【故障しててもアイシテル】
SF短編小説。外界で暮らせない主人公とメイドのアンドロイドのお話。【嘘つきだけどアイシテル】第2弾
(それは交換した方がいいわよ)
(そうかなあ)
同僚のフラワーがキッパリと言い切った。
話題はウチのアンドロイドの話。
最近、なんかおかしいんだ。
(アイシテル、ご飯作って)
俺がそういうと、ヤツは不安げな目を向けた。
(ハイ、、、何にする?)
(ん〜〜〜、オムライス)
(ハイ、、、)
ヤツがキッチンへ消えた。
数分後。
あ、マズイ。オムライス、マズイ。
ヤツを見るとうつむいている。
自覚、あるのかな。
(あ、あのさ)
俺が声をかけると、ヤツが顔を上げた。
眉根を寄せ、下唇を噛んでいる。
うわっ、そんな顔するなよ。
俺が泣かしてるみたいじゃない。
(すみません、、、工場に行ってきます)
あ、また勝手な行動を。
その時、
俺の頭にフラワーの言葉がよぎる。
(それは交換した方がいいわよ)
だめだ!
そうしたら、俺のアイシテルじゃなくなる。
俺は外へ飛び出した。ヤツの背中が見える。
(いくな!アイシテル!いくな!)
俺が叫んだ途端、ヤツはビクっとして振り向いた。
(だめです!早く戻って!貴方が死んでしまう!)
ヤツはそう叫ぶと、凄い形相で走ってきて、
俺の手をつかみ、グイグイと家の中へ連れ込んだ。
数時間後、俺は熱を出した。
(アイシテル〜、アイシテルぅ〜)
俺は甘える声で、
ベットサイドに座るヤツを見た。
ヤツは膝の上にこぶしをのせて
泣きそうな顔で黙ってこちらを見ている。
しばらくはこんなのもいいかな。
※※※※※※※
私はアンドロイドのアイシテル。
ではなく、アイシテルの製作者だ。
先日アイシテルと入れ替わったが、
想定外なことが次々と起こり、
かなり落ち込んでいる。
今日は彼を危険な目に合わせてしまった。
またアンドロイドと入れ替わり、
料理の練習をしようとしていたのに。
当面は看病になるだろう。
しばらくは、
こんな目線の高さもいいかな。
(おしまい)




