ハロウィンスペシャル!!②
前回までのあらすじ
みんなー大変!私、愛先未来の彼氏の川島玲斗の様子が最近変なの!!クラスメイト兼双子の弟の霧山瑠輝こと霧やんや、玲斗に告った村瀬恵麻に浮気じゃないかと言われ、私の頭の中は嫌な想像でいっぱい!村瀬さんが今までの玲斗の熱愛情報をまとめたノート見せてくれたけど、入れ替わりを知ってるのに私の距離が近い!って悪口いっぱい書いてあったの!!酷くない!?思わず窓に向かってそのノートを投げちゃったの!それを拾って悲鳴を上げたのは、おなじみのあの人!!
私は協和音ともとれる悲鳴を聞き、すぐに窓から外を見た。
そこには、天にノートを掲げて涙を流す川岸さんの姿があった。
川岸さんはゆっくりとノートを胸に抱き大声で言った。
「国宝っっっっっっっ!!!!」
私は無言で窓を閉めて、理科室に向かおうとした。
「待て待て待て待てぇい!!」
村瀬さんが私の手をガッチリと掴んで引き止めてきた。
何だよ。
玲斗の浮気疑惑の話はまぁいいとして、もう話すことはなにもないぞ?
「あのノート、取り返してきて」
「自分で行って」
「無理!!」
「なんで?」
「だ、だって私あの子のこと好きじゃないもん」
ハッキリ言いすぎで草。
とはいえ、私も川岸さんのこと好きじゃないしなぁ……。
あ、こういうときに玲斗の顔を使うのか。
この顔面凶器をな。
「恵麻」
「…………っっっっっ!!」
「自分で行けるよな?」
「…………スゥゥゥウウウウウ!!声がいいっっっ!!」
「恵麻?」
「耳が幸せ!!顔が近い!!ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ア゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ァ゙ア゙ア゙ア゙ア゙!!」
この人もあっち側の人間かー!!
嘘だろ!?
もういいよこの展開!!
霧やんと川岸さんだけでいいよオタクキャラは!!
しかもこの人、川岸さんよりもうるさいタイプのオタクだ!
「あー!もう!霧や――っていねぇし!!」
私は川岸さんの手に渡ったノートを持ってきてもらおうと、霧やんの方を見たが、そこに霧やんの姿はなかった。
あんの野郎っ!!
逃げやがったな!!
「ごめん、合崎さん。ちょっと退いてくれる?」
「嶺音?」
どこからか嶺音が現れた。
嶺音はまっすぐに発狂する村瀬さんのところに行った。
対処法でも知ってるのかな。
そんな事を考えていると、嶺音は村瀬さんの腹をグーで殴った。
「ぐあぁっ……!」
村瀬さんは腹を抑えて膝から崩れ落ちた。
「…………」
「ふぅー、仕事したー」
「仕事したー、じゃないよ!!なにしてんの!?」
「こうでもしないと落ち着かないから」
「限度があるだろ!!」
「ああなった恵麻は物理攻撃じゃないと収まらないんだ。現に収まってるだろ?」
私は村瀬さんを見た。
まぁ、確かに……。
痛そうに腹を抱えている村瀬さんからは信じられない声が出ていた。
「はぁ、はぁ、いい……!いい腹パンだわ、嶺音……!!」
あれ?
この人ドSじゃなかったっけ?
嶺音は村瀬さんを残念なものを見るような目で見ている。
「こいつ、冷静だとドSだけど、興奮してるとドMになるんだよ」
「どういう原理だよ」
「扱いづらかったから俺からフッた」
「へぇ〜、嶺音が……嶺音が!?」
勝手に村瀬さんがフッたものだと思いこんでた。
人は見かけによらないな。
そんな話をしていると、授業開始五分前のチャイムが鳴った。
まずい!
「村瀬さん!あのノートは自分で取り返してきてね!じゃあ私は先に行くから!!」
私は興奮している村瀬さんを見捨てて、理科室に向かうことを選んだ。
まぁ、あんなボロクソ書くような人は助けたくないよね。
◇◆◇
――キーンコーンカーンコーン
「ギリギリセーフ!!」
「ガッツリアウトだぞ、川島」
あらー、どうやら間に合わなかったみたいですねー。
私は先生に謝って席に向かった。
「川島、最近合崎に似てきたな」
「前の玲斗くんからは考えられないよね!」
「ね、明るくなったっていうかー。もう未来ちゃんそのもの!」
そのものですからね。
とは言えないのが悔しい。
あ、玲斗はもういるんだ。
「れい――」
「せんせー!今日の実験自由席にしましょー!!」
玲斗が私のふりをして笑顔で言った。
誰か実験をやりたい人でもいるのかな。
「うーん、まぁいいか。自由席でいい」
「よっしゃぁぁぁあああああ!!」
「でかした合崎!!」
「ナイス未来ちゃん!!」
おっと、再びパーティー状態になったぞ。
玲斗は教科書とかを持って立ち上がった。
私も行くべきかな。
「あ、未来は別の人とやって。俺は愛華と千佳とやるから」
「え?」
珍しい。
どうしたんだろう。
まぁいいか。
「あ、霧やん!一緒にやろう!」
「いーよー」
「川島ー、俺も混ぜてー!」
「私も混ぜてくれる?」
うわ、この声……。
私と霧やんはゆっくりと振り向いた。
そこには村瀬さんがいた。
「……いつ来たの?」
「十秒前くらい」
「先生には?」
「バレてないよ」
村瀬さんは親指を立てて可愛らしい顔で笑った。
さっきのやり取りがまるでなかったかのような態度、ムカつくな。
「せんせー!村瀬が遅刻してきました!!」
「ちょっ!」
「は?村瀬が?そんなわけ……」
先生は村瀬さんの乱れた髪や、手にある教材を見て、名簿を取り出した。
「村瀬、遅刻っと」
「むごい!!」
いや、物置いてから来なかった村瀬さんが悪いよ。
そんなこんなで実験開始!
「今日は何やる?」
「やっぱ、球転がして木片動かすみたいなやつじゃない?」
霧やんが言った。
今やっているのは中三の物理だ。
前も言ったが、私達の学校では普通の学校よりも一年進んだ学習をする。
だから、中二の私達は中三で勉強する物理をやっている。
「確かに、あれテストするからやっておいた方がいいかもね」
村瀬さんが当然のことのように言った。
それに私と霧やんは固まった。
「え?どういうこと?」
「先生が木片を移動させる距離を指定して、鉄球をその位置に移動するように転がすらしいよ」
「「聞いてない!!」」
「前回の授業で言ってたわよ」
前回の授業……。
「あ、寝てた!」
やっだぁ〜、村瀬さんってばぁ〜!
そんな顔しないでよぉん!
ただ、玲斗にバレて問い詰められたけど……。
私は玲斗達の方を見た。
実験でも自習でもいいから、玲斗達は自習している。
なんで自由席にしようなんて言ったんだろう。
「黒ね」
「うわぁあぁぁああああ!!」
村瀬さんがまたしても背後から急に話しかけてきた。
なに!?
最近背後霊するの流行ってるの!?
私はコソッと村瀬さんに訊いた。
「く、黒って何……?」
「玲斗くん、浮気してるんじゃないの?」
「うっ……」
最近の愛華への態度、自由席の件……。
まさか本当に浮気!?
「未来?実験しないのか?」
「するする、しますとも」
霧やんには笑顔で返したけど、モヤモヤは消えなかった。




