第四十三話 波乱の体育祭はもう終わり!?ドキドキハラハラ結果発表!!
前回までのあらすじ
やっほー!合崎未来だよ!長かった体育祭もこれで終わりかぁ、なんて感情に浸ってたら私の彼氏、川島玲斗のストーカーの川岸千草に絡まれちゃったよ〜!っていうのが前回の出来事!玲斗のプライバシーをガッツリ侵害しながら、サラッとファンクラブがあることも知っちゃった!しかも校長がクラブ会長やってるとかやばすぎる!そしてなぜか川岸さんの恋敵のはずである私は、川岸さんに感謝されているらしい。なんでだろう。
「私はあなたに感謝してるんですよ」
「恨んでないんだ」
「そんな、恨むだなんて。確かにあなたの玲斗くんの演技は、本物の玲斗くんとはかなり違います」
自信あったのに。
ていうか、感謝してる相手に強欲ババアとか言うなし。
「ですが、多種多様の玲斗くんが見れたのは感謝してるんですよ。シークレット羚斗くんまで見れましたし」
「人をガチャの景品みたいに言いうな」
「何より中身が合崎未来だとしても、尊かったです!!」
「それなぁぁぁあああ!!」
なに?
オタクってみんな変なの?
そもそも私の知り合い全員おかしくない?
「あ、そろそろ結果発表の時間だよ」
「この時間をこんなに無意義に使ったの初めてだわ」
玲斗がゲッソリとした顔で言った。
私達はグラウンドに戻りつつ、玲斗に訊いた。
「いつもは何にしてたの?」
「理科ワーク」
「キッショ」
だから孤立してたんだよ。
そんなのだから孤高の王子様って呼ばれるんだよ。
私は列に並んだ。
「よー川島、合崎とイチャついてきたかー?」
橋本くんが言ってきた。
茶化すような顔に、借り物競走のときを思い出して、一発殴っとけばよかったなと思った。
「イチャついてねぇよ。じゃあ訊くけど、橋本は隣のクラスの清水環菜とイチャついてたんだろ?」
「なっ!!」
私は知ってるぞ。
愛華情報だけど、橋本くんと隣のクラスの清水さんが付き合っていることを。
しかもかなりアツアツなようで。
文化祭のナンパは彼女の気を引くためだと、私は知っているぞ。
「なんで環奈のことを……」
「立花と未来。そう言ったら分かるか?」
「のぉおおぉぉおおん!!あそこ二人知ってたのかよぉぉおおおお!!」
はっはっはー。
哀れ哀れー。
未来ちゃんを怒らせるとこうなるんだよ?
覚えておこうね。
「性格悪っ」
霧やんが少し遠くでつぶやいた。
覚えとけよ?
ハリセンでぶっ叩いてやる。
「それではそれでは〜!結果発表に行きましょー!」
松原先輩が叫ぶと、会場から歓声と悲鳴が上がった。
得点確認のために走り回っていた松原先輩の額には汗が滲み、そこらの女子が大歓声を上げるほどにフィルターがかかっている。
正直言うと、玲斗の方が悲鳴がデカくて高いけど。
「まず一年生!全クラス同点です!!」
「「えぇぇぇぇえええ!?」」
一年生が驚いたように声を上げた。
確かにいい勝負してたけど、全クラス同点とかあるの!?
嘘でしょ!?
「トロフィーが足りないので、順位をじゃんけんで決めてください」
それでいいの!?
一年生はそれでいいの!?
「やってやろうじゃねぇか。日頃の恨みをアレしてやるよ」
語彙力どうした?
「んだテメェ。舐めやがって。痛い目みねぇと分かんねぇようだな」
殴らないでね?
「UNOで『はい、UNOって言ってなーい!』って言ったこと後悔させてやる」
しょーもなっ。
「俺がやってた乙女ゲームに向かって『それってエロゲー?』って聞いてきたことの報いを受けさせる」
どっちもどっちやね。
「あっ、えっと、絶対倒す!」
最後の子ー!
締まらなすぎない!?
インパクト弱いよ!!
「「「「「じゃーんけんぽん!あいこでしょ!しょっ!しょっ!しょっ!しょっ!」」」」」
「はい、決まらないのでクラス順の順位で行きます」
正気かおい。
雑すぎんだろ。
「そんな感じ二年生の発表しちゃいましょー!」
松原先輩はカンペを凝視した。
「第五位!一組!!」
あー、嶺音のクラスは最下位か。
私は玲斗の方を見た。
これまでにないほど凶悪な顔をしている玲斗を、私は見て見ぬ振りはできなかった。
あいつ私の顔ですごい顔してやがる。
「第四位!五組!」
五組の方から「ふぁー」と気の抜けた声が聞こえた。
「どー」でも「みー」でも「れー」でもなく「ふぁー」なんだ。
「第三位!四組!」
四組は四組で微妙な雰囲気をしている。
「えー、真ん中かよー」と言う声や、「真ん中でよかった」という声。
まあ、三位って若干微妙だからな。
ていうか、まだうちのクラス順位に入ってないな。
二位か一位、どっちだろう。
――ドッドッドッドッドッ
ん?
何の音?
私は横を見た。
霧やんが心臓のあたりを押さえて過呼吸になっている。
「大丈夫!?何の音!?」
「はぁ、はぁ、緊張してきた!!心臓バックバク!」
「それ心臓の音?デカすぎない?」
「俺の胸……触る?」
「気持ち悪っ。……あっ、遠慮しとくね」
思わず本音が出ちゃったけど、霧やんって結構繊細なんだよね。
だから――
「そんなに言わなくてもいいじゃん……」
このように、すぐに拗ねる。
考えとかがクソなくせに、すごい傷つきやすいんだよね。
「続きまして、第二位の発表です!!」
松原先輩が叩く面が透明な太鼓?
を持ってきた。
アレなんて言うんだろう。
松原先輩がバチを持って叩き始めた。
――バラララララ
――バコッ
なっちゃいけない音がグラウンドに響く。
太鼓の叩く面が粉々に砕け散っている。
全員が「おう……」という顔をした。
調子に乗っていたらしい松原先輩は、みるみるうちに青ざめていった。
「おっ、おふ……」
体育教師が鬼の形相で松原先輩を睨んでいる。
怖っ。
「あっ、第二位!二組!」
その結果発表を聞いた瞬間、クラスメイト達が全力で喜び始めた。
「よっしゃぁぁぁああああ!!」
「確定演出ぅぅぅうううう!!」
おいやめろ。
二組の人達が悲しそうな顔してるだろ。
第二位が一番不憫かもしれん。
「はい、あとは三組、一位でーす」
雑っ。
「じゃ、副実行委員長、あとはよろしく」
もう殺してと言わんばかりの顔で指令台から降りていく松原先輩は、体育教師に連れられて、校舎に行った。
わー、可哀想……。
◇◆◇
そんなこんなで体育祭は終わり、写真撮影の時間が来た。
「玲斗〜!玲斗の彼女ちゃ〜ん!写真撮るからこっちへおいで〜」
グラウンドでクラス写真を撮り終えたあと、玲斗のお兄さんが私達を手招きした。
私達は玲斗のお兄さんとお母さんの傍へ行った。
「あ、自己紹介してなかったっけ?私は川島翠だよ〜」
「合崎未来です」
「や〜ん!かわいい〜!!」
私が頭を下げると、翠さんは私を抱きしめてきた。
力強くて離れられない。
「おいクソ兄貴、未来に触るな」
「え〜?やだ〜?嫉妬ですかぁ〜??」
「だったら何だ。とっとと離れろゴミカス」
「未来ちゃ〜ん。こんな束縛男捨てて、俺にしない?」
微笑みかける翠さんはかっこいい。
さすが玲斗のお兄さん。
まぁ、お母さんも綺麗だしなぁ。
でも――
「お断りします。私は玲斗のそういうところが好きなので」
「うわ〜、アツアツじゃ〜ん。興ざめ〜」
めっちゃ言うやん。
私はなんとか翠さんから解放された。
「翠、弟の彼女をナンパしちゃ駄目よ」
「ナンパじゃないよ母さん。心外だな」
「違うのか?人タラシ」
「おい弟」
うわぁ、お兄さんもツッコミ能力高いな。
「俺は家族を愛しているのに、家族は私を愛していないようだ」
「当たり前だろ。邪魔だ。さっさと家から出てけ。自立しろ。クソ兄貴」
「大学生にもなって、親のスネかじるのはやめてくれないかしら。迷惑よ」
「辛辣〜」
この人大学生だったんだ。
そして玲斗のお母さん容赦ないな。
翠さん打たれ強すぎない?
翠さんは切り替えたように私の方を見て、手を握った。
腕をブンブン上下に上げ下げしてくる。
「未来ちゃん、玲斗と末長く幸せにね。結婚式には呼んでね」
「気が早いし呼ばねえよ」
「え〜、呼んでよ〜。なんならウィディングドレス、私がデザインしてあげてもいいわよ?」
翠さんはニヤニヤしながら言った。
マジで気が早いんだけど。




