22.力
クラルスが吹き飛ばされて、僕の目の前に着地した。
「貫いたかと思ったが、存外堅い鎧なのだな」
男が話しているが、僕はそれどころじゃなかった。
──クラルスが負ける?
着地したクラルスが敵との距離を詰めるように前に跳ぶ。
クラルスが負けたら、どうなる?
クラルスは勿論、後からここに来るだろう、騎士団の面々全員が死ぬ。
それは、嫌だ。
受け入れられない。
でも、手がない。
僕じゃ足りない。
でも何を願えばいいんだ。
さっきから願っているけど、何も叶わない。
そもそも願いが叶うかすら怪しくなってきている。
そう考えている間も戦闘は進み、クラルスが防戦を強いられている。
「──守りながら戦うのは辛いだろう」
声がはっきり聞こえた。
思索から浮かび上がれば、戦いは一時的に止まっていた。
クラルスは息を荒くして立っている。
守りながら……?
僕は、クラルスに守られていたのか。
なのに僕は何もできないでいる。
ミグラントなのに?
僕はクラルスを助けるために来たはずだったのに。
「──それは違う」
クラルスが否定するが、僕にはそうとは思えなかった。
僕は何かができなければならなかった。
だけど、今の僕には何もない。
だから足手まといになった。
助けられてしかいない。
救われてしかいない。
それは、重荷だ。
「私は、民を守ることを自分に課している。だから私は一人でも立つ!」
でも僕は、クラルスを助けたかったよ。
そんな時、後ろから足音がした。
──不味い。
的が増える。
クラルスの不利が、増える。
しかし、僕の直感とは裏腹に、男は少し苦い顔をした。
「もう少し時間があれば攻略できたが、ここまでか」
「──待て!」
クラルスが追おうとするが、男の方が速く、男は崩れた天井から屋根に立った。
「ではな。いずれ再び相見えよう」
その言葉を残し、男は夕日の中に消えていった。
その直後、部屋に騎士団の面々が入ってくるが、僕は明確な敗北感に打ちのめされていた。




