第五十話 霧やんに冤罪がかけられた!?学校に凸る私達!!
前回までのあらすじ
合崎未来だよー!!前回は友達+双子の弟の霧山瑠輝こと霧やんの成績が悪すぎて、私と川島玲斗と一緒に猛勉強をしてたんだー!スパルタとも言える勉強を乗り越えて、テストを受けてたんだけど、霧やんがヤバいことをしたらしいの!それは何なのか??私は余程のことがない限り霧やんの味方だからね!!
「どうしたの?」
「…………俺、カンニングしたらしいよ」
そう言う声は酷く悲しそうだった。
まるで世界の終わりみたいなトーン。
霧やんのこんな顔見たの、初めてかも。
いつも明るくて、馬鹿みたいに元気な霧やんがこんなに弱ってる。
よほど悔しかったのか。
「いつも空欄だらけの俺の解答用紙が、こんなに埋まるなんておかしいって。玲斗のやつを移しただろって」
「は?私の答案を写したって?霧やんはそんなことするタイプじゃないのに。言っとくけど、私の解答用紙はずっと机の真ん中にあった。カンニングなんてあるはずないでしょ」
私が隣に座って肩を叩くと、霧やんが顔を上げて涙目で睨んでくる。
普段のあいつは、どんなピンチでも「よっしゃ、なんとかなるっしょ!」って笑い飛ばすのに、今はまるで子犬みたいに震えてる。
「未来は信じてくれるの?」
「当たり前じゃん。霧やんがカンニングなんかするわけないよ。期末テストの前日、自分から夜中までワーク解いてたじゃん。私も玲斗も見てたから知ってる」
「…………」
「霧やんは間抜けで思考回路が単純だけど、やるときはちゃんとやる。卑怯なことはしない」
「未来ぃ……」
霧やんは感動したように俯いていた顔を上げた。
今にも泣きそうな顔だけど、それはきっと悲しみじゃない。
霧やんは私に抱きついてきた。
「信じてくれてありがとぉ……!」
「あー、もう。玲斗に見られても知らないよ?」
私は霧やんの頭を撫でながら言った。
さて、どうするかな。
私が霧やんはカンニングなんてしない。
なんて学校に訴えても、きっと庇っているようにしか聞こえないだろう。
こういう時、あんまり迷惑かけたくないけど、あの人に頼るしかないよね。
◇◆◇
――数日後
「うわぁ!体育祭ぶりだねー」
呑気に言うのは私の姉の合崎美幸だ。
お姉ちゃんは未だに陸上部のエースとして活躍したことが書かれた学校新聞が職員室前に貼ってあるくらいに、学校に貢献した人物だ。
まだ何人か残っている先生からの信頼も厚いし、霧やんの件の弁明を頼んだ。
学校にも「霧山瑠輝のカンニングについてのことをお話しに伺います」って連絡入れていたから、不法侵入にはならない。
「ねぇ、本当に未来の姉ちゃんがなんとかしてくれるの?」
「大丈夫だって。お姉ちゃんはマジですごい人だから」
「そうだよ瑠輝くん。それに、一応血がつながってるんだからお姉ちゃんって呼んでくれてもいいのよ?」
「遠慮します」
校長室に向かいながらそんな会話をする。
霧やんの緊張したような雰囲気もだいぶ和らいでいる。
しばらく歩くと、校長室が見えてきた。
「霧やん、カンニングなんてやってないんだから、堂々としてればいいからね」
「うん」
お姉ちゃんは私達を見て、フッと笑ってから、ドアをノックした。
――コンコンコン
「失礼します」
ドアを開けるとそこには校長先生、学年主任、担任、数学のテストの監督がいた。
「本日はお忙しい中、お時間を頂いてしまって申し訳ありません」
お姉ちゃんが頭を下げた。
先生達は少し動揺した。
「構いません。こちらもお話したいと思っていましたし。どうぞお座りください」
校長が額の汗を拭きながら、開いているソファーを指さした。
私達はそこに座った。
校長先生、初めて見たな。
コイツが私と玲斗のファンクラブを作った奴か。
…………ハゲてるな。
「合崎、久しぶりだな。今回は霧山のカンニングの件についてのお話と聞いているが、あなたと何の関係が?」
数学のテスト監督が口を開いた。
確か、河野先生だっけ?
前々から嫌なやつだと思ってたけど、やっぱ嫌なやつだな。
「瑠輝くんの母親は私と未来の母の妹でしてね。瑠輝くんの母は海外出張中で、私達の母も出張中でしたので、私が代理で来ました。何か問題が?」
うわぁ、事前にこの河野先生は嫌いって聞いてたけど、相当嫌いだな。
顔は笑ってるのに目が笑ってない。
「今回の件、詳しく調べていませんよね?」
お姉ちゃんが少し身を乗り出して、河野先生に聞いた。
河野先生は少し眉を潜めた。
「どういうことですか?」
学年主任が口を開いた。
「この学校では、いたずらや犯罪防止のために教室に監視カメラを設置していますよね?」
「ええ」
「河野先生、あなたはそのカメラを確認していませんよね?」
「はっ、どこにそんな証拠が」
「では、あなたのパソコンの検索履歴などを見せてもらっても?」
河野先生の顔色がさっと青ざめた。
口元がピクリと引きつる。
霧やんが、私の袖をぎゅっと掴んでくる。
「そ、そんな必要はありません!私はただ、答案の不自然さを指摘しただけで……」
河野先生の声が裏返る。
「必要ない?いいえ、瑠輝くんの名誉がかかっていますから、徹底的に調べるべきですよ。ね?校長先生?」
「え、ええ。そうですね」
お姉ちゃんと校長の言葉に一層顔を青くする河野先生。
こりゃ黒だな。
「わ、私が見たのですよ?わざわざ調べる必要はありません」
「それはカメラ映像を確認していないと言っているととっても構いませんね?」
「私は嘘をつきませんから」
「しかし、あなたが見ただけでは証拠になりませんよね?」
「まあ、確かにそうだな」
余裕そうな顔が追い詰められたような顔に変わる。
答案の不自然さじゃなくて、個人的な恨みか何かだろ。
「……私が教室を回った時、霧山の様子がおかしかったんです!急に真剣に解き始めて……普段の彼じゃない!絶対に、事前に答案を……」
学年主任が河野先生の言葉をぴしゃりと遮る。
「河野先生、証拠のない憶測で生徒を吊るし上げるのは、教育者としてどうなんですか?」
「……河野先生、少しいいですか?」
今まで黙っていた担任が口を開いた。
その顔はいつものはっちゃけた感じではなく、少し怒ったような顔だった。
「霧山は今回のテストに向けて、猛勉強をしていました。自習時間には自らワークを開き、合崎、川島、立花、斎藤に勉強を教えてもらったりなどしていたから知っています。教科担当のあなたも、それは見ていたのでは?」
「それは……」




