11.線
結論から言おう。
現状では魔力線を使ってできることはほぼない。
太くする時の消費魔力の量が多すぎて棍棒として使える太さにすると50cm位で魔力が尽きて、とてもじゃないけど近接武器として扱える物に仕上がらない。
そして、僕が有力視してた細くしていく方なんだけど、伸ばしていくうちに弱点が見つかった。
出し始めた場所から半径2m以内でしか魔力線は存在できなくて、そこから出ると消えていってしまうこと。
当然、引っ込めて回収した時にもそうやって消えた分の魔力は回収されない。
一応2m以内の距離では使えるけど、魔力線は一つ近距離戦において致命的な弱点を抱えている。
それは、魔力線は相当硬いが、硬い魔力線で受けた衝撃は全部根本の指に返ってくること。
一度振り回して壁にぶつけてみたが、反動で指が折れたかと思った。
このせいで魔力線では防御ができない。
ということは、結局防御は何かしらの武器や防具で行わなければならず、そうなると、攻撃に使うのは魔力線ではなく魔法でいい。
一応、魔力線の先端を魔力線に触れさせると魔力線同士がくっつくという新発見はあったけど、それも特に使い道は見つからなかった。
初回の魔法研究は、魔力線は現状使い道のない技術である、という結論で終わった。
◆
とはいえ、進捗はあったからこれは肩を落とすことではない。
というか、研究なんて実用性のあるものが生まれる方が稀なんだからこんなことで落ち込んでなんていられない。
今回の実験で得た知見を新たに一枚の紙にまとめながら僕は頭を既に切り替えていた。
「これで最低限──魔法研究院に行っていいようにはなったかな」
僕はゲームの魔法を研究する上で一つ自分に課していることがある。
それは──最初の研究は必ず自分のみで行い、それを終えるまではwikiその他の全ての情報をできるだけ得ないようにするということ。
これはそのゲームの魔法について自分で触れて開拓してから研究に携わるようにするためのものだ。
自分で試していない物に関しては見識が深まらないから、それを避けるための儀式とも言える。
さて、じゃあ、魔法研究院に行ってみようかな。
◆
「すみません……現在は外部の方をお招きしていませんので……」
──ちゃんとしている。
ちゃんとしているが故に、僕は受付で弾かれた。
「そっかー」
ゲームの研究院には、既に壊滅していて跡地で研究結果だけを掘り返す場所のイメージがついていたから、初めて研究してるところを見られると思ってウキウキしていたけど、普通に考えたらそうだ。
最先端の研究は、当然外部には明かされない。
世界が変わった後の魔法の研究なんて最先端じゃなかったらなんなんだ。
そりゃ当然部外者は入れないよな。
受付の人の申し訳なさそうな視線が痛い。
「……今度クラルスに入る方法ないか聞いてみるかー」
普通だったら手を出せないという結論になるけど、今の僕にはクラルスという僕に借りがあり、かつ魔法研究院と関わりがある友人がいる。
入れない可能性も勿論あるが、十分入れる可能性はあるだろう。
とりあえず今は去ろう。
◆
路地裏に戻った僕がするのも結局研究でしかない。
現状魔法研究院の資料を活用することはできず、そうなると、クラルスの魔法を作るためには僕が研究を進めていくしかない。
魔力に関しての研究は終わったから、今度は魔法の種類についての研究だ。
ここからは魔力を消費するようになるから、魔力を使い切るまで研究して、回復するまで別のことをしてのサイクルにしようかな。
まずは属性が何個あるかの網羅からやっていこう──




