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2話:猫娘の爪と歯はやっぱり猫でした


 そーっと耳を触ってみる。

 滑らかな手触りの毛の下から、体温を感じる。


 ほんまもんの猫耳だとぉぉぉ!?


 耳を触った事で刺激したのか、今度は尻尾が動いた。

 おお、クネクネパタパタ動いとる動いとる。


 ほんまもんの猫尻尾ぉぉぉ!?


 ……あ、ありえねぇ。

 愕然として固まった俺の前で、女の子が身じろぎした。


「ン……」


 起きた!?

 ちょっと待って、心の準備が!

 慌てる俺には関係なく、その目が開かれて。


 ルビーの様な赤い瞳が、俺を見た。

 あ、瞳は人間と同じだ、猫目じゃないわ。

 心の内を覗き込むような、神秘的な紅の瞳……。


「………………」

「………………」


 沈黙。

 それに耐え切れなくなった俺は、引き攣った笑顔を浮かべて挨拶してみた。


「ぐ、ぐっもぉーにぃんぐ?」

「………………」


 反応無し。


「ミャア」


 あ、反応した。

 って、返事まで猫かよ。


「ミャ……?」


 女の子はボーっとした目で自分を見て、しばし固まった。


「ミ……」

「み?」


 思わず聞き返した俺を涙目で見て、言った。


「ミャアァァァーーーーーーッ!!」


 耳をつんざく様な悲鳴。

 言ったというより、叫んだという方が正解だな。

 って、冷静にしてる場合じゃねぇ! 人が来る人が!

 自慢じゃないが、このオンボロアパートには防音性なんかまるでねーんだ!




 猫娘と格闘すること約十分。

 何とか静かになってくれた。


 代償として、俺の顔は引っ掻きまくられてミミズ腫れだらけになり、腕やら足やら噛み付かれて歯形だらけになった訳だが。

 爪も歯もやっぱり猫のそれだったので、ダメージは倍増である。正直痛い……。


「あー、落ち着いた?」

「……フゥ~~……」


 毛布に包まって部屋の隅で警戒してるよ。

 まぁ、目が覚めたら素っ裸で目の前に見知らぬ男がいれば驚くわな。

 しっかし、完全に行動パターンが猫だ。


 むぅ、とりあえず何か着せるか。

 洗っておいた女の子の服を触ってみると……うん、乾いてる。サイズが小さい分、乾くのも早かったな。


「ほら、君のだろ? 洗っといたから」

「ミャッ!? ミャアッ!!」


 ……ひったくられたよ。

 ヤメテ! そんな泥棒を見るような目で見ないで! お兄さん無実だから!


「ミャウゥ~~……ミ? フンフン……ミャア」


 お、洗濯したのが分かったかな。

 綺麗になってるのと、匂いが無くなってるのに気付いたようで俺の事をジッと見てる。


 ジッと……ジーッと……。


 ヤメテ! そんな見つめないで! お兄さん女の子と付き合った経験そんなに無いから! 照れるから!


 女の子は服を持って毛布の中に潜り込み、暫くモゾモゾすると服を着て出てきた。

 おお、よく似合う、まるで天使のような愛らしさ。黒い髪ともベストマッチ。背中に羽でもあったら本物の天使と間違えそうだな、猫耳と尻尾付きだけど。

 それに胸の青い宝石が、瞳の赤と対照的に引き立てあって絶妙な美しさだ。


 ん、女の子が胸の宝石に両手を触れて、何かを呟いてる。


 なっ! 宝石が光った!?


 宝石がいきなり青く輝いたかと思うと、唐突にそいつは収まった。

 驚いたわい、思わず目がー! 目がぁー! とか叫びそうになったぜ。

 って、女の子の手に、何やら銀色の腕輪みたいなもんが乗っている。

 ちょっと待て、何処から出した!? そんなもん、さっきまで無かったじゃないか!


「……ミャウ、ニャ、ミニャウ」


 そいつを俺に差し出してきた。

 え、なに、くれるの?

 腕輪を受け取ると、女の子は自分の左手首を右手で指差してミャアミャア言ってる。


 ……腕に着けろってのか? よく分からんが……。

 俺はそいつを左手首に嵌めた。


 その瞬間、腕輪はシュルンっと縮まって、手首にベストフィットしてしまった。

 何だこれ! 形状記憶合金とかか!?

 凝った模様が彫られた腕輪は、ぴったりと俺の腕に嵌まって……つか、へばり付いてねーかこれ!?


 慌てる俺の耳に、声が聞こえてきた。

 鈴を鳴らすような、綺麗な声。


「……私の言ってることが、分かりますか?」

「え?」


 その声は、目の前の猫娘から聞こえてきていた。



子犬や子猫って良いですよね、人類の癒し。

飼いたいけど住居の関係で飼えない……orz


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