、なんで自己紹介の時に天女と名乗ったんですか? もしかして遂に・・・」


「そんなわけない。理由はちゃんとある。一般人に限らず人はわかりやすいということを求めるんだよ。つまりは、俺が何度か戦いに出る、姿は見せるけど名乗らない、見た目で判断する、天女が固定、もはや・・・・訂正不可だ」


この人会ったことあったか? ・・・残念ながら人の顔を覚えられないから、全く知らん。・・・・まぁいっか。


「あ~、それでですか。けど名前を主張すればもっと抑えられたのでは?」


「いやいや、それで家に来てみろ。そこそこ面倒くさい。いつかばれるかもしれんが、ばれないことに越したことはないからな」


「ははは、有名なのも大変ですね。けど、それだとあなたが男だということも知らないのでないですか?」


「だろうな、別にもういい。訂正すると絶対に反論されるから、疲れるんだ」


「だから放置と・・・前から思ってましたけど、けっこうずぼらですよね」


「ほっとけ・・・」


相手のほうが明らかに年上だが、魔法使いとしての力量の問題で上下関係は涼のほうが圧倒的に上。だから涼は微塵の躊躇もなく、隣の年上の青年にぞんざいに適当な返答を返すのだった。



涼は会議中に会議を無視していたが、実際涼たち魔法使いにはそんなに関係ない軍略のことを話し合っていたから関係ないとばかり聞き流していた。


作戦はなんかごちゃごちゃ言っていたけどシンプルにまとめると、俺と空戦のできる4人は空から飛んでくる敵主力を迎撃。飛べない魔法使いは3人が旗艦の護衛、4人が1人ずつに分かれて、自衛官の軍艦一隻ずつに乗って専守防衛。残った5人は高速艇で水上からくる敵を5人で協力して撃破。最後に自衛官の人たちは撃ち漏らしの魔物を陸に上げないように、対空砲と魚雷で残党狩りという流れだ。


ちゃっかりと内容は把握していたりする。




上空2000m付近、どこを見渡しても水平線しかない視界に、ポツリポツリと遠くに自衛隊の軍艦が見て取れる。夏の終わりのためか高度にいるためかはわからないが肌寒さを覚える風が、強く弱く緩急つけて吹き付けるなかで、涼は空中戦を行う4人の魔法使いたちとともに魔物が現れるのを待っていた。


「如月さん、よろしいでしょうか」


後ろで待機していた髭がダンディーな男性が涼の名字で声をかけてくる。


その呼び方にうれしさを覚えた涼は、しかしその感情を表に出さずに平静にこたえる。


「なんですか?」


「いえ、本当にお1人でほぼすべての魔物を相手取るおつもりで? 我々ももっと加勢すべきではないかと愚考するのですが・・・」


「ああ、久しぶりだからな・・・」


「久しぶり・・・・?」


「そうだ、戦闘が一か月ぶりだから楽しみだということ、戦闘の勘を取り戻したいことだ・・・。まぁ、本音は人死にを見たくないから最善の方法をとったらこうなったというだけだがな」


「でも加勢するくらいなら・・・・」


「いや、みんなには魔物の相手してほしいんだ。俺は魔族を討つ。今回は確か300の魔物の軍勢らしいから十中八九魔族が率いているはずだ、そうしないと統制がとれないしな・・・。俺が敵陣突破して魔族を倒したら魔物たちを背後から攻撃して、挟撃するような感じなると思う。だからみんなにもそれなりの負担を強いると思うんだ」


そう言って苦笑しながら後ろに控えている魔法使いたちを流し見る。


・・・・・・・・なぜ全員顔が赤くなる。


「な、なるほどわか・・・理解いたしました。頑張りましょうお互いに」


髭ダンディーはそれだけ言うと下がっていった、しばらくなんかぶつぶつといっていたが、「彼は男・・彼は男・・・」とか「俺はノーマルだ・・・・」など聞こえてきたが、聞こえなかったことにしよう・・・・。




髭ダンディーが復活したころに海平線上に魔物軍勢の影が見えてきた。


「来たか・・・・、じゃあ先に行っている。絶対に日本を守り抜くぞ!」


「「「「了解!」」」」


威勢のいい声を背中に涼は敵陣に突入していった。



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