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13.武器

魔法を使っていること、メイン武器ではなく魔法の邪魔にならないサブ武器を探していることを話すと、店主は2つの提案をしてくれた。


「一つ目はバックラーだ。魔法がメインだって言うなら利き手じゃない手では耐えることをメインに考えるのは悪くないだろう」


なるほど、防具か。

昨日の戦闘ではされることがなかったけど、飛び道具が出てきた時に面積で防げるのは強い。

問題はこの世界でどれくらい飛び道具が飛んでくるかとそれが果たしてバックラーで防げるかどうかなんだけど。

まあ、こうやって提示されるならこの世界でも通用する選択肢ではあるんだろう。


「二つ目は、短剣だ。動きの邪魔にならない武器ってなるとこれくらいしか候補がないとも言えるが、邪魔にならないっていうのはあんたのスタイルの場合明確な強みだ。利き手じゃない手で扱うには練度がいるが、逆に言えば練度さえなんとかなればちゃんと武器にできる。持ち手の保護ができるこれなんかは、結構相性良いんじゃないか?」


見せてきたのは片刃の短剣で、サーベルみたいに持ち手の保護がなされているタイプだ。


見た瞬間ハマる感じがした。

これ、かなり僕のスタイルと相性いいかもしれない。

飛び道具は持ち手を守る部分で受けるか刃の部分で落とすかできて、基本邪魔にならない。

相手に近接戦闘にリスクを負わせることができるから、抜くだけでも圧になり得る。

その上で魔法が伸びたらもしかしたら魔法剣みたいなものが生まれたりしてこっちも伸びるかもしれない。

基本魔法戦をしたい僕からすればこれ以上はないと思える武器だった。


「これ、いくらですか?」


僕はもう買う気満々だった。


「お、気に入ったか。そいつの値段はかなり高くて、15万テルだ。高いしベルトもおまけしよう」


テルというのは日本円の価値に近そうな単位だ。

具体的に1テルあたりが何円に値しそうかはちょっとまだ分からないけど、この短剣がちゃんと高いというのはわかる。


「あんたの人を助けようとする姿勢を買って、足りなかったとしてもツケにしといてやるよ」


とは言われたものの、多分僕の手持ちだと余裕で足りる。

さっきペンと紙を買った時の感じだと、金貨1枚で10万テルだから──


「金貨2枚で足りるよね?」


2枚でお釣りが来る計算だ。

本当に、クラルスは僕にいくら渡したんだ。

依頼料でも入ってるのかな。

でも、これは依頼受ける前に受け取ったしなあ。


「おお、足りるぜ。釣りは銀貨が50枚だけど、袋はあるかい?」


「袋はあるね」


さっきペンと紙を買った時にお釣りが出たから貰った袋がある。

それを差し出すと、店主が10枚ずつ見せて入れていってくれた。


「10、20、30、40、50。はい、お釣りは入れておいたぜ。ナイフのベルトのつけ方は分かるか?」


「これってどう付けるやつ?」


ナイフに関しては詳しくないから、パッと見だと全く分からない。


「ああ、これは腰に付けるやつだけど、ここを取り外して、使う手と逆の肩の前の方か、バッグのその位置に縫いつけといてもいい」


「へー、そんな使い方もあるんだ」


「個人的には肩に付けとくのがおすすめだぜ。ま、ベルトに関してはこんなもんかな」


「ちょっと使ってみて考えてみる」


「それがいい。質問があったらいつでも受け付けるし、縫いつけたくなったらいってくれれば付けてやるよ。じゃあ、またご贔屓にー」


「あ、そういえば廃材だけど、」


廃材を忘れてはいけない。えるえるさんの武器になるんだから。


「──廃材はこの店の裏手にある。俺が案内すると俺が渡したことになっちまうからな。言えるのはここまでだ」


「店主さん!ありがとうございます!」


えるえるさんが店主に感謝している。


「いや、俺はそっちの坊主にくれてやるだけだ。それがどうなろうと知ったこっちゃねえ。だから俺に礼なんて言うんじゃねえよ」


「確かにそうですね。クロンダイトさん、ありがとうございました!」


店主がそう言えば僕の方に感謝が飛んできた。


「クロンダイトさんは何かして欲しいこととかないですか?」


して欲しいことかあ。


「うーん……まあ、それなら、余裕ができたらでいいから、さっきのえるえるさんみたいな困ってる初心者を助けてあげてほしいかな」


全ての初心者を救済するには僕の手は小さすぎるし、現状やりたいことが多すぎてそもそもそっちまで手が回らない。


「──このえるえる、感服しました。さっきの私を助けるものと思って、初心者を脱却したら初心者を助けます!」


なんか、よく分からないけど感服されてる。

まあ、こういうのは無駄に誤解を解くとそれはそれで面倒になったりするから都合のいい感じにしておくのがいいかな。


「うん、それでお願い。じゃあとりあえず廃材を見に行ってみようか」


既に戦闘を経験した僕の視点からできるアドバイスがあるかもしれないし。


「お願いします!」


そうして短剣を手に入れた僕と、えるえるさんは店の裏に向かった。





結局えるえるさんは僕の意見を参考にしながら、穂先の折れた槍──つまり棒にちょっと刃物がついたような物を武器として選んだ。


「ありがとうございました〜!さようなら〜!」


良いことをするのは気分がいいね。



さて、えるえるさんに関してはこれで良いだろう。

過剰な干渉は主体性を削ぐからね。


僕はこれからどうしようか。

腰のベルトの前の部分に収めたナイフの柄を掴んでみて、その存在感に慣れながら考える。


まだ全快ではないけど魔力が結構回復してきてるから、一回路地裏に行って研究しちゃおうかな。

それが終わったら今度は杖を見に行こう。

確か店主が言ってたのはここの二つ隣だったよね。

覚えておこう。

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