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第13話「初めての・・・」

「どうしよう・・・・」


俺はいま最大の危機に陥っているといえる。


クレルは俺と一緒に風呂に入る気がないとわかってからダッシュで脱衣所に飛び込んだ。てっきり一緒に入ってくるものかと思っていたが、心底安心した。そして、風呂の脱衣所の前には当たり前のように侍女(始めてみる顔の魔族)が立っていて嫌な予感がしたが、丁重に何度も断ることで、一人で入ることを認めてもらった。頑張った俺!


では何が起こっているか・・・・それは、人間ならだれでも訪れる生理現象であるトイレだ。


これまでは別にそこまで気にしなかったために、・・・むしろ極力無視していたために自分が女であるという感覚はなかったのだが、これはだめだ。


あるはずのものがないというのはかなり堪える・・・・。


トイレに入って、無駄な広さにいらっとしたが無視。洋式のトイレに安堵しつつも便器のふたを開けて、さあしよう! というところで気がついた喪失感。もうトイレに入ってから10分は経っている気がする。


これを体験したら完全に自分が女だと認識してしまうような気がするからこそ、躊躇してしまう。だけどここで我慢することはできると思うが、あとできっととんでもないことになりそうな気がしてならない。具体的には考えたくもないが・・・・。トイレに行きたいのを我慢しながらだからうろうろとトイレの中を回っていたせいで目が回って来たし・・・、もはやあきらめるしかないのか?


「うぅぅ~・・・・」


やだな~。


「なんでこんなことになってるんだろう・・・・。女になるとか意味分からないし、ならなければこんなことで悩むこともないはずなのに・・・、理不尽だよ~・・・」


・・・・・よし!


「やろう! いつまでもここに居たらクレルの奴が来るかもしれないし」


それが一番怖い。


「とりあえず・・・」


纏装を解除しておく、みたくもないネグリジュ姿になったところで思い切ってパンツをおろして便器に座る!


「ここまではオーケーだ。あとわっと、ううぅぅぅぅ」


・・・・・・・・


・・・・・・・・・・・・・・


・・・・・・・


・・・



「・・・・拭くのか」


ここからは略。


なんかいつもあるものがないと違和感しか感じなかったし、変なことは考えずに無心でやったとだけは言っておこう。




「なんでこうなった・・・」


想定外のこと言うのは続くらしい。


あれだな、さっき侍女の方の「洗います」宣言を撤回するために脅すように魔力を放出したせいかな?


きっとそうなんだろう、この状況は。


トイレから出たときに出口にはいつの間にか侍女の方々がリレイさんを中心に3人待っていた。


そして風呂に強制連行、洋服をいつの間にか脱がされて裸にされたと意識する間に風呂場に入っていました。


そして・・・・・。


「なんでこうなった・・・・」


「それは奥方様がジラの・・侍女の提案を断ったからです。奥方様のお世話はわたくしたちの仕事ですので、当然の結果です」


そう言いながらもしっかりと俺の体を洗い続ける侍女ども・・・・。


もはや、やめてというのもあきらめた。


洗われることによって自分で自分の体の変化を意識しなくて済むというメリットもあるから、これで良かったんだろう。


洗われることによって身体の起伏を感じると思ったが、そんなこともなく。


事務的な動作はどこか心地よさすら感じてしまうほどに洗練されていた。


何も考えずにもう身を任せてしまおう・・・・。




「終わった・・・」


羞恥と忍耐力をがりがりと削り取る時間がようやく終わりました。


つらかった・・・・。


今はさっきの部屋で侍女の人からもらった飲み物を飲みながらくつろいでいるところだ、寝間着みたいな透けたネグリジュを着せられたが、即行で換装した。


まだこっちのほうがましだ。


クレルの奴は俺と入れ替わりに風呂に入って行ったのでここにはいない。


下手したら乱入してくるかもしれないとか、俺の風呂上がりに襲われるかもしれないとか、いろいろ考えていたが杞憂だったみたいだ。


・・・いや、まて。


まだわからない、奴が風呂から出てきてからベッドイン(強制的に)される可能性もある。


ここは対策を考える必要がありそうだ。


まずは逃げの一手。


外、近衛兵っぽいやつ+侍女。却下。


窓、バルコニーから下は飛び下りれば紅い花が咲く。却下。


クローゼット、洋服多っ! 却下。


トイレ、籠るか? 引きずり出されそうだ。却下。


別の部屋、ベッドルーム。死地だ・・・却下。


ならば交渉を・・・・何すれば?


交渉の余地なくない?


だってあのクソ魔族、俺の話かけらも聞かないうえに、自分の意見を絶対に押し通しそうだ・・・。


・・・・・詰んだ、俺。



そんなどうしようもないことを考えていたせいだろうか、クレルの野郎が出てきた。


容姿が整っているからか風呂上りが無駄に色っぽくてウザい。


しかも下しか洋服を着てないせいで無駄に整った上半身を惜しげもなくさらしている。ちょっとうらやましいと思ったのは内緒だ。


けど! なんだ、そのさわやかオーラは。キャラじゃなさ過ぎて違和感しか感じない。


しかし、世の女どもならバカみたいに奇声を上げて喜びそうな絵でもあるな・・・。


とかぬぼーと見ていたらこっち向きやがった。


「なんだ、間抜けな顔をして。のぼせでもしたのか?」


相変わらず・・・相変わらず! ムカつく奴め!


「してねえよ! もう寝る!」


そう言って、ソファーから立ちあがってベッドに向かって歩いて・・・・一つしかないベッドを見て正気に戻った。


やばい! 藪蛇だった! のらりくらりと会話しながら朝を迎えようとか考えていたのに、自分でこっちに来てしまった・・・・。


「あ、っと、やっぱりやめて・・・」


と言いながら振り向くと、一面肌色。


おそるおそる上を見ると、上半身裸のクレルが超至近距離。


見下ろしてくる奴と目が合った瞬間に、にこりだか、にやりだかわからない笑みを浮かべられた。


ひいいぃぃぃぃぃぃぃ!!


鳥肌が立った! 悪寒が走った! 俺の第六感がヤバイと告げている!


緊急回避!


全身が総毛だって言葉は発せないけど、なんとか動かせたからだに鞭うってこの変態の横をすり抜け・・・・・ようとして、胸元を押されてベッドに放り投げられた。


一瞬の浮遊感に不安を覚えるもすぐに背中にベッド(とは思えない柔らかさでふわっと)に受け止められる。


しかし、これはヤバイ!


なんとか動こうとしたがそれよりも早く影が落ちる。


「逃げることないだろう、涼。お前も俺と同じ気持ちだったとは気がつかなかったぞ」


「な! 違っ! そんなつもりじゃ・・」


「だけど残念ながら涼の気持ちを汲んでやることはできない」


え、ほんとに! いやいや全然うれしいんだけど! 欠片も残念じゃないです。


「そ、そうか~・・・」


ならば今のこの体勢をやめてほしい。


今の状況、下からベッド、俺、クレル。


なんか伸しかかられている。


残念なら早くどいてほしいところなんですけど・・・。


「ああ、まだ性交渉をするには互いの体が慣れていないため危険が伴う、特に俺と涼は魔族と人間だからな。何が起こるかわからん」


ならば、なおのことどいてほしいんですが・・・、むしろ嫁やらなんやらを解消してほしい、危険らしいし・・・。


「だから、まずは簡単な体液の交換でたがいの体内情報を慣らしていく必要がある。いくら魔力の波長が合うと言っても性急な行動は互いの内在魔力や体内魔素を破壊しかねないからだ」


ん?


いまいちよくわからんが、魔族は簡単に身体を重ねることはできないってことか?


無理にそんなことをすると魔力が壊れる?


魔法が使えなくなるってことか?


・・・・・・・・・体液の交換?


「えっと・・・・」


嫌な予感しかしないのだが・・・・・。


思考が鈍ってクレルの顔をなんとなしに見る。


すると、ゆっくりと。


まるでスローモーションでも見ているかのようにクレルの手が俺の頬に触れた。


そのままあごに滑らせた手でくいっと上を向かされる。


クレルの紫色の瞳が近づいてくる。


まるで俺の身体じゃないかのように心臓が早鐘を打ち、耳にはドクンドクンドクンと心音しか聞こえない。


なんでこんなにも緊張しているのか混乱しきった今の頭では到底理解できない。


「涼・・・、耐えろよ」


「え・・・、な・・に!? ふぅぐ・・・」


何を? と聞こうとした、しかしその唇は言葉を紡ぐことなくクレルの唇で塞がれる。


「・・ふ・・・んぅ・・、ぁぅ・・・・・んんぅぅ・・」


遠慮なんてしてこない本気のディープキス。


最初から舌を口内にねじ込まれて、本能的に押し出そうと舌で押し返そうとするが、クレルは巧みにその舌を絡め捕り快楽へと導いていく。


腕で、足で、クレルを突っぱねようとするも俺の上に乗っているクレルの身体はびくともせず、只無為にクレルの身体を撫でるような抵抗しか示せない。


ドクンッ!!


初めてのキスに酔いしれていたのは一瞬だったのか、数秒だったのか、数分だったのか、涼には判断できなかったが、ソレは唐突に訪れた。


クレルとキスをする。


おそらくはその瞬間だったのだろう。


クレルの魔力という名の熱く黒い何かが身体を駆け巡るのが分かる。


喉を通り、胃や腸といった消化器官無視してクレルの魔力は涼の下腹部に真っ直ぐに下降した。


そして、そこから身体を侵食するかのように徐々に手足へと染みわたっていく。


じれったい様な焦燥感を感じるが、そんなことを涼が考えることができるはずがないほどに身体はクレルの魔力によって蹂躙されているため、思考できない。


その熱はただ涼の身体を満たすだけでなく、媚薬のような興奮作用を含み、強烈な熱となって涼の思考を染め上げていった。


な・・・なに・・これ・・・・・。


身体が熱い。


手に、足に力が入らない・・・・。


なんか・・・ふわふ・わ・・する、・・・気持ち・・・い・・・・。



そこで涼は意識を手放した。


なんか間が開きました・・・・。


というか、ここまではできていたのに投稿していなかったという間抜けさにびっくりしました。

けどもやっぱりカメ更新になりそうでちょっと憂鬱です。


できるだけ頑張ります。

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